第107話(大会最後の戦い③)
トーナメント戦の続きになります。
今回の見所はダンとメラの戦いです。
イルマとシーラの戦い、そして、トーナメント戦最後の戦いは次回になります。
では、異世界トラブルの続きをどうぞ!
トーナメント戦、AブロックBブロック共に1回目の戦いが終了しては大会参加者上位8名が決定した。
「──これで大会上位8名が決定したか」
「はい、国王様。注目していた者達も皆順調に勝ち上がっております(予想していたとはいえど、あの子供達は全員が勝ち上がってきたのう)」
その戦いの様子を観戦していた国王様と大臣。
国王様と大臣は上位8名が決まったことや、注目していた者達が順調に勝ち上がっていることをついて話をしていた。
「………ふむ。その様であるな。しかし、勿体無いな。大会上位10名を騎士にする宣言をしたが、トーナメント戦で敗れた8名の者達も強者であった。故に上位8名以外に残り2名以外の者達も欲しいな。特にBブロックの、あーニックとオズボーンだったかの?その2人の戦いは熱かった」
あの珍しい術や、実力が上の相手に捨て身の戦法でも勝利を掴もうとした姿が良かったと、ダンとメラと戦ったニックとオズボーンの2人を評価する国王様。
そんな国王様に大臣も
「そうでございますね。珍しい術に加えて職業が魔鏡使い自体も数が少ないですし、あのダンという子供の強力な力に身を晒されても捨て身の戦法を取れる者を見逃すのは惜しいことだと私も思いますじゃ………(確かに国王様が言う通り今大会に参加した者達のレベルは高い。それを見逃すのは国益に反する行為じゃ)」
「大臣もそう思うかね?」
「はい、国王様(国王様の意志がワシと同じなら、手を回してトーナメント戦に参加した全員を軍に所属させるのは容易い!それにあの子供達もワシの思惑通り潰し合う形になったことじゃし、後は上手く上級冒険者のセイナが勝ち上がってきたあの子供達の誰かに勝てば面子も守れる。そうすれば後は上級冒険者のセイナを騎士になるよう説得すれば予定していたよりも強力な力が持つ者達を国が手に入れることが出来るのじゃ!)」
大臣は国王様の問いに同意しながら、内心で色んな思惑を巡らしていた。
そんな大臣の様子に興味がないのか、国王様は大臣が自分の意見に同意を示したことに国王様はう~んと、唸りながら考え込む。
その光景を近くで見ていたガネック伯爵は、「これはもしかして………」と呟き国王様の考えを予想する。
国王様が呟いていた意味を考えると、残りの2名の枠とそれ以外の者達を見逃すのが惜しいという話である。なら、惜しいと考えた国王様が考えることはただ1つ。
──それはトーナメント戦参加者全員を騎士、若しくは兵士等で迎え入れることである。
そのガネック伯爵の予想が正しいことに、ガネック伯爵の目の前では国王様が大臣に大会側にメッセージを頼む姿が映る。
「(………不味い。国王様はこのトーナメント戦に参加した者達全員を欲しいと思われたっ………このままだと国王様にイルマ君達は騎士を辞退させて欲しい願いが却下される……!)」
それを見たガネック伯爵は自分の思惑が叶わないっと焦る。
折角契約出来た優秀な者達が、トーナメント戦に参加した全員を欲しがる国王様により自分の願いであるイルマ君達が却下され、失うことになることになるからだ。
「(どうする……どうすればいい。事態の問題を解決出来る……?)」
トーナメント戦に参加した全員を欲しいと考えだした国王様に対して、ガネック伯爵はどうしたらイルマ達を騎士を辞退させれるかと悩む。
勿論ガネック伯爵のこの考えは不敬である。
ガネック伯爵の立場を考えると、国王様が騎士として欲しい人材を辞退させようと考えるのは間違っている。
しかし、イルマ達がこの大会に参加したのは決して騎士になりたいからではなく、疑いを晴らす為だ。
その為ガネック伯爵は、相手が自分の国の国王様であろうとも簡単にはイルマ達、契約者を渡すつもりはなかった。
そしてガネック伯爵が国王様と大臣の逆の思惑を考えている中、大臣は国王様から頼まれた願いを叶える為大会関係者に言付けを伝えるのであった。
◆◇◆◇
国王様や大臣にガネック伯爵が、各々が思惑を巡らしているがトーナメント戦は進んでいく。
闘技場では、トーナメント戦の勝ち上がった者達が分かりやすいようにトーナメント表が映し出されていた。
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【Aブロック】
1回戦
キッスVSマリン⇒勝者マリン
2回戦
カナVSガラ⇒勝者ガラ
3回戦
セイジVSバラ⇒勝者セイジ
4回戦
セイナVSテット⇒勝者セイナ
【Bブロック】
5回戦
ダンVSニック⇒勝者ダン
6回戦
メラVSオズボーン⇒勝者メラ
7回戦
イルマVSヒルマ⇒勝者イルマ
8回戦
シーラVSブルナーク⇒勝者シーラ
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そして、残りのトーメント戦はというと………
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9回戦
Aブロック、1回戦と2回戦の勝者
10回戦
Aブロック、3回戦と4回戦の勝者
11回戦
Bブロック、5回戦と6回戦の勝者
12回戦
Bブロック、7回戦と8回戦の勝者
準決勝戦
Aブロック、9回戦と10回戦の勝者
Bブロック、11回戦と12回戦の勝者
決勝戦
【Aブロックの勝者】VS【Bブロックの勝者】
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トーナメント表通りに次の戦いは、トーナメント戦9回戦のAブロックの1回戦と2回戦の勝者、マリンVSガラが行われた。
魔道師のマリンと重激士のガラの戦いが始まる。
魔道師マリンと重激士のガラの2人の戦いに観客達は遠距離から激しく魔法を放ち、近接戦では魔障壁で攻撃を防ぐ魔道師マリンが優勢になるだろうと予測する。
そしてマリンとガラの戦いが始まると、観客達の予想通り魔道師マリンが激しく魔法を放つことで接近させず、遠距離から重激士のガラを一方的に攻撃を加えるのである。
ガラはそのマリンの激しい魔法攻撃に間合いを詰めることが出来ず、マリンの接近された際に発動させる魔障壁も発動させることが出来ず防戦一方だった。
しかし、
1回戦と現在の戦いで魔力を使い過ぎたのか、マリンの魔法攻撃は次第にその激しさが弱まっていく。
「───ッ(予定外だわっ、魔力切れの前に勝利を掴もうと思っていたのに、こんなにも私の魔法を耐えるなんてっ……!)」
そんなマリンの予定外な出来事であろうがガラにとっては耐えてやっと来たチャンスである。
ガラはそんなチャンスを見逃すに、マリンとの間合いを少なくなってきた魔法の弾幕を被弾することを気にせずに一気に駆け抜ける。
「ハァアアアッ!!【重撃破】!!」
「──ッ魔障壁、発動………!」
マリンとの間合いを詰めたガラは獲物である斧をグルグルと回し、その遠心力を利用した大技である必殺技の【重撃破】を放つ。
ガラに間合いを詰められたマリンは、咄嗟に残り少ない魔力で魔障壁を張りガラの攻撃を防ごうとする。
──ブーーン、ガンッ!
───ガンッ、ガンッ、ガンッ!!パリン………
「そ、そんな!……っ魔力が………ここまでなのね……」
「ハァッ!!」
──ドォンッ!────ドサッ
魔障壁を張りガラの攻撃を防ごうとしたマリンだが、残り少ない魔力で張った魔障壁とガラの重い攻撃を何度も喰らい、その攻撃を防ぐことは出来ず魔障壁を破られる。
そして魔障壁を破られたマリンは、反撃する魔力が切れたことで敗北を察してはガラの止めの一撃を喰らうのである。
ガラの重い止めの一撃を喰らったマリン。
舞台の上から吹き飛び、重傷を負っては意識を失い敗北するのであった。
「ハァ、ハァ、ハァ………ッ」バァッ!
戦いに勝利したガラは、身体中にマリンの魔法によって傷を負いながらも拳を頭上に上げては自分の勝利を闘技場にいる人間全てに示した。
──ワァアアアアーー!!!
「よくあの魔法攻撃の弾幕を耐えた!!」
「ガラ、お前はなんて漢なんだ!!」
「───素敵………♡」
観客達やガラと戦ったカナは、そのガラの勝利の姿に興奮しては歓声を上げる。
闘技場にいる人間全てに自分の勝利を示したガラだが、その後フラフラになりながらも自分の足で舞台の上から降りていき、その後大会の者達に回復魔法の治療を受けるのであった。
続いてはトーナメント戦10回戦。
10回戦は、セイナVS戦士セイジの戦いが行われた。
「よ、よし。やるぞ、やるんだセイジ。相手が誰であろうともここまで勝ち上がったんだから勝ちにいくんだ………!!」
──バチ、バチ、バチッ!!
対戦を行う前にセイジは、相手が例え格上の上級冒険者であるセイナであろうが勝つのを諦めてはいなく、自分の顔を両手で何度も叩いては自分を鼓舞して舞台の上に上がっていく。
「………ふん、今回もまだまだ楽に勝てそうだな(楽に勝てそうだし、対戦前に観客達にちょっとサービスでもするか?)」
──カツ、カツ、カツ
それとは対称的に、セイナは舞台の上に上がっては観客達に手を振る等余裕の態度を見せる。
「───ッ、な、舐めてやがる………!?」
そんなセイナに対しセイジは腹を立てて、先程まで格上のセイナに対して抱いていた恐怖を頭から忘れては絶対に勝つ!、と気合いを入れてセイナとの対戦に挑んでいくのだった。
しかし、現実は無情である。
「トーナメント戦10回戦!勝者セイナ!!」
───ワァアアアアーー!!
セイナとセイジの戦いを観戦していた観客達や者達は、予想通りの結果にやっぱりなと思う者達や、番狂わせは起きなかったかと悔しがる者達と反応が別れた。
そして怒りから恐怖を忘れ、気合いを入れてセイナとの対戦に挑んだセイジだったが、実際にある実力差を覆すことは出来ずに10回戦の勝利の行方は順当に上級冒険者であるセイナが勝利を収めたのである。
「………ふん、やっぱりこの程度だったか。まぁ、お陰で力の温存は出来たし、そのことは君にお礼を言うよ。──────────アリガトウ」
10回戦に勝利したセイナは、敗北し頭を下に向け、両手と両膝を地面に付けて項垂れている対戦相手であったセイジを嗤っていた。
そんなセイナの様子を近くで見ていたことで気づいたイルマ達は、やっぱり嫌な奴だ、嫌いな性格をしているわ、仇を討つ、追い討ちまでするのか、と憤慨していた。
そんなことがあったがトーナメント戦は続き、次はBブロックの戦いに移る。
Bブロックの戦いは、
11回戦はダンVSメラ。
12回戦はイルマVSシーラ。
を予定しており、イルマ達は4人共互いの対戦相手に対して闘志を燃やしては目で火花を散らしていた。
そんなイルマ達にミルンが自重を再度呼び掛け、イルマ達はあっと言っては身体から溢れていた闘志を収めるが、それでもミルンは対戦中に熱くなって自重を忘れるんじゃないかと冷や汗を流す。
そして、燃やしていた闘志をミルンの呼び掛けで収めたダンとメラだが、2人は対戦を行う為に舞台の上に上がっていく。
『(ダンさん、メラさん。絶対に結界を破壊する事態は避けてくださいね!!)』
そんなダンとメラの2人に、再度ミルンが自重を呼び掛けた所で大会関係者が対戦の準備がいいかと2人に問い掛ける。
その大会関係者からの問い掛けに、対戦を始める為に集中してた2人は頷くことで返事をし、2人の頷きを確認した大会関係者は対戦を開始出来るように素早く舞台の上から降りていくのである。
集中しているダンとメラの2人の様子を見て、やっぱりヤバイのではとイルマの中で冷や汗を滝の様に流すミルンは置いておき、対戦の準備が出来たと連絡を貰った実況者が対戦開始の合図を叫ぶと対戦を始める為に集中していたダンとメラの2人は同時に動き出した。
──グッーーダンッ、ーーードォンッ!!
──ボォ、ヒュー、ポチャン、ガラガラ!
対戦が開始したと同時に動き出したダンとメラは、ダンはメラに対して一気に間合いを詰め、メラは【火、風、水、土】と四種類のある魔法を直ぐ様に発動させてはダンを向かい討つ。
「──ッ!?───チッ、ならこれをくれてやる!」
──ドッン!ガラガラガラガラ!!!
「───ッ!?(ほんと、馬鹿力なんだから!?)」
───バ、バ、バ、バンッ!!
「おおっ!?対戦開始直後、両者いきなりぶつかるっーー!!」
一気にメラとの間合いを詰めたダンだが、メラが直ぐ様に発動された魔法を見て危険を察知し、横に移動してはメラに向けてその身に宿る強力な肉体の力で地面を砕き放つ。
メラはダンが自分の狙いに気付き、それを横に移動したことで避けたことには手の内が互いに殆ど知っていることもありそこまで動揺してはなかった。しかし、避けた際に牽制で地面を砕き放ってきたことには内心で悪態をつくのである。
そして悪態をつきながらもダンが砕いた地面の破片をメラは魔法で対処し、そんな2人の対戦の様子を実況者は興奮したように大きな声で実況していく。
「お~、危ない危ない。メラのそれを喰らったらアウトだからな?」
「………ふん、相変わらずの馬鹿力ね!それにこれを放つ前に避けたアンタが言う?互いに手の内が分かるのは面倒ね。簡単には勝てそうにないわ」
「そりゃ~互い様だっての。まぁ、手の内が分からなくても簡単には負けないし、それに勝つのは俺だぜ」
「何言ってるのよ、勝つのは私よ!」
──《バチ、バチバチッ!!》
「おおっ!!互いに戦いの優勢を譲らず闘志を燃やしている!!」
──いいぞ!もっとやれーー!!
──負けるなー、ダン!
──負けないでー、メラ!
勝ちを譲るつもりがない2人は、対戦前よりも更に闘志を燃やして火花を散らしては、その様子を実況者が語り観戦していた観客達は沸き立つ。
『(ヒィイーー!!やっぱりこのままならヤバイのでは!?)』
「………2人とも燃えている」
「それはそうだよ。2人とも互いの実力を知っているし、仲間だからこそ負けたくないと思うよ」
「………それは同意。私もイルマに勝ちたい……!!」
──ゴゴゴゴ……!!
「………それは僕も同じだよシーラ」
───ゴゴゴゴ……!!
『ヒィイーー!?(こちらもまた闘志を燃やしている!?)
イルマさん!シーラさん!2人とも闘志を燃やすのは良いですけど、くれぐれも結界を破壊することだけは止めてくださいね!お願いしますよ!!』
「「分かっている(よ)、ミルン」」
『本当にお願いですからね!本当にお願いします!!』
ダンとメラの2人の戦いを観戦していたイルマとシーラにミルン。イルマとシーラは2人が勝ちたくて闘志を燃やしている光景を見て次の対戦に闘志を燃やし、そんな4人の様子にミルン1人だけが悲鳴を上げるのであった。
そしてそれからダンとメラの戦いだが、互いに戦いの優勢を譲らずに暫く硬直な様子を見せていた。
ダンは何とかメラに対して循環術や闘気など肉体強化をさしては立ち向かう。
メラも同じく循環術や技能の魔刃等を使い、魔法以外も駆使してはダンを迎え撃つ。
そして2人の戦いはそれでも決着がつかず、ダンはメラが融合魔法等上級の魔法を発動させないよう牽制を入れて立ち回り、それに対してメラは何とかダンの隙を作ろうとしたり見つけて上級魔法を発動させようとするのを繰り返していた。
「───ッ(このままなら埒がねぇ!!どうする?強引に勝負をつけに行くか?けど無策でメラ相手に強引に行けば大量の強力な魔法の嵐にあって、そのまま勝負に負けちまう……)」
「(ほんと、体力馬鹿を相手にするのはしんどいわね。このままなら先に体力切れで負けてしまうわ。けど、だからって普通に魔法を放っても当たらないし、強力な魔法を発動させようとすれば邪魔が入るしでやりにくいわ……)」
硬直した戦いを繰り広げるダンとメラは、互いにやりにくさと勝機が見つけれずにいて手詰まりの様子だ。
「(───ごちゃごちゃ考えるのは面倒くせぇ!埒があかず無策で強引に勝負するのも駄目なら手は1つだ!次の対戦はもう気にしない……!)」
「(───このままなら体力切れで負けてしまう。それでいて、今使っている力では攻撃が当たらない、通じない、発動させてはくれないなら手は1つよ!次の対戦は気にしてはいられない……!)」
「全力全開で《目の前の相手》に勝つ!」
「全力全開で《目の前の相手》に勝つ!」
──≪【戦気覚醒】発動!!≫
──≪【魔道深域】発動!!≫
ダンとメラの2人は、互いに同じことを思い、考えては次の対戦を気にすることは止めては切り札を発動させる。
その結果、ダンとメラの2人からは凄まじい闘気や魔力が溢れて舞台にヒビが入る。
その様子に実況者は何だ何だ!、と言っては状況が掴めず実況が出来ない。観客達も実況者と同様な様子であり、唾を飲み込んでは2人の戦いの結末を両目を大きくひらいて見つめる。
そして、国王様や大臣やガラやセイナはダンとメラの2人が見せた力に驚愕しては、この後の戦いを一瞬も見逃すことがないように身を乗り出して舞台の上を見つめる。
ちなみに闘技場にいる人間達が驚愕している中、違う反応を見せる者達がいた。
それはダンとメラのパーティーのイルマとシーラにミルンだ。
イルマとシーラは、ダンとメラの2人が切り札を発動させたことで2人とも出し惜しむのは止めたと察し、戦いの決着が近いと感じるのである。
そしてミルンはというと、
『…………あ、あ、ああっ!!───ついに、ついにダンさんとメラさんが固有技能を発動させた!!』
ミルンはダンとメラが固有技能を発動させたことに声を震えさせる。これで2人が全力全開でぶつかり、もし2人の攻撃が同時に結界にぶつかることにでもなれば結界が破壊されてしまう、と冷や汗を身体中の水分を出しているのでは思う位に冷や汗を流し恐れを見せていた。
◆◇◆◇
そんなミルンの恐れはさておき、ダンとメラは固有技能を発動させてはその強力な闘気や魔力を制御して相手にぶつけていく。
先に動いたのはメラだ。魔道深域発動させたメラは強力な魔法を、瞬時に大量に生み出していく。そして 戦気覚醒を発動させたダンは、固有技能を発動させたメラは魔法をどんどん生み出すことが出来ると知っているダンは、メラがその生み出した魔法を数自分に向かって放ち、数で勝負してくると思い迎え撃つ姿勢に入ってしまう。
しかし、強力な魔法を大量に生み出すことが出来たメラだが、その魔法をそのままダンに放つことはせずに生み出した魔法の威力を高められるだけ高めていく。そんなメラの行動にダンは予想が外れて動きが止まる。
「(や、ヤベェ!メラの狙いを読み間違えた!?)」
予想が外れて動きを止めて隙を作ってしまったダンは焦る。そしてこのままメラに魔法の威力を何もせずに高めさせる訳にはいかないと思い、メラが生み出した魔法を焦って潰しにかかる。
「(やっと隙を作ったわねダン?これだけ威力を高めたなら魔法の威力で放たれる魔法のスピードも速くなるから今度は当たるわよね?)」
しかし、予想が外れたダンが動きを止めて1歩行動が遅れたこともあり、メラはダンの焦りを見逃さずに魔法を放つ。放たれた魔法は、威力を高めた魔法の力で物凄い速さでダンに向かう。
そしてその速さのせいでダンは回避する余裕が無くなり、その為威力を高めたメラの魔法に対して強化した闘気や無属性魔法を駆使して何とかその場に足を止まってしまいながらも防いでいく。
そんなメラの魔法を防ぐダンだが、その場で足を止めてしまったこともあり回避する選択が無くなってしまう。そんなダンにメラはどんどんと魔法を生み出しては連続で放ち続ける。
そんなこともありダンらメラとの勝負の優勢を譲ってしまい防戦一方になる。
ダンが防戦一方になり、そのままダンがメラに負けると思われたがダンはそんな状況を抜け出す為にメラの魔法を自分の闘気で身を守ることでダメージを抑え、多少の被弾は許容してメラに突っ込む。
そんなダンの行動を予想していたのか、メラは放たずに残していた威力を高めた魔法同士を融合させる。
「───ッ、ヤベェ!?」
──ダッ、ギィギィーー!!
メラの魔法が融合していく光景が目に入ったダンは、慌てて足を踏ん張ることで止まろうとするが、
「無駄よダン!この状態に持ち込めたらもう私の勝ちよ!!」
≪火よ!風よ!≫≪2つの力は混ざり共鳴し合い≫≪昇華し≫
≪新たな形を成せ≫………≪疑似融合魔法≫
≪ブラスト・バーン≫ッ!!ーー爆熱突風ーー
ーーブォオーーーォォォオッ!!ーー
詠唱が唱えたメラの疑似融合魔法が凄まじい威力でダンに放たれる!
「───ウォォォオォォオッ!!間に合え!!闘魔剣!ーー砲剣ッ!!ーー」
ダンはメラの疑似融合魔法に遅れながらも闘魔剣【砲剣】を繰り出した。
──《ギンッ、ドオォオオオオーー!!》──
結果、メラの疑似融合魔法【爆熱突風】と、ダンの闘魔剣【砲剣】が舞台の上でぶつかり合う。
「───きゃ!?」
「───おおっ!?」
その大技対大技のぶつかり合いにメラとダンは声を漏らしながら衝撃に耐える。
「これは凄い!!互いに、大技対大技のぶつかり合いだぁっ!!そのぶつかり合いのせいで舞台の上の様子が見えないが、これはどっちが勝利するのか!?」
実況はそのメラとダンの大技のぶつかり合いに興奮しながら状況を実況していく。
そして2人の戦いを観戦している闘技場にいる人間全員が勝負の行方を、大技の影響で見えなくなっている舞台の上を見つめていた。
「─────グハァッ!?」
皆が舞台の様子を見つめていると、舞台の上が見えて来たと同時に苦痛を漏らしたような声が舞台の上から聞こえてきた。
完全に舞台の上が見えて来た時、皆が舞台の上を見た際にメラ1人の姿が見えた。
姿を見えたメラだが、衝撃で体勢を崩したのか地面に倒れていたが無事な様子だ。
しかし、舞台の上に1人しか見えなかったこともあり、舞台の上にはダンの姿は見当たらない。
「どこだ、何処にいるダン!?舞台の上にはメラしかいないぞ?」
そして皆がダンの姿を探すと、
「ダンは舞台の下にいた!!───ということは、勝利はメラ!11回戦の勝者はメラだ!!」
次回でトーナメント戦、大会の戦いは終了となります。