【小話6】(その頃のポルカ村とチユルの町)
文章量が少ないので、同日投稿しました。
イルマとセイナの決勝戦の様子が気になるかもしれませんが、箸休めと思い此方をどうぞ!
【イルマ達が王都に向かった話を聞いたポルカ村の様子】
【イルマの母イルミの場合】
「あら?手紙、誰かしら?………!?───アンタ!イルマから、手紙が届いているわ!」
イルマの母イルミは、家に手紙が届いていて、その手紙がイルマからだと知り慌てて夫のダルクにも知らせる。
「何、母さん!イルマから手紙だと!?」
ダルクはイルミからイルマからの手紙が届いたことを聞いては直ぐにイルミの下に駆けつけては一緒にイルマからの手紙を読み始める。
「「何何?…………!!?」」
そのイルミとダルクが読んだイルマからの手紙の内容に、2人はあまりの内容に目が飛び出そうになった。
その2人が目が飛び出そうになったイルマからの手紙には、イルマ達がチユルの町で起きた一件についてや無事に冒険者養成所を卒業出来たこと。ガネック伯爵の目に叶いお抱えになったことが書かれていた。そして、今度そのガネック伯爵と一緒に王都に向かうことになった所まで読んだ2人は、自分達の意識が遠のいていくのを感じた。
「あ、あ、あの子、一体どうしたら此処まで…………」
「あ、ああ。我が子なのに、ガネック伯爵様に雇われたなんて………」
──《バタンッ!》
手紙の内容を頭の中で整理したイルミとダルクの2人は、遠のいていく意識が遂に落ちて倒れた。
しかし、それは仕方ない。
普通の村の、しかも只の村人である自分達の子供が町の危機を救い、しかも伯爵である領主様に雇われたのだから。
その上その伯爵様と一緒に行動し、この国の首都である自分達が行ったこともない王都に向かったというのだ。
その情報は只の村人のイルミとダルクには激し過ぎる物である。
それからイルマの手紙の内容によって倒れたイルミとダルクは、家に帰ってきた上の子供達に見つかるまで家の床で意識を落としていたのであった。
【ポルカ村の冒険者ギルドマスターであるモロンの場合】
ポルカ村の冒険者ギルドマスターであるモロンは、チユルの一件について詳細を知る為に調査をしていた。
その調査の中でイルマ達がガネック伯爵と一緒に王都に向かい、その上イルマ達が王都で開かれる武道大会に参加することを知る。そのことを知ったモロンは激しい胃痛に襲われるのである。
「…………イルマ達よ、頼むからもう少し自重して。もうこんなジジイの胃には、お主達の行動が刺激的過ぎるのじゃ……」
と、イルマ達の行動に胃痛が襲われ、ギルドマスター室の机に力なくうつ伏せになりながら呟くのであった。
【イルマ達が王都に向かった後のチユルの町の場合】
【マルクス達の場合】
「………次のクエストは何だ?」
「えっと、………次のクエストは確か………うん、町の近辺で発見されたはぐれオークの討伐だね。………何かダイ最近やる気が凄いね?」
クエストをこなしたダイが、キナリに次のクエストを尋ねる。
そのダイのやる気に、キナリが次のクエストの内容を伝えた後にそのやる気の理由を確認するのである。
「………同期であるイルマ達には負けてはおれん」
「!!……成る程。それは確かに負けてはいられませんね……」
「そうよ!私達ももっとクエストをこなして貴族の目に止まる位活躍しないと!……じゃないと、同期として悔しいわ!」
ダイのやる気の理由に納得するキナリ。
キナリもそのダイの言葉を聞いたら確かに負けてはいられない、とダイと同じようにやる気が溢れてきた。
そこに仲間のアーラも同意の声を上げてきたのだが、仲間の様子がおかしいことに気付いたパーティーのリーダーであるマルクスが、3人に対して落ち着くように声を掛ける。
「分かった、分かった。気持ちは分かるが少し落ち着け!」
「でも!」「だが!」「そうですが!」
「──焦っていたらクエストを失敗するぞ?」
「「「!?」」」
「確かにイルマ達は凄いが、俺達には俺達のペースがあるんだ。俺達は焦らず、それでいて確実にクエストを達成していくぞ。それがイルマ達に追い付く1番の近道だ」
ほら、最近クエスト続きでしっかり身体を休めていないんだから、今はしっかり身体を休めて次のクエストに備えるぞ、とマルクスは身体は疲れているのに気合いが溢れている仲間達を半ば強引に休ませて、パーティーのリーダーとしてパーティーの安全を守る役割を果たすのであった。
【トルクの場合】
イルマ達がガネック伯爵と一緒に王都に向かった後、イルマ達が王都で開かれる武道大会に参加することを父から聞いたトルクは、
「────流石イルマ先輩達だ!!国が主催する武道大会に参加するなんて自信が無ければ出来ないことをやってのけるなんて!イルマ先輩達なら、きっと大会で好成績………いや、下手したら優勝するかもしれない!!」
イルマ達が国が主催する大会に参加したことに興奮しては喜びの声を上げ、イルマ達が大会で活躍する光景を頭の中で想像していた。
「──こうのんびりはしておれない!僕も、イルマ先輩達の後輩として恥ずかしくないよう日々鍛錬だ!」
そして、トルクはまた逢うイルマ達に恥ずかしくないように冒険者養成所にて鍛錬に励むのであった。
「(教官として嬉しいです……。あのトルク君がイルマ君達に迷惑をかけないよう問題も起こさないようになって、その上こんなにも真面目に頑張る姿を見れて……)」
そんなトルクの成長した姿を、影から見ていたトルクの担当教官であるタダシ教官は嬉し涙を流して見ていたのである。
【ナミノ教官の場合】
王都でイルマ達が武道大会に参加して活躍していた頃、ナミノ教官はガネック伯爵と一緒に王都に向かったイルマ達のことを考えていた。
それは、ナミノ教官がトルク経由からイルマ達が王都で開かれる武道大会に参加することを知ったからだ。
イルマ達が武道大会に参加したことを知ったナミノ教官は、イルマ達が武道大会で起こしている光景を予想していた。(正解!)
「…………イルマ達。お前達なら大丈夫だと思うが、俺の教え子なら下手な奴等相手に油断して負けるなよ?」(油断というか不覚をダンとメラは取ってしてしまったが、結果的に全員無事に大会上位まで勝ち上がった)
そして、ナミノ教官はチユルの町からイルマ達のことを心の中で応援しながら、今日も冒険者養成所にて今の教え子達をしごくのであった。
次回の投稿は、予定通り日曜日の予定です。