第104話(大会第4種目前の出来事)
前回の話で気付いていた人もいると思いますが、ただトーナメント戦を行うだけだと人数の関係から上位10名を決めれません。
それについてはこのトーナメント戦の後で解決します。トーナメント戦の後での理由は今回の話で理由を明かします。
後、トーナメント戦の戦いは次回になりました。
トーナメント戦の組み合わせを既に決められていたこと、その組み合わせ内容に絶望する大会参加者達(イルマ達やセイナ以外)を尻目に、トーナメント戦の対戦相手の組み合わせが映写する魔道具によって闘技場にいる全ての人間に見えるよう上空に映しだされる。
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【Aブロック】
1回戦
キッスVSマリン
2回戦
カナVSガラ
3回戦
セイジVSバラ
4回戦
セイナVSテット
【Bブロック】
5回戦
ダンVSニック
6回戦
メラVSオズボーン
7回戦
イルマVSヒルマ
8回戦
シーラVSブルナーク
9回戦
Aブロック、1回戦と2回戦の勝者
10回戦
Aブロック、3回戦と4回戦の勝者
11回戦
Bブロック、5回戦と6回戦の勝者
12回戦
Bブロック、7回戦と8回戦の勝者
準決勝戦
Aブロック、9回戦と10回戦の勝者
Bブロック、11回戦と12回戦の勝者
決勝戦
Aブロックの勝者とBブロックの勝者
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闘技場にいる全員が、発表されたトーナメント戦の組み合わせに視線が釘付けになる。
「………あれ?これってどうなるんだ?」
すると、トーナメント戦の組み合わせを見ていた者達の中で、このトーナメント戦ではある問題が発生していることに気付く。
「このトーナメント戦だと上位10名ってどうやって決めるんだ?」
「………そういえば、トーナメント戦を行う人数が20名なら1回戦を勝ち上がった者達で上位10名が自動的に決まるんだろうけど、今回は16名のトーナメント戦だ。この場合、普通にトーナメント戦をしていたら上位10名を決められないぞ!」
「おい!そこのところどうなっているんだよ!?」
「上位10名はどうやって決めるんだよ!」
この16名によるトーナメント戦の対戦表を見ていて、これでは上位10名を普通に決めることが出来ないことに気付いた大会参加者達はどうなっているんだと騒ぎ出す。
──うわぁ、ホントだな。これってどうするんだ?
──でも、大会側は最後の戦いはどんな形になってもトーナメント戦ですることを決めていたんだろ?ならこの場合も、何か上位10名を決める方法を事前に決めてるだろ普通。
──………そうだよな。最後にトーナメント戦するのを決めてたんなら事前にこんな場合の対応を考えているだろしな普通。
そしてその事に気付いた観客達もどうするんだ?と騒ぎ始めるが、観客達は当事者である大会参加者達とは違い徐々に落ち着いて考えることが出来て、元々トーナメント戦を行うと決めていたんだから何か考えが有るだろうと大会側の発表を待つ。
「静粛に!静粛にッ!────このトーナメント戦を見てどうやって上位10名を決めるのかと今此処にいる全員が思っていることは承知だ!その事についてだが、大会上位10名を決める方法は既に決まっている! 」
「「「「……………………」」」」
騒いでいる者達は大会実況者がに静粛にと叫んだ後、既に上位10名を決める方法が決まっている発言を聞いては答えを聞く為に口を閉ざして待つ。
「大会上位8名まではトーナメント戦の勝者で決まるから、残り2名を別の方法で選出する。その方法は……」
「「「「……その方法は?」」」」
「…………まだ秘密だ」
「「「「何!?まだ秘密だぁーー!!??」」」」
──ガクッ!
大会実況者から答えを焦らされた挙げ句、その上秘密だと言われ答えを待っていた皆は声を揃えて叫び転ぶ。
──ムク
転んでいた者の1人が身体を起こしては大会実況者に向かって抗議の声を叫ぶ。
「ふざけるなよ!焦らした挙げ句に秘密なんて許される訳ないだろ!」
「そうだそうだ!俺達にとっては騎士になれるか大事な話だぞ!」
──そうだぞ実況!答えを楽しみに待っていたんだぞ!
──此処まで来て焦らすな!
大会参加者や観客達問わず大会実況者の答えに納得出来なかった者達は一斉にブーイングの声を上げる。
「あ~~待った待った!!これには理由がある!!」
「あ、理由だと?」
──納得出来る理由だろうな?
と大会実況者に闘技場中から圧が掛かる。
「──ッそう!秘密にする理由がちゃんとある!───ゴホン。残り2名の選出方法を秘密にするには理由があって、その方法を教えたことでトーナメント戦ではなく、それに向けて力を入れることを防ぐ為だ。もしそうなればトーナメント戦に影響が出てしまえば白けてしまうからな!」
大会実況者は、その闘技場中からの圧に耐えながら選出方法の秘密する理由を話す。
(これならどうだ………?もしこの理由でも大会参加者達は兎も角、観客達が納得してくれず抗議の声が上がるなら俺が大会代表として観客達からは責められ、上の者からも観客達をちゃんと説得出来なかったとして責められる………!!)
選出方法について秘密する理由を説明した大会実況者は、これで皆納得してくれと内心で祈る。
そんな実況者の祈りがマナの女神に届いたのか、先程まで上がっていた抗議の声は止んでいた。
──!………成る程。
──確かに。選出方法が解っていれば、対戦相手次第ではトーナメント戦を危険や手を抜いてそれに賭けるその可能性はあるな。
「………そう言われば、選出方法を秘密仕方ない」
「………………チッ!(選出方法が解れば俺の対戦相手だとそれに賭けるのが1番良い手だと思ったのに。……でも、周りの納得している様子の今、さっきみたいにもう抗議の声を上げることは出来ない………抗議の声を上げたらそれこそ疑われて、騎士になるチャンスがなくなってしまう………!)」
「(確かに、このトーナメント戦の組み合わせを考えれば、そんなことを考える人間がいるだろうな。それこそ、そこで舌打ちをしている奴とか見れば他にもいそうだな)」
大会実況者の言葉と祈りが、先程まで抗議の声を上げていた者達に届き、選出方法を秘密する理由に理解したり、思惑が上手くいかなくなったが周りの様子からもう抗議の声を上げることが無理と悟り舌打ちする者や、その舌打ちする者を見ては他にも同じことを考えている人間がいると思い秘密にする理由に納得するのであった。
そして大会実況者は、闘技場中からの抗議の声が止んだことでホッとしては大会の最後の戦いであるトーナメント戦を行う為に大会の進行をしていく。
「───それでは上位10名を決める話は終わって、大会最後の戦い、第4種目であるトーナメント戦を開始していくぞ!」
────ワァアアアアーーー!!
トーナメント戦開始の宣言を大会実況者がしたことにより、それを聞いた観客達は上位10名の内残り2名の選出方法は後の楽しみにし、トーナメント戦が始めることに歓声を上げるのである。
そしてそんなことをしてた頃、トーナメント戦の対戦の組み合わせを見てたイルマ達はいうと、
「何よ、私達4人全員がBブロックだわ!これだと私達で潰し合うことなって、全員と戦うことが出来ないわ!」
──折角こんな大舞台で戦うのに!
「ああ、そうだせ!折角此処まで来たんだから俺達全員と戦いたかったぜ!それに加えて、俺達が戦うまでの待ち時間が長いぜ」
──まるでお預けを喰らってる気分だぜ……
自分達のトーナメント戦の組み合わせを確認したイルマ達。
メラやダンは自分達全員が同じブロックで当たることや、待ち時間が長いことを不満を呟く。
「………でも、この待ち時間で体力を回復したイルマが私達と対等な条件で戦える」
「「!」」
そんなシーラの発言にメラとダンがあっ、と口を半開きにして顔を見合わす。
「そうだね。待ち時間が長いことについては僕は助かったよ。お陰で消耗した体力を回復させる時間があって皆相手に無様な戦いをしなくても済むから」
──『ほんとラッキーでしたね、イルマさん。』
──ミルン。そうだね、ほんとだよ。
イルマは待ち時間が長いことについては、消耗した体力の回復時間が貰えてメラ達相手に無様な戦いをしなくても済むから助かると呟く。
「…………ホントだな。どうせイルマと戦うなら対等な条件で戦う方がいいぜ」
「………そうね。幾らイルマが私達の中でも1番高ステータスと言っても、戦い方次第で勝てない訳じゃないし………それに皆が言うように、イルマに1度対等な条件で戦って勝ちたいわ」
「………イルマだけじゃない。皆が相手でも負けない」
「おう俺もだ。メラやシーラにも負けないぜ?」
「それは私もよ」
先程のトーナメント戦の内容に不満を抱いていたメラとダンだが、シーラの発言で今度はメラメラと闘志を燃やす。
そんなメラ達の様子にイルマは、
「そうだね。僕も皆に負けないよ!」
「「「イルマ!勝負 (だ)(よ)!」」」
イルマもメラ達の闘志に感化され闘志を燃やし、そんなイルマに対してメラ達は特に
『………皆さん燃えてますね。これなら皆さんがトーナメント戦で油断して負けることなんてなさそうですね!………あれ、そういえばこれって不味くないですか?』
皆さん闘志を燃やしていること自体は良いことなんですけど、イルマさん曰く、セイナって人も固有技能保持者みたいですし、その人やイルマさん達が闘志を燃やして本気でぶつかり合うことになれば、この闘技場の結界、こんな結界なんて吹っ飛ぶんじゃあ………
イルマの中から状況を見ていたミルンだが、闘志を燃やして戦うことを決めたイルマ達と同じ固有技能保持者であるセイナが戦いを繰り広げる、そのことで起きるであろう事態を想像したミルンは1人冷や汗を流していた。
固有技能保持者のイルマ達とセイナ。
この闘技場の舞台の周りには結界を張られているが、まさか固有技能保持者達がしかも本気で戦いを繰り広げることを想定しては結界を張られてはいない。
その事に気付いたミルンはイルマ達やセイナの勝負の行方よりも、結界を吹っ飛ばし大惨事になるそんな事態が起きないようにイルマ達にやり過ぎないように慌ててイルマ達に念話を飛ばす。
『皆さん、勝負に勝つことは大事ですけど、勝つことに意識が集中し過ぎて結界を吹っ飛ぶすなんてやり過ぎだけは気を付けて下さいね!ねぇ、イルマさん達私の声が聞こえてます?聞いてください!本当に、本当に不味いですから私の声を聞いてくださーーい!!』
トーナメント戦でのぶつかり合い、仲間達に負けないように闘志を燃やしているそんなイルマ達にミルンは必死にやり過ぎないように念話を飛ばすが、仲間達やトーナメント戦に意識が向いているイルマ達には届かない。
このままなら想像した大惨事が起きてしまうと冷や汗を滝のように流すミルンはそれは何としても回避しようと声を悲鳴のようになりながらもイルマ達に念話を飛ばし続けるのであった。
『お願いですからイルマさん達、私の声を聞・い・て・く・だ・さーーいっ!!!』
【固有技能保持者の本気の戦いで結界が壊れなかった場合】
イルマ達がトーナメント戦での戦いで、自身達の全力で固有技能の攻撃を放つ。しかしその攻撃は外してしまい結界にぶつけてしまう。
「「!」」
『あっ!?結界にイルマさん達、全力の攻撃が当たった!結界が、結界が壊れる!?』
そのことで結界が壊れ、結界の外にイルマ達の攻撃が漏れて大惨事を想像したミルンは悲鳴を上げて目を閉じる。
『………あれ、結界が壊れない?………どうして?』
しかし、閉じていた目を開けたミルンの目の前には大惨事ではなく、イルマ達の全力の攻撃を喰らっても壊れていない結界の姿が映る。
「「「フハハハ!!私達が張った結界は誰にも破れない!!」」」
そこに結界を張った魔道士達が自分達の結界は誰も破れないと声を上げた。
『えっ?王都の魔道士の人達って、固有技能保持者であるイルマさん達の力を防ぐことが出来るとんでもない人達何ですか!?そんな人達がいる王都って怖い!!』(田舎に、ポルカ村の森に帰りたい!)
「「俺達の力って、実はそんなに凄くない?」」
その事実にミルンは規格外と思っていたイルマ達の全力の力を防ぐ力を持つ魔道士がいる王都を怖くなり、自分が棲んでいたポルカ村の森に帰りたくなる。そして、自分達の力がそんなに凄くないと思ったイルマ達は落ち込む。
「………ふむ。余の魔道士部隊は大陸1だ!」
そしてその魔道士達の力を見た国王様は、自分の国に仕えている魔道士部隊の力を自慢するのであった。
……………嘘の話です。
トーナメント戦の戦いですが、次回こそします。
そして次回は王様や大臣と伯爵、それに例のあの女の人も登場します。