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盗賊たちよ、世界を救え  作者: 瀬川弘毅
1 邂逅編
1/89

プロローグ:世界の終わり、戦いの始まり

 二〇三〇年五月六日、午前三時。

 太平洋上空。


「ワープシステム、正常に作動。ステルスシールド、展開」

 乗組員たちの声が響く。

 高度三千メートルを飛行する巨大な戦艦を、不可視の遮蔽シールドが包んでいく。

「シールド展開に、約二秒のタイムラグ」


 直後、爆発音が響き渡った。

 凄まじい衝撃に、戦艦が大きく揺さぶられる。


「何事だ」

「アメリカ空軍です。先刻発生した僅かなタイムラグを突かれ、レーダーによる探知及び、対空ミサイルによる迎撃を許しました」

「この時代のアメリカも、そこそこの軍事力を有しているようだな」


 艦長と思しき男は、部下の失敗を咎めなかった。何故なら、叱責する必要がなかったからだ。


 大破したかに思われた、右側の船尾。そこに空いた穴はみるみるうちに塞がり、黒い艶のある外観を取り戻した。

 自動修復機能を有するこの戦艦は、並大抵の攻撃では破壊されない。



 同時刻。

 その船の甲板に立ち、何やら考え事をしている青年がいた。

 金髪に栗色の目をした、背の高い男だ。上等そうなスーツを着こなし、手すりにもたれかかって虚空を見つめている。

 次の瞬間、彼方から発射されたミサイルが船体に命中した。戦艦が大きく揺れ、前のめりになった男は、危うく手すりから落下しかけるところだった。


 何とかバランスを保ったはいいが、左手に握っていた布袋(ぬのぶくろ)が手を離れ、宙を舞う。


「おっと」

 青年は慌てて手を伸ばしたけれども、紙一重で布袋へ届かない。


 真っ逆さまに落ちていく布袋は、その途中で中身を空中に散乱させた。淡い光を放つ何かが、青年の視界から消えて見えなくなる。


「弱ったなあ。大切なものなのに」

 しかし、台詞とは裏腹に、彼はどこか楽しそうな表情を浮かべていた。



「損傷は軽微とはいえ、無視できない威力だ。ただちに排除しろ」

「はっ」


 ステルスシールドを完全に展開した今、アメリカ空軍がこれ以上追撃してくることはないだろう。

 だが、艦長はあくまで報復にこだわった。部下もそれに従った。


「大口径主砲、エネルギー充填。目標を補足。三秒後に発射します」


 何故なら、人類に見せつけてやる必要があったからだ。自らの存在と、圧倒的な強さを。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ワープを使える勢力にも対抗できるアメリカ。現代でも知られている以上の戦力を持っていそうですよね。他国に絶対売らない兵器もあるらしいですし。もう絶対敵にしたくない。いやはやです。
2021/10/11 17:44 退会済み
管理
[良い点] 小説のルールを遵守していること。 これが、PVを伸ばす上で、最も重要なことだと考えています。 その点だけを評価するのであれば、満点に近い評価をさせていただく。 [気になる点] 同時刻。 こ…
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