第103話(大会第4種目の内容)
今回は前回イルマが使用した新しい力の説明と、最後の戦いの種目の発表になります。
では、異世界トラブルの続きをどうぞ!
「イルマ参加者!まさか、まさかのゴーレム20体全て倒すことで【逆戦闘】をクリア!!」
────《ワァアアアアアーー!!》
「ハァハァ………」
『───大丈夫ですか、イルマさん』
「ハァハァ……………うん………ミルン、大丈夫だよ。ちょっと力の制御で疲れただけだから………」
20体全てのゴーレム達を倒したイルマ。
そんなイルマは、肩で息をする程かなり体力を消耗していた。
『………そうですか。でも、イルマさん無理し過ぎですよ。私も協力したからあまり強いこと言えませんけど、私とイルマさんの魔力を融合させることで力を何倍にも増幅させる《ユニゾン・ドライブ》を初めて発動させた上に、魔法と闘気を融合させることで発動させる力の制御が難しい闘魔剣を使うなんて……』
「……だね。ちょっと無理したかも」
『ちょっとじゃありません!かなりです!!その証拠に、イルマさんバテバテじゃないですか!』
そんな体力を消耗していたイルマは、戦いが終わり舞台をゆっくりと降りながら取り憑いているミルンと会話をしていた。
ちなみにイルマがこんなにも体力を消耗している理由とは、自分に取り憑いているミルンと自分の魔力を融合させることで力を何倍にも増幅させる《ユニゾン・ドライブ》を初めて発動させた上に、その状態で魔力と闘気を融合させて発動される力の制御が難しい闘魔剣を使ったことが原因だ。
「………でも、そうしないとあの数のゴーレム達を制限時間内に倒すことが出来ないと思ってね。………それに《腕力強化》や通常技能だとあのゴーレムの硬い装甲を破壊するには力不足の可能性があったし、職業技能も同じ理由で無理だし、ゴーレムの装甲を破壊出来る《ソウル・バースト》は単発の技もあって、だからあの時は闘魔剣しか無いと思ってさ」
『………だったらあの時、《ユニゾン・ドライブ》しなくて普通にゴーレム達と戦ったらよかったじゃないですか………それだったら何の問題もなかったのに』
「………うん、そうだね。確かにミルンの言う通りに戦ったらゴーレム達を何の問題もなく倒すことが出来たと思うけど、それだと制限時間内に倒すことが出来たか分からなかったし、あのゴーレム戦は奥の手である《領域眼》の訓練にもってこいと思ってさ………………それに」
『それに?』
「………いや、何でもないよ。(何か嫌な予感がするから今の内に使えるようにしときたい何て、まだ何も起きてないのに不安にさせるから言えないよ……)」
『?とりあえずイルマさん、かなり体力を消耗しているんですから、今・は・無茶は控えて下さいね!』
「ははは、……了解だよ」
『約束ですよ………』
ミルンから暫し無茶禁止の命を出されたイルマは苦笑しながら了承し、嫌な予感については自分の心の中に仕舞うのである。
「イルマ~~!」
「イルマ、ちょっと大丈夫なの!?」
「………かなり……体力を消耗している」
「皆………」
『ちょうど良かったです。皆さんからもイルマさんに注意してください』
「ちょっ、ミルン!?………あ~~、これは………」
メラ達はイルマの戦いが終わりイルマの元に行こうとすると、舞台を降りるイルマがかなり体力を消耗しているのを遠くから見ては急いでイルマの元に駆け寄る。
イルマの元に心配して駆け寄ってきたメラ達にミルンが再度無茶をしないように注意して欲しいと告げ、そんなミルンにイルマは勘弁してと声を上げる。
そんな声を上げるイルマに対しメラ達はジロッとイルマを見つめては体力を消耗している理由を問い詰める。
そんなメラ達の視線にイルマは言いづらそうにした後、自分が今こんなにも体力を消耗した理由をメラ達に説明する。
「────という訳です」
何故こんなにも体力を消耗しているか理由を説明したイルマに対し、それを聞いたメラ達はハァ~~っと、安堵の息を吐く。
「イルマ、あんた馬鹿なの?こんな大会真っ最中に新しい力を試す処かそんな無茶をするなんて」
「………単純馬鹿の誰かとは違い、イルマにしては珍しい。そう………単純馬鹿の誰かとは違って」
「そうだな。イルマにしては珍しいよな………それとシーラ、単純馬鹿の誰かさんって、誰のことだ?」
「………うん」ビシッ
誰が単純馬鹿の誰かさんだと聞いてくるダンに、シーラはダンのことを指差す。
「な、俺が単純馬鹿………だと!?おいシーラ!俺の何処が単純馬鹿だァッ!」
シーラに俺の何処が単純馬鹿だ!と、抗議するダン。
「何処が?………うん………見たからにダンは単純馬鹿」
「何だと~~!?」
そんな抗議の声を上げるダンに対してシーラはジーと、見ては見た目から単純馬鹿と再度ダンに告げ、そんなシーラにダンが詰め寄る。
「ちょっと、そこ!うるさいわよ!」
しかし、そんな騒いでいるダンにメラが怒りの声を上げた。
「だってよ~メラ、シーラが俺のことを単純馬鹿って………」
「あんたが単純馬鹿なことは周知の事実よ!そんな今更なことで話の腰を折らないの!」
───ガーーン!!
「………俺が単純馬鹿は周知の事実………しかも、話の腰を折ったのはシーラで俺じゃないのに………」
シーラに単純馬鹿と言われ、それに抗議の声を上げたダンはメラからも単純馬鹿と言われた上に話の腰を折るなっと、自分が話の腰を折った訳ではないのに怒られ落ち込むダン。(ダン哀れ)
そんなダンをイルマは可哀想にと思うが、今の自分の立場で何か言えばもっと怒られると察し何か言うことは止めといた。
しかし、
何も言わなくてもイルマはその後、「こんな時まで訓練するな」「そんな無茶をして何かあればどうするつもり」等とこっぴどくメラから怒られたが………
そして、
メラからこっぴどく怒られていたイルマだったが、次の戦いもあることから大会の係の者からメラのお叱りのストップの声が掛かり、それによってメラからのお叱りからイルマは解放されるのであった。
(その事でイルマは体力が消耗していたこともあり、メラからのお叱りを止めてくれた大会の係の方に両手を合わせた上頭を下げ、感謝を伝えるのであった)
◆◇◆◇
「────第3種目の戦いがこれで全て終了し、残る大会の戦いは残り1種目になります!」
───残り最後だと!?俺はまだまだ戦いを見ていたいぞ!!
───そうだそうだ!!
───でも、残りの参加者の数からいって、次の戦いが最後なのは妥当かな?
───………確かに。しかし、次の戦いは何だ?第1種目、第2種目、第3種目ときて、次は何の戦いになるだ?
第3種目の全ての戦いが終了し、大会実況者が次の戦いが大会最後の戦いになると発表する。
その大会実況者の言葉を聞いた観客達は、まだ戦いを見ていたい、でも残り人数から次の戦いが最後なことは納得だ、今までの戦いから次の戦いは何だっ、と様々な声が上がる。
「確かに、確かに次の戦いが最後になるのは心苦しい!!─────しかし!次の戦いで国王様から騎士に選ばれる上位10名、それとこの大会での優勝者が決まる!!」
──おおっ!そうだった、上位10名までは国王様から騎士にして貰えるんだった!
──確か、第1種目で参加者約100名の半分近くまで敗退して、次の第2種目で20名近く敗退、第3種目の戦いで残りの人数が………えっと、何人だっけ?
──お前なぁ~、戦いを見ていて勝ち残った人数も数えてないのかよ。確か………「そして!現在大会第4種目まで勝ち残っている参加者の数は"16"名!」そう、残り16名……
──そうだった、残り16人か。でも、残り人数が16人で上位10名と優勝者を決める戦いは何だ?
──お前、そりゃ順位を決める戦いで、今までしていない戦いって言ったら、アレだろ?
──……アレ?
大会に勝ち残っている人数が16名なことを実況者が闘技場にいる全ての人に聞こえるように知らせる。
そして観客達は、残り人数から順位を決める次の戦いを予想する。
「察している観客の皆様もおられると思いますが、そう最後の戦い、第4種目の戦いはトーナメント戦になります!!」
──トーナメント戦!
──やっぱり………最後の戦いはトーナメント戦か、残り人数から順位を決める戦いって言ったら、トーナメント戦だな。
──そうだよな。やっぱり闘技場の戦いで最後の戦いって言ったらトーナメント戦だよな。
──………確かに残り人数からいって、順位を決める戦いはトーナメント戦が妥当だが………しかし、よく都合がいい人数が勝ち残ったな。
──そういえば、そうね。残り人数が16人だからトーナメント戦が出来るけど、もしこれが17人とか半端な人数だった場合はどうしたのかしら?
──………そりゃ~やっぱりこれまでの成績が良い奴がシードとかしてトーナメント戦の組み合わせを調整したんじゃねぇ?
──そうね、確かにそうすれば何とかなるわね。
──だろ?
最後の戦いがトーナメント戦だと知らされた観客達。
観客達はトーナメント戦が最後の戦いだと知らされ、今回16人が残ったが半端な人数の場合はどうしたのか、その場合はその場合で大会側が成績が良い者をシードとかして調整しただろうとその場合の対応について予想を語る。
「え~~、今回偶々トーナメント戦に都合が良い人数が勝ち残りましたが、そうでなかった場合は此方で調整して最後の戦いをトーナメント戦が出来るように考えていたのです!」
その大会実況者の言葉に予想が的中した観客は、周りの者にほらっ、どうだ俺の言った通りだろ?と自慢気に自分が凄いのかとアピールする。
「この大会の上位10名は、国王様がおっしゃったように騎士にとの話だったので、今までの戦いは第1種目は乱戦、第2種目は戦略、第3種目は不利な戦いと、騎士になっても問題が無いよう戦いの種目が用意されてたのである!!」
大会実況者が今までの大会の種目は、大会に勝ち残った者が騎士になっても問題が無いように用意された種目だと説明する。
その大会実況者の説明に、闘技場にいる観客達や大会参加者達は成る程っと、だからあんな種目で戦いを行ったのかと納得するのである。
「───そして最後の戦い、騎士に必要な力、それは力。最後に騎士に必要な力は何といっても力だ!その力を見せて貰うには第4種目である最後の戦いは1対1のトーナメント戦が1番と判断し、どれだけの人数が最後まで勝ち残った場合でも最後の種目はトーナメント戦と決めていた!!」
───成る程!!
───いいぞ!俺は最後の種目がトーナメント戦で賛成だ!
「ありがとうございます!!では、観客の皆様から理解と賛成のお言葉を頂戴したことで、勝ち残った参加者、これより最後の戦いであるトーナメント戦を行うぞ!!」
───トーナメント戦か……。どうやって組み合わせを決めるんだ?上位10名の中に入るには組み合わせ方法が重要だ。
───………だな。組み合わせ方法が成績順かクジかそれによっては順位が変わる!成績順に有利な形なら俺は上位10名に入れない。クジで、クジで組み合わせを決めてくれ!
───俺は騎士になりたい。何としても上位10名の中に入って騎士になりたい。だから!頼むからアイツらとは最初に戦うことにはならないでくれ……!
───イルマって奴、さっきの戦いでかなり体力を消耗しているし、もしかしたら勝てるか?………いや、幾ら体力が消耗していても、地力が違い過ぎる。やっぱり勝ち上がるには他の奴らと当たる方が可能性は高いな。
トーナメント戦を行われると宣言された勝ち残ったイルマ達やセイナ以外の大会参加者達は、トーナメント戦がどのように組み合わせを決めるかで自分が上位10名の中に入れるか決まることもあり、組み合わせ方法が誰にも上位10名に入れる可能性がある形になったり、イルマ達やセイナとトーナメント戦の最初に当たらないことを祈る。
「───では、トーナメント戦を始めていくが、肝心のトーナメント戦の組み合わせだが……」
──《ゴクリッ!》
「あーー、トーナメント戦の組み合わせ方法は………」
──《ゴクリッ!………頼む!》
「強い者だけが勝ち上がるべき!その為トーナメント戦は今までの成績を考慮し、勝ち残った者の中で成績が良かった者と、成績が悪かった者との組み合わせで既に決定した!!」
───《そ、そんな、嘘だろーー!?》
イルマ達やセイナ以外の大会参加者達は、まさかの組み合わせの発表に絶望の悲鳴を上げる。
「それでは、この組み合わせで大会最後の戦い、トーナメント戦を行っていくぞーー!!」
───《ワァアアアアアーー!!》
次回、トーナメント戦の組み合わせの発表とトーナメント戦の戦いの予定になります。