第9話 彼は本格的な部活動を始める
こんにちは魂夢です。実は私ツイッターをやってまして、https://twitter.com/conm_OORer?s=09 フォローしてくれたら嬉しいなー、なんて!
俺は部活に入ったことがないからわからなかったが、サッカー部とか野球部とかがよく言う「部活行きたくねぇわ~」とは、今の俺の気持ちとたぶん同じなんだろうな。
でもあいつらは好き好んで部活入った癖になんで部活行きたがらねぇの? おかしくない?
俺なんて無理矢理入らされたんだぞ……。
「松葉くーん。今日部活行く?」
声をかけてきたのは、神を自称し初対面で俺に告ってきて、しかもまさかの同じ部活に所属している恋綺檄 美嘉だ。
「え、んぁあ。そりゃ行くけど」
行かないと問答無用で夏休みの赤点補習に連れ出されるしな……、俺赤点じゃないのに。
恋綺檄はパァっと笑顔になる。そんなに俺を部活に連れ出したいのかよ。なになに社畜なの? 俺いつから社畜になったの?
「よかった! それじゃあ後でね」
恋綺檄は言うだけ行って去って行く。俺はその背中を見ていた。
○
部活棟までの道は、長く険しい。まぁ言うほど長くも険しくもないが。
それでも今から行きたくもない部活に行くのであれば、必然的に足取りは重くなってくる。
俺はたいして寒くもないのにポケットに手を突っ込んで、なるべくゆっくり歩く。
「うぇ、お?」
角を曲がったすぐのところにぼっち部の部室は存在する。
が、ぼっち部の扉の前には見知らぬ男子を見つけてしまって、思わず声が出てしまった。
「な、なにしてんの?」
とりあえず声をかけてみる。ネクタイの色を見てみると、緑だ。どうやら俺と同じ一年らしい。
たぶん違うクラス、だと信じたい。同じクラスなのに顔覚えてないの知られたら、めんどくさくなりそうだ。
「あ、いや。この部活の扶桑花さんにちょっと用があって……」
なんだ、扶桑花にようがあったのか。あいつはなんだかんだ有名人だからな、多方面から色々とあるんだろう。
「入ったらどうだ?」
「は、はい。そうします」
何をそんなにおびえている? 俺はそんなに怖くないよ?
たしかに目つきは悪いし、自分で言うのもなんだが身長も高め。俺が百七十五センチだからこいつは百六十ちょっとじゃないだろうか。
怖いからって、あんまびびんないで欲しい。本当は心優しいんだぜ? 人間ハ友達、餌ジャナイ。
「ん? 田中じゃないか、どうした?」
扶桑花の友達であろうこの人は田中と言うらしい。よし覚えたぞ! 田尻君! ごめん間違えた。
「ボ、ボクに、ゲームを教えてください!!」
へ? ゲーム??
○
「へー! 麗良ちゃんってゲーム得意なんだー!」
後に合流した恋綺檄と共に田中 滝の話を聞いてみると、どうやら彼の所属するEスポーツ部で地区大会で優勝したいのだと言う。
だが残念ながら、今の実力では地区大会の優勝はどう頑張っても厳しいから、特訓して欲しいということだった。
「扶桑花がゲームをやるなんてな……。なんかゲームとは対極にいると思ってたぞ」
「人を見かけで判断するんじゃない。私だってゲームくらい普通にする」
なんか格闘家をボコボコにする最強の女子ファイターっぽいからな扶桑花は……。
「で、なんのゲームを友達とやりたいんだ?」
「えっと、APEXって名前のやつです」
APEXか、FPSに疎い俺ですら、名前だけは聞いたことがある。たしか、フォートナイトと並んで有名なFPSゲームだったはずだ。
「あぁそれか。私は得意だぞ」
言って、片腕をあげて力こぶを作り、マッスルポーズらしきことをするが、彼女の華奢な腕では貧弱にしか見えなかった。
○
まてまておかしい。おかしいおかしいぞ。ぼっち部ってゲームとかやっていいの?
「えっと? ここのコードを、ここに挿してっと」
ノリノリでテレビにプレイステーション、略してプレステを接続する小原先生。一体どこから持ってきたのか……。
「よし、接続できた。これからも部活動に励みたまえよ」
ぼっちを集めて脱ぼっちをするのがこの部活の目的なら、わざわざ田中とかEスポーツ部を助けてやるのは部活動に含まれない気がするが……、まぁ別にゲームするだけだしなんでもいいわ。
「よし松葉、やるぞ」
へ? なんで俺?
「もしかしてFPSをやったことは無いのか?」
「ずいぶん前にスターウォーズのFPSをやってたが、なんで俺?」
俺が言うと、後ろの恋綺檄が両手をブンブンし始める。
「だってあたしゲーム下手なんだもん! あたしだってやりたいよ!」
まぁ下手くそだったら教えらんねぇわな。
「わーったわーった。やりゃいんだろやりゃあ」
懇願の表情で俺を見る田中の視線があまりにも痛かったから思わずOKしたが、大丈夫だろうか?
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