第1話 真のエンドへの最初の一歩
こんにちは魂夢です。ふっかーつ!!今日からまた毎日投稿していきます!
ちなみに今日は30話まで時間を分けて投稿する予定です!
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俺は努力が嫌いだ。
そして努力を過信し、何事も努力と結びつけ、何かを目指す人間になにも知らないクセに「努力しろ」「もっと頑張れ」と口うるさく説教をする人間が大嫌いだ。いや、死ねば良いとさえ思っている。
俺はこの世において努力ほど不必要なことは無いと、心の底からそう思う。
例を挙げよう。例えばバスケの大会に優勝することに挑戦し、失敗したとする。
全力でバスケの練習をして、バスケに打ち込み失敗したのであれば、その努力は実を結んではいないと言えるだろう。
その努力が全力であればあるほど、その努力は無駄であったということになる。
なぜなら努力というのは結果を出すためのものだから。結果主義のこの世界で、記録より記憶に、なんて言うのは努力の不必要性に背を向けているだけにすぎない。
それにたとえ努力して、結果が出ても、それは本人の才能であって、努力のおかげじゃない。才能が当人を成功に導いたのだ。
なんてったって俺は身をもって学んだのだ。
才能が無き人間がいくら努力しようと、その先に待っているのは先の見えない暗闇だと。果てしない悲しみだと。
この世界、どんなに努力しようと頑張ろうと、絶対に目標に届かない人間がいるのだと、俺は知っている。
この人生というゲームは努力するかしないかよりも、この世界は才能と運で決定する。
人生とは運ゲーなのだ。あることに十年努力した人間が今日始めてやる才能ある人間に負けるなんてことはざらなんだ。
この人生とかいう史上最悪のクソゲーで負けぬように戦況をひっくり返せる要素というのは決して努力などではないのだ。
努力の持つ力は自分を納得させることだと断言できる。
あれだけ努力したのに、その努力は無駄だった。なら自分にはもう無理だと、これ以上できることは無い、諦めようと。
努力とはそう思って諦めるための口実であり、自分を慰めるための行動である。
だから俺は、もうこれ以上努力はやめにしようと、これ以上自分を傷付け、追い込むのはもうよそうと心に固く誓ったのだ。
だがもっと速く気づくべきだった。諦めが悪いのは俺の良くないところだと思う。
もし仮にだが、気づくのがもっと速かったら、妹はあんなことにならずに済んだかもしれないというのに……。
○
「どうも! あたしは神様です!」
時は六月の初め、時刻は五時過ぎであろうか、町が夕映えに包まれて視界を淡い紅色に染める。
そんな幻想的な町景色の中、俺こと松葉 荻野は彼女に出会った。いや、出会ってしまったという方が的確だろうか。
自身を神だと豪語するこの少女は、雪のように美しく白い肌と吸い込まれるような碧眼。
そして胸くらいまでに均等に伸ばされた空色の髪には、インナーカラー? だっけか。名前を覚えてはいないが、内側が淡く桃色で、おしゃれにも気を遣っているのが窺える。
神様かどうかはともかくとして、とびっきりの美少女であることは確かな事実だ。
「あの、なんすか? 急に」
「ふふんっ! あたしは神様だから、君が何を訪ねてくるかはお見通しだよ! あたしは君に話があるんだよ、松葉 荻野君?」
彼女はその豊満な胸を張った。
男の性として、一瞬目が胸に釘付けになるが、慌てて視線を彼女の目に戻す。
なぜ俺の名をー、君は何者だー(棒)
正直、俺の名前を知っていても別に何ら不思議ではない。俺はそこまで秘密主義ではないし、学校や俺の友達に聞けばするっと教えてもらえるだろう。
なぜわざわざそこまでして俺の名前を知りたかったは別として、だが。
「で、話ってなんですか。疲れてるんでさっさと済ましてもらって良いですかね」
「もう! そんなに急かさないの。あたしね、実は……」
さっきまでニコニコしていて、自信満々だった彼女の視線は足下に向けられ、なにやらもじもじとしだす。
浅く頬を紅潮させ、上目遣いでこちらをチラチラ見ている。
不覚にもちょっとかわいいと思ってしまった
「あたしね、あなたのことが好きなの」
「……は?」
思わず素っ頓狂な声が出てしまった……。
決して名前の付くことの無かった俺と“彼女ら”の物語。
そしてそれらはひどく独善的で、それでいて目も当てられないほど醜いだろう。
この夕焼けが美しいだけの、それしか特に描写する必要の無いほどありふれた、ただの三百六十五日のうちの一日。
だがこの誰とも知れぬ手垢の付いた一日の出会いから、そんな俺と彼女らの物語が幕を上げたのだ。
○
ようこそ、このページを開いた人よ。
この物語の主な語り手は俺で、俺の主観で進んでいく物語は客観性に欠けることがあるかもしれない。
人と違った解釈でこの物語を綴るかもしれない。
誰が何を感じて、誰が何を思うか。それは俺の知り得ないところだが、俺たちの物語は事実としてエンドへと進む。
それは絶対的で、避けようがないことで、進んだ先がハッピーエンドかバッドエンドかはわからない。
そもそも、ご都合的にねじ曲げたエンドはまがい物で、偽物が本物に成り変わることは万に一にも存在しない。
この物語のたどり着く先がどんな結末かはわからないが、紆余曲折を経て得られたエンドはきっと、真のエンドだと思う。いや、真のエンドそのものだ。
この世に二つとして存在しないたった一つだけの本物の結末。
それが俺にとってのハッピーエンドで、また別の誰かにとってのバッドエンドかもしれない、そして俺にとってのバットエンド、誰かにとってのハッピーエンドかもしれない。
では、どうぞ選ばれし人よ。安心して次のページへ進んでくれ。
途中でどんな回り道をしようと、どんな大きな壁に衝突しようと、一歩ずつ、ゆっくりだが確実に真のエンドに到達する俺たちの、俺たちだけの物語が、その先に待っている────。
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