第43話 なんだかんだ彼は遊園地へ行く
こんにちは魂夢です。昨日投稿し忘れちゃったぁぁ!!すいません!!
突然、恋綺檄は金城の手を両手で包み込むように握ってブンブン頭を振って頷いた。
「わかる、わかるよ梓ちゃん! なんか好きになっちゃうよね!」
「え?」
さっきの暖かい雰囲気はどこへやら。恋綺檄の発言で全てが壊される。こっちをチラッと見るなチラッと。
てか好きになっちゃうよねって言われると恋綺檄も柳の事が好きみたいになるじゃん……。すごい空気が悪くなっちゃっただろ。
「ミカッチも、津々慈……好きなの?」
「へ? あぁいやいや、嫌いじゃないけど異性とは意識してないよ。意識したら好きになっちゃうよねっていう」
金城はあぁと曖昧な返事をしてから、コホンとわざとらしい咳払いをしてさっきの人を小馬鹿にするような笑顔を顔に貼り付ける。
「それでさぁ今度のクリスマスに遊園地行く約束したんだけど。そこで告白しようと思うわけね」
金城の言う話は無駄に長いから要約するとだ。
彼女は俺と、扶桑花と恋綺檄のどっちかでデートに行ってその時のあーだこーだを教えてくれとのこと。詳細に言えばもっとあるが、端的に言えばそう。
「うへぇ、遊園地とか人多すぎ行きたくないんだが」
「ねぇ、いつからアタシの頼みを断るようになっちゃったの……」
吐息混じりで艶があって妙に湿っぽい声だった。まぁズバッと言っちゃえばエロい声だ。
「いや初対面だぞ」
「酷いわっ……、あの夜のこと忘れちゃうなんて」
言って口元を押さえ泣き真似をする金城に、俺は、夜に会ったこともねぇ! っと声を出すと彼女は大きく笑った。
俺は苦笑する。何度か彼女についてはあること無いこと色々聞いたことがあったが、それはたぶん彼女がモテるからだ。
基本的にフランクでエロに拒否反応を起こさず美人であれば男は三秒で惚れると言って過言では無い。
やっぱりみんなエロが好きなんですよ……。えぇ。なんせエロに生まれてるわけですからね……。えぇ。
「とりあえず、俺は行かないぞ」
「えー。じゃあわかった。入園料は払ってあげる」
えっと声が漏れる。ただで遊園地ならまぁ……アリだ。アリよりのアリ。ちなみに僕は蟻よりもアントマンの方が好きです。
「行くわ」
「即答!?」
驚きのあまり恋綺檄が口を開いた。声がでけぇよ静かにしろよ。
「で、どっちがデートするん? 二人とも美人だから松葉はどっちでも嬉しいだろうけど」
俺はさっきから一言も話していない扶桑花の肩をトンと叩く。すると彼女はビクンと一瞬跳ねた。
目を点にした扶桑花に俺は声をかける。
「大丈夫か?」
「あ、あぁ。大丈夫だ」
ならいいけど、それだけ返して俺は金城と恋綺檄に向き直った。
「あたし遊園地行く!」
「おっ、ノリノリだねぇ~」
「ちなみに、遊園地ってどこなんだ?」
扶桑花が金城に訊くと、彼女はすぐに「どぎついランド」と答える。
どぎついランドとは新聞の会社が運営する遊園地だ。仮面ライダーとか色んな作品とのコラボアトラクションやショーも多く、週末なんかは結構混み合っていたはず。
「私が行く」
「え!?」
「知らなかったか? 私はどぎついランドが大好きなんだ」
胸を軽く張って、少しばかりドヤ顔をする扶桑花。いや別にドヤ顔できるほどのこと言ってねぇぞ。
「ここは公平ジャンケンで決めよう」
「むぅ~。わかった」
拗ねたように恋綺檄は言って、拳を目の前に出す。それは扶桑花も同じ。
ジャンケンと言いながら両者手を上に上げ、ポンのかけ声と共に一気に振り下ろされた拳から一つの攻撃が繰り出される。
グーかチョキか、それともパーか。それは出す本人にしかわからない。
場に出された手は片方がグー、もう片方がパーだった。このジャンケン、勝ったのは────。