第93話(ナミノ教官との最後の勝負!王都へ出発!)
今回から新章になります。
今回の章からはイルマ達が住んでいる国の王都が舞台になります。
では、異世界トラブルの続きをどうぞ!
冒険者養成所を無事卒業したイルマ達。
そんなイルマ達だがまだチユルの町に滞在していた。
イルマ達がまだチユルの町に滞在している理由だが、契約していたガネック伯爵が王都からスライムロードの件で呼び出しがあり、そのことでガネック伯爵からイルマ達も自分と一緒に来るようにお願いがあったことや冒険者養成所在学中に勝てなかったナミノ教官に再び挑む為である。
そのナミノ教官との手合わせだが、イルマ達がナミノ教官に頼んだ際「イルマ達の本当の実力を担当教官だった俺としても把握しておきたいから、お前らが自分達の固有技能を使った上での本気の手合わせならしても構わない」とのことで、ナミノ教官もイルマ達との手合わせを了承したことでナミノ教官が空いている時間に行われることになった。
そしてナミノ教官は、その手合わせでイルマ達の本当の実力を把握するために自分も本気を出す行うことを伝え、その際に自分は循環術の奥義である"心闘衣生成"を使うが、自分の身体が持たないことやそもそも教え子に向けて使う技では無い技ではないので、奥の手である【雷牙闘剣】は使わないことをイルマ達に伝える。
そのことを聞いたイルマ達は、流石にアレを手合わせの際に喰らってしまうと流石に死んでしまうから「当たり前だっ!」っとナミノ教官に思いっきり突っ込むのであった。
ナミノ教官はダンとメラ、それにシーラとの手合わせ度に休憩時間を設けてと回復魔法を使い身体を充分に回復させた上で行っていき、最後にイルマと手合わせを行っていた。
そして、
──キンッ!キンッ!キンッ!キンーーッ!!
──キンッ!キンッ!──
──ドガッ、ドンッ…………ドンッッ!!
「…………流石だな……」
(メラ達もだが、コイツら前回の手合わせの際よりも物凄く成長していやがる。イルマ………前回の手合わせで負けてしまったから気合いを入れて戦いに挑んでいるがそれでも互角だと!?………)
「……まだまだですよ」
(ック!……これが本気を出したナミノ教官の実力!?スライムロードとの戦いの際やメラ達との手合わせでその実力を見ていたけど、実際に自分で戦うとやっぱり凄い!)
ナミノ教官とイルマは互いの力を感じてはその相手の力に感嘆していた。
そしてナミノ教官とイルマの手合わせは、イルマが戦闘用に技能を改造して編み出した固有技能の"領域眼"を使っては本気でナミノ教官に向かっていき、ナミノ教官も"心闘衣生成"の力を全開に発動させて迎え撃つ。
しかし、規格外の能力値に加えて領域眼の力で自分のフェイントや目眩ましをして死角からの攻撃を防いだ上に、規格外の能力値で自分の動きに着いて来ているだけではなく激しく攻撃を繰り出してくるイルマの力に冷や汗を流すナミノ教官。
その結果、イルマとナミノ教官の2人は互いに自分の力を存分に発揮させては高速の戦いを互角に繰り広げていた。
「(スライムロードを、幾ら俺がある程度弱らしていたとしても単独で討伐したことでその力がとんでもないことは分かっていたが…………この歳でこの実力は普通におかしいだろ!!…………規格外な奴めっ!!!)」
イルマと手合わせをしているナミノ教官は、イルマの固有技能"領域眼"を使っての実力に内心で悪態を吐く。
「(…………本当に強いっ!!…………領域眼を使っているのにナミノ教官に全然隙が見当たらない。これじゃあこのまま戦いを続けても千日手だ………)」
そしてイルマはイルマで、心闘衣生成を発動させたナミノ教官のその強さと自分が領域眼を使っても全然ナミノ教官の隙が見えないことで、このまま戦いを続けても互角の状況を打破出来ないと焦る。
そして、
「(…………本当に不味いぞ。……こんな高速の戦闘中で互角の戦いの状態だと魔法や溜めが必要な大技を放つことは難しい上にナミノ教官に隙が無い。そして幾ら互いに千日手状態だとはいえ、このまま長期戦になれば経験が豊富なナミノ教官が有利だ……どうする?……この状況を打破するにはどうする?……魔法や大技が使えずに手合わせの関係上逃げることや降参は選択肢に無く、隠れる場所も無い…………ッ魔法や大技は使えず逃げ隠れや降参は出来なくて、しかも教官の隙が見えず今打てる技も通用しなそうな今僕がナミノ教官に打てる手はないかッ!!…………ッ!!……なら、後はこの領域眼の力を限界を越えて発動させることしか僕が今打てる手は無い!!)」
このままだと自分が負けると判断したイルマは、この状況を打破するために領域眼の力を限界を越えて発動させるしかないと判断する。
「────技能≪限界突破≫発動!!"領域眼"!!限界突破!!───────────そこだっ!!」
──ザンッ!
イルマは固有技能"領域眼"に対して技能≪限界突破≫を領域眼の技能に発動させることで現在発動させている領域眼の力を限界以上に発動させてはナミノ教官の隙を無理矢理見つけて、その隙にスピード重視で勢いよく剣を振り下ろす。
「なっ!?」
そしてナミノ教官は自分の僅かにあった隙を突かれたことで、イルマが繰り出して来た攻撃の防御が遅れてしまう。
しかし、
「!?………クッ!!…………な………舐めるなッ!!」
──グイッ、──ブンッ!!!
ナミノ教官はイルマの限界を越えて発動させた領域眼の力によって僅かにあった隙を突かれ、イルマの攻撃に対して防御が遅れてしまうが気合いを入れて身体を限界以上の速さで無理矢理動かしたことと、イルマが技能≪限界突破≫を【領域眼】のみに発動させたことでその瞬間のイルマのスピードが遅くなったこともあって、何とか自分の剣をイルマの剣に当てて振り払うことに成功する。
───ガンーーーッ!!──
「──ック!…………でもっ!」
攻撃を防がれたイルマだが、ナミノ教官が自分の攻撃を防ぐのに完全に体勢を崩したことで追撃のチャンスと思い、ナミノ教官が体勢を整える前に身体を止めずに攻撃を仕掛ける。
そして、
イルマの攻撃を何とか防いだナミノ教官だが、イルマの攻撃を防ぐのに自分の体勢が崩れてしまったことに気付き、そのことをイルマも気付いて追撃を仕掛けてくると思い直ぐに体勢を整えようとする。
「────何っ!?」
が、イルマの追撃に備えて体勢を整えようとしていたナミノ教官の視界から突然イルマの姿が消える。
(この状況は覚えがあるぞ…………確か、前回のイルマとの手合わせでも………っ!?)
「───何処に、何処にいった!?」
姿を消したイルマに前回の手合わせの記憶が蘇り嫌な予感を覚えるナミノ教官は、イルマの姿を見つける為に急いで辺りを見渡し探す。
そしてナミノ教官がイルマの姿を必死に探している時、イルマがそんなナミノ教官の背後から姿を現して攻撃を繰り出す。
「っ!?───う、後ろだとっ!?」
──ッ、防御が間に合わなっ───
そして背後から突然現れたイルマの攻撃にナミノ教官は防御をしようと身体を動かすが間に合わない。
「ハァァァァァッ!!!」
────ブンッ!!────
そしてイルマはそんなナミノ教官に剣を全力で振り払うことでナミノ教官を吹き飛ばす。
────ドオンッ!!───
「グハァッ!!」
───ザ、ザザ、ザァァァァーーーッ!!
そしてイルマの攻撃に防御が間に合わなかったナミノ教官は、剣を全力で振り払ったイルマの攻撃を喰らってその身体を地面を引き釣りながら吹き飛んでいく。
「…………………………」
「……………ッ」
自分の攻撃で吹き飛んでいったナミノ教官に警戒を怠ることなく視線を向けるイルマ。
そしてそんなイルマを吹き飛んだ先で身体を何とか起こそうとしながら確認していたナミノ教官は、イルマの攻撃を喰らってかなりのダメージがある自分の身体とそんな自分にも警戒を怠ることなく警戒しているイルマに勝ち目が残っていないことを察して降参をイルマに告げるのであった。
◆◇◆◇
「─────ふぅーー。回復魔法が身体に染み渡るぜ」
イルマとの手合わせに降参したナミノ教官は地面に座ったまま、イルマから喰らったダメージをシーラの回復魔法を受けて癒して貰いながらまるで温泉に浸かっているみたいな言葉を呟く。
「……大丈夫ですか?ナミノ教官」
「……ああ、大丈夫だ。シーラお前の回復魔法のお陰でこの通りだ」
そんなナミノ教官にシーラは心配の言葉を掛け、ナミノ教官は心配の言葉を掛けてきたシーラに腕に力を入れて力こぶを見せて心配が無いことをアピールしてみせる。
そして、シーラの回復魔法を受けて充分に受けたダメージを回復したナミノ教官は地面から立ち上がってはズボンに着いた土を手で払う。
「イルマ」
「はい?何ですかナミノ教官」
「最後の姿を消したやつ前も使っていただろ?」
「…………はい、前もナミノ教官との手合わせの際に使いました」
「あれ、どんな技なんだ?今回も受けて二度喰らった俺でも技の原理さえ分からなかっただが………本当にどんな技何だ?」
「………………………あれは今の僕の奥の手の1つなんで、幾らナミノ教官でもそれは教えれませんね」
(僕のもう1つの奥の手。循環術で使っている魔力や気に技能≪魔力≫と≪身体≫の活性化を発動することで自分の存在感を高めた上で、今度は素早く逆に隠蔽系の技能を使い存在感を消すことで相手から自分の姿を眩ます技。前にメラ達に見せた同じような技の上位版の技だ。この技は自分よりも格上相手にも通用する技だけど、技の原理を教えると真似することが出来るから出来る限り秘密にしないといけない技だからね。ナミノ教官と養成所での手合わせの際は負けたくなくてつい皆の前で使ってしまったけど、この奥の手の情報は出来る限り秘密にしないと。)
イルマが自分の奥の手の情報が漏れると真似されることが出来る為にナミノ教官に聞かれても技の原理さえ説明を拒否する。
ナミノ教官もイルマの様子からこれ以上聞いても答えそうにないと判断し、イルマにこれ以上先程の技について聞くことは止める。(頭の中では技の正体については考えてはいるが)
「………しかし、成長し過ぎだろお前ら…………」
ナミノ教官はイルマが技の質問を拒否したので今度はイルマ達の顔を見ながらイルマ達の実力とその成長速度に対してを感心と呆れの気持ちを言葉に乗せて告げる。
「でも、まだナミノ教官に手合わせで勝ててないぜ俺ら」
「そうね。結局イルマ以外は私達ナミノ教官に勝利することが出来ずじまいだったわ」
ナミノ教官の言葉にダンとメラは成長したとはいえどナミノ教官に勝つことが出来なかった事実に悔しそうにする。
元上級冒険者であり、イルマ達よりも経験も豊富な自分に勝てなかったこと悔しそうにするメラ達にナミノ教官は今度は完全に呆れ、ダンとメラが吐いた言葉に対して言葉を返す。
「いや、お前ら………俺に勝つことが出来なかったって悔しそうにしているがな、お前らより年齢も経験も豊富な俺が、しかも元教え子に幾ら卒業したとはいえ、こんな早く実力を抜かされたら俺の立場がねえぞ?」
「…………でも、イルマはナミノ教官に前も今回も手合わせで勝利していた。私達もイルマと同じくナミノ教官に勝ちかった」
『シーラさん………それはイルマさんがおかしいだけでは………』
ナミノ教官の言葉に今度はシーラが答える。
シーラは幼馴染みで仲間であるイルマがナミノ教官に前も今回も手合わせに勝利したことで、私達もナミノ教官に勝ちたかったと気持ちを表すが、そんなシーラの言葉にミルンがイルマがおかしいだけなのでは?と呟く。
「………そうだ、俺、イルマだけど元教え子に、教え子の時から負けていた………」
流石にこんな早くに元教え子に負けていられないと言っていたナミノ教官だったが、シーラの言葉でイルマに教え子の時から負けて、本気を出した今回も負けた事実を目の当たりにして落ち込むのである。
そして1人ナミノ教官に手合わせで勝った為に話に入れなかったイルマだったが、落ち込むナミノ教官とそのナミノ教官に勝てなかったと悔しがる仲間達のカオスな状況を見ては自分が何か言えば更に状況が深刻化しそうで何も言えずに黙っているしかいなかった。
「…………イルマだから、イルマだから仕方ない!俺に勝ったイルマがおかしいだけだ!───お前ら相手でも引き分けになったことには俺も悔しいことだが、お前らもこの俺に引き分けになったことを考えたら凄いことだぞ!!」
イルマに負けた事実に落ち込んでいたナミノ教官だったが、そのことはイルマがおかしいだけで仕方ないっと割りきる。そして勝てなかったと悔しがるメラ達には引き分けになる程成長していることを凄いと励ます。(ナミノ教官にとって負けることはショックだが、固有技能保持者のメラ達と引き分けになったことについては妥協の範囲みたいだ)
ナミノ教官に励まされたメラ達だが、何時までも悔しがっていても仕方ないと考え、ナミノ教官の言う通り自分達はナミノ教官と引き分けに出来るまで成長したと思うことにしたのであった。
最も、今後成長して今度こそナミノ教官に勝つことを内心では諦めてはいなかったメラ達だったが。
そして、ナミノ教官もそんなメラ達の内心を察しては次に手合わせをしたら今度こそ自分が負けて今度は目茶苦茶落ち込むであろうと想像しては、イルマ達との手合わせはこれで最後にしようと心に誓うのであった。
「(皆、ナミノ教官に勝つ為に訓練して実力を高めた後に再戦を望んでいそうだけど、ナミノ教官の様子を見る限り難しそうだなぁ~)」
『皆さん負けず嫌い過ぎて、自分達の担当教官だった人のプライドを折る気ですか………』
皆の様子を見ていたイルマ達はそんなことをメラ達に対して思うのであった。
その後イルマ達はガネック伯爵が王都に向かう準備が出来たと連絡が伯爵の使いからあり、その為ナミノ教官との手合わせを終えて自分達も出発の準備をしてガネック伯爵の所に向かい一緒に自分が住んでいる国、"ホープ王国"の王都に出発するのであった。
「"ホープ王国の王都"、そこはどんな所だろう?」
イルマ達はガネック伯爵とホープ王国の王都の光景を想像しては、スライムロードの一件でガネック伯爵が呼び出されているのだから、スライムロード達を討伐した自分達にも何か聞かれたり、されたりするかもしれないと緊張しながらもワクワクする気持ちも抱いていた。
次回には成長したイルマ達のステータスが書かれます。