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異世界トラブル  作者: 海路希望
5章~王都編~
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第105話(大会最後の戦い①)

今回はトーナメント戦①の話です。

トーナメント戦の話は①~③まで有る予定です。


では、先ずはトーナメント戦①、序盤の戦いをご覧下さい!



ミルンが悲鳴のようにイルマ達に自重の呼び掛けする等あったが、イルマ達以外の参加者達も騎士の座が掛かっていることもあり闘志を燃やして大会最後の戦いであるトーナメント戦に挑むのである。




「ふむ。遂に大会はこのトーナメント戦で戦いは終了か」


「はっ、国王様。このトーナメント戦が終了したら大会は終了となり、国王様が仰っていた騎士にする上位10名も決定します」


「だが、このトーナメント戦では上位10名の内、1度トーナメント戦で勝利した上位8名までしか決定しないぞ?

残り2名の選出方法は秘密とのことじゃが、大臣、その辺はどうなのじゃ?」


「はっ、その秘密の選出方法ですが──────」



大臣は国王様の疑問に対して、念のため周りに聞こえないよう国王様の耳元で小声で秘密にされている選出方法について答える。


「(やっぱり予想通り、イルマ君達は大会を勝ち上がってきたか)」


国王様と大臣のやり取りを横目で見ていたガネック伯爵は、トーナメント戦の組み合わせに書かれているイルマ達の名前を見ながら予想通りだと内心で呟く。


「(しかし、このトーナメント戦の組み合わせ内容は誰かの意図でイルマ君達の全員が潰し合うのが容易に見て取れる)」


トーナメント戦の組み合わせ内容がイルマ達がトーナメント戦を勝ち上がることを好んでいない意図を読み取るガネック伯爵。

そんなガネック伯爵はそれが誰の意図なのか察するかのように、今国王様と話をしている大臣に視線を向ける。


「(大方、イルマ君達の実力を前までの戦いで知った大臣が折角の王都で開かれた大会で、子供であるイルマ君達全員が大会上位になるのが避けたかったのであるだろう)」


大人げないことだとガネック伯爵は呟く。


そしてそんなことを思っていると大会実況者がトーナメント戦を始めようとしていた。


そのことで話していた国王様に大臣は口を閉じ、ガネック伯爵も視線を戦いを繰り広げる舞台の方に向ける。



そしてトーナメント戦の1回戦を行う男女の参加者が舞台の上に上がっていく。


その2人は互いに舞台に上がっては向かい合う位置に着き、戦いの合図を待つ。







「対戦する2人、準備はいいな?よし、ではこれよりトーナメント戦、Aブロック1回戦開始だぁ!!」




【Aブロック】

1回戦

キッスVSマリンの戦い。


「へっ、俺はラッキーだぜ!対戦相手が彼奴ら(規格外の連中)じゃなくて。しかも女が相手でなっ!」


──《魔槍激(マジ・ブレイクスピア)》──



キッスは対戦相手が、大会で規格外の力を見せつけたイルマ達や上級冒険者であるセイナではなかった事実に、運が良いと笑みを浮かべながら対戦相手であるマリンに得物である槍攻撃を魔力を付加して繰り出す。


「ッ、それは私の台詞よ!それに対戦相手がアンタで良かったわ。──お陰で勝てるんだからね!」

──《魔力障壁(マジック・シールド)》──


マリンはキッスの槍技である《魔槍激》を、自身の《魔力障壁》で防ぎながらキッスの台詞に此方の台詞だと言い返す。


そんな2人の戦いを観戦していた観客達は、


──いいぞ!もっとやれー!


──これで負けたら情けないぞキッス!


──勝ちなさいマリン、女がそんな男に負けたら駄目よ!


男の参加者(キッス)の発言に対して男達はこれで負けたら負けたらで面白いと楽しんだり、女性の観客達はそんな女の参加者であるマリンを嘗めた態度の発言をした男の参加者(キッス)に負けないよう応援していた。



………このキッスという男は馬鹿なのか?

もしこの戦いに勝ち上位10名の中に入れて、騎士になることが出来たらこの王都で仕事をするかもしれない。

そんな時に女性の住民に嫌われる発言をして、問題がないと考えないのか?



どう考えても騎士の仕事をする上で支障が発生する問題発言をしたキッスだが、流石に此処まで勝ち上がってきた実力は本物であり、マリンの魔法攻撃を回避しては見事な槍捌きを見せていた。


そして、2人の戦いは暫くキッスが魔法を回避しては攻撃を繰り出す、マリンがそんなキッスの攻撃を防ぎ魔法攻撃で牽制しながら間合いを取り硬直した展開が続いた。





しかし、



「──ックソ!魔法使いなんかに1体1で負けられねぇ!」


──ザッ、ドォーーン!!


「───ふん!私が相手だからって、嘗めた発言するアンタなんかに負けないわよ!それに私だって此処まで勝ち残ってきたのよ?普通の魔法使いと一緒にしないで欲しいわ!」


──ボォオオオオオッ!バン、バン、バンッ!



職業(ジョブ)槍士であるキッスは、自身の槍攻撃を迫る魔法を回避し、時には戦闘直後に繰り出した大技等を放つ。

しかし、そんなキッスの大技は職業(ジョブ)魔道士であるマリンが魔力障壁で阻み、職業的に苦手な接近戦を避けるように攻撃魔法で牽制して間合いを取られた挙げ句、強力な魔法攻撃で反撃されていた。










互いに硬直した戦いを繰り広げては白熱する、キッスとマリンの戦い。


しかし、


近接職業であるキッスが、遠距離戦が得意な魔道士であるマリン相手に互角の戦いを繰り広げていた段階で両者の実力はマリンが上なのは明白だった。


だから、



「──ウッ、ガハッ!」

───ドンッ!ザ、ザザザッ!

バタン!


「おっと此処で遂に、マリンの魔法を回避出来なかったキッスが魔法を喰らう!どうだ?キッスは立ち上がれるか?───立ち上がれない!キッス、ノックアウトッ!!!」



マリンの魔法を回避して自身の攻撃を繰り出していたキッスだが、肝心の攻撃はマリンの魔力障壁によって阻まれ届かず。

そして遂に迫る魔法を回避していく中で体力を消耗し、身体の動きが鈍った所にマリンの攻撃魔法を喰らう。

マリンの魔法を喰らったキッスは、舞台の上を転がり倒れ意識を失うのであった。



「ハァ、ハァ、ハァ…………どうよ、ハァ、勝負は………私の勝ちよ……」

(女を嘗めるからよ。でも、これで私は騎士になれる!)


自身の魔法攻撃で、対戦相手であるキッスを倒したマリン。

そんなマリンだが、魔道士が苦手である1体1の戦いをしたことや対戦相手であるキッスの実力が高かったこともあって肩で息をしており、嘗めた発言をしたキッスとの戦いは楽ではなかったことを証明していた。


だがどんなに体力を消耗していても、この戦いの勝利者は嘗めた発言をしたキッスではなく、その嘗めた発言に怒った魔道士であるマリンだ。

そんなマリンは息を切らしていることもあり、内心で女を嘗めた発言をしたキッスを罵倒し、その後にこれで自身が騎士になれると喜ぶのである。



「キッスが魔法を喰らいノックアウト、ということはトーナメント戦1回戦の勝利は、魔道士マリンッ!!」



そしてマリンの勝利を実況者が宣言し、その宣言を聞いた2人の戦いを観戦していた観客達は歓声を上げる。



──おいおい、接近戦が有利な職業の癖に接近戦が苦手な魔道士相手に、しかも1体1で負けるのかよ!


──情けないぞキッス!対戦前にあんな口(嘗めた発言)していたのに負けるなんて!


──マリン!よくやったわよ!


──そうよ!あんな女を嘗めた発言する(キッス)をよく倒したわ!


トーナメント戦に負けたキッス。

負けたキッスは、対戦前にあんな発言をしたこともあり女の観客達だけではなくて男の観客達からも冷たい視線を向けられることになり、王都では居づらいことになるのであった。










◆◇◆◇


「トーナメント戦Aブロックの1回戦が終了し、続いてAブロックの2回戦を開始するぜ!」


2回戦

カナVSガラの戦い。


細みの女で職業(ジョブ)が弓士であるカナと、大柄な身体を持ち職業(ジョブ)が巨大な斧を扱う重激士のガラの戦いは、奇しくも1回戦と同じく近接職業と遠距離職業、女対男の組み合わせであった。


2人の戦いはいかに自分の得意な戦いに持ち込めるかの戦いになり、観客達は1回戦と同じような組み合わせだった為、女性の観客達は「カナが勝って、女がいかに強いのか証明するのよ!」っと言ってカナの応援をし、男の観客達は「ガラ!此処で連続して男の参加者が負けたら、あまりにも情けないから絶対負けるなよ!」とガラの応援をしていた。


そして、カナとガラの2人の戦いは弓士であるカナが、自慢の弓でも大柄な身体を持つ重激士のガラを仕留めきれず接近され敗北する。


その勝敗に女性の観客達は残念だわ、と言って落ち込む。

男の観客達は、同じ男の観客達と肩を組んではガラの勝利を喜ぶ。


そんな反対の態度を露にする観客達の様子とは別に、戦いが終了したカナとガラの様子は同じ反応を見せていた。


「だ、大丈夫か?」


「だ、大丈夫よ。貴方が最後の攻撃で私を気を遣ってくれたから……」


「そ、そうか。…………それは良かった(ボソ)」


「──ッ!(見た目とは正反対な態度!ギャップが大きくて可愛いわ!!)」


カナとガラの2人は顔を紅く染めてはドキドキしていた。

2人は戦闘の際、ガラは戦闘時のカナの戦う女性の表情にときめき、カナはガラの戦闘後と戦闘終了後のギャップにときめいていた。


そんなこともあり戦闘を終了した2人は、騒いでいる観客達とは反対に騎士になれるなれないを頭の中から忘れて互いに意識しながら静かに舞台を降りていくのであった。






トーナメント戦2回戦はそんな武道大会とは似合わない様子を見せていたが、カナとガラの戦いそれからのトーナメント戦は武道大会らしい戦いが順調に行われていった。



3回戦の戦士セイジVS呪術士バラ。

この戦いの序盤は、戦士であるセイジが呪術士バラの呪術に翻弄されるが、中盤にかけてバラの呪術に慣れてきたセイジが戦況を覆していき、終盤には遂にバラの呪術をセイジがすり抜けては攻撃をバラに放ち、職業的に耐久力がないバラは一気に大ダメージを負ってはセイジはそのまま勝負の流れを掴み、勝利を納める。




続いてAブロック最後の戦いである4回戦。

4回戦はセイナVSテットの戦いだ。


(………ふん、コイツの実力は大したことないな。こんな相手に無駄な力を消耗するなんて不毛だ。一気に決めてやる)


舞台の上に上がったセイナは向かい合う対戦相手の姿を探るように見る。

ソロで活躍しているセイナは観察力優れていて、その為セイナは"姿を見る"それだけで対戦相手の大体の実力を察することが出来る。(イルマ達の姿を見てその実力を察することが出来なかったことについては、子供があれだけの実力を持つことに予想外(異常)だっただけである。)


そして、無駄な力の消耗を嫌ったセイナは、対戦開始早々に己の武器である弓と剣を駆使し、怒涛の攻撃を繰り出しては対戦相手であるのテットに何もさせない圧倒的な実力を見せて勝利を飾ったのである。


「グッ……………ち、チクショウ………」


「……チッ(まぁいい。お陰で無駄な力の消耗を避けれたのだからな)」



何も出来ずに敗れて悔しがるテット。

しかし、セイナはそんなテットの様子を気に止めずに予想通りの実力に舌打ちする。

しかしそんなセイナだったが、逆にお陰で力の消耗を避けれたと考えを切り替えた。


何故セイナが考えを切り替えたかというと、



「(まだ彼奴らが残っている。彼奴らと戦い勝ち、このトーナメント戦に優勝するにはこんなトーナメント戦序盤で無駄な力を消耗するわけにはいかないからな。この上級冒険者である俺が、あんな子供達相手に、こんな大衆がいる中で負けるわけにはいかないかな!)」

──チラ



先程戦いを終えたセイナだが、その意識は既に別ブロックにいるイルマ達に向いていた。


確かに、トーナメント戦を勝ち上がり優勝するにはこのトーナメント戦序盤、まだ戦いが始まったばかりの今は力の消耗を避けたいと思うのは当然だ。

勿論セイナもそのことを意識しており、先程の戦いでは全力では行わず余力残していた。

だがセイナはそれだけを気にして戦いを繰り広げたのではなく、自身が警戒しているイルマ達(子供達)との戦いに備えて、実力が自身に比べてかなり劣る対戦相手に開始早々に圧倒することで勝負を決めたのだ。


その証拠に勝利したセイナだが、その視線の先には対戦相手ではなく、自身の戦いを観戦していたイルマ達の姿があった。



「(運が無かったな。この大会に優勝することは出来ないぞ。なにせこの俺がいるからな!)」



戦いを終えたセイナは、舞台の上から降りながらイルマ達に視線を向けながら対抗の意識を燃やしていた。











「やっぱりアイツ強いな。で、アイツは俺達を意識しているみてぇだが、俺達が今意識している相手はお前じゃねぇんだよ」


「そうよ、私達はアンタよりも先に倒す相手(イルマ)がいるんだから)」


「(まぁ、その相手(イルマ)を倒す前に強敵(メラ)を倒さないといけねぇみたいだけどな!)」

「(だけど、その相手(イルマ)を倒す前に単純馬鹿(ダン)を倒さないといけないみたいだけどね!)」


「ふふ(……私は2人のその前に先に戦うけど)」


「皆……対戦が楽しみだね」


『皆さん、大丈夫と思いますけどそれよりも前に、皆さんには他の対戦相手との対戦が待っているんですから、戦いの意識が先を意識し過ぎると足下を掬われますよ?』



そんなセイナから対抗意識を燃やしてた視線を向けられたイルマ達だが、ダンとメラにシーラの3人はそれよりも優先することがあって無視する。

そしてそんな3人の様子にイルマは、3人との対戦が激戦になると力を消耗しては大会の優勝が遠のくかもしれないが、3人との対戦を楽しみにしてた。

ミルンはそんなイルマ達に、イルマ達の実力なら大丈夫と思っているが、その前に他の大会参加者との対戦が有るのだから足下を掬われないよう気を付けるように忠告する。



「了解だよミルン」


「……分かってる」


「大丈夫よ、ミルン。………この馬鹿以外はね」


「何だと、メラ。俺もちゃんとそんなこと分かってるよ!」


「はいはい、戦いの前に無駄な体力を使わない。ほら、メラもダンを挑発しない」


「………分かってるわよ」


「あ~あ、メラの奴、イルマに言われたら素直に聞くんだな?」


「………それは確かに(ふふ、メラ可愛い)」


「~~~~っ!!」


「ダンにメラ!それにシーラもそれまで!」『そうですよ皆さん!』



ミルンの忠告に返事をするイルマ達だが、メラがミルンに返事した際ダンを弄り、弄られたダンはメラに仕返しで、イルマの言うことは素直に聞くとメラをからかう。

シーラもそんなダンのからかいにノリ、メラが顔を紅くして怒ろうとするがイルマとミルンが止めに入る。


そして皆の仲裁をしたイルマだが、その後皆に魔道具で映し出されたトーナメント戦の表を指し、自分達のトーナメント戦が間もなく始まるよ、と告げる。



「Aブロックの1度目の戦いは終了っ!!───────続いては、Bブロックの戦いを始めていくぞぉ!!」


───《ワァアアアアアアーー!!》



イルマの言葉が合図かのように、ちょうどのタイミングで大会実況者がBブロックの戦いが始まることを告げる。



「よしゃ!俺から行くぜ!!」


「ちゃんと勝ちなさいよ」


「………負けたり下手打てば罰ゲームだから」


「罰ゲーム………そうだね。もしダンが負けたり、油断や余裕を見せて下手打てば罰ゲームで勉強会を開こう」


「べ、"勉強会"!?

───────こりゃやべぇ!

気合いが入っていなかった訳じゃなかったけど、これは本気(マジ)でやらねぇと罰ゲームだ!!」


罰ゲームで勉強会を引き合いに出してダンの気合いを入れるイルマ達。

イルマ達の脅しを聞いたダンは、勉強会の単語に途端に顔色を悪くして「絶対に無様な戦いは出来ねぇ!!」、と決死の覚悟を決めて舞台の上に上がって行く。

そしてイルマ達はそんなダンの様子に「よし、これなら勉強会が嫌で、ダンが絶対に勝つだろう」と、顔を合わせて悪い顔をしていた。



そんなことがあり、第4種目のトーナメント戦はAブロック参加者の1度目の戦いが終了し、そして次はイルマ達がいるBブロックの戦いが始まっていくのであった。



次回はトーナメント戦中盤。

次の話にはイルマ達の無双する展開が待ってます。

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