第九十三章・大嵐がやって来た!!
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第九十三章・大嵐がやって来た!!
帰りの船で、突然嵐がやって来た。大嵐だ。空気が湿っていたのに気づくべきだったが、もう遅い。残りの艦隊は、沈んだ船のクルーも助けて乗せているので、重かった。
さらに海戦で損傷しているため、水浸しのままの状態で航海していたのだ。
日が暮れて、視界も悪い。
このままでは遭難してしまう。その嵐の中、船は進んでいた。
「危険だな」
俺は船室で、イーゼルたちと固まって座っていた。
「このままでは沈没だ」
俺は次々とフラグを立ててしまった。
まずい‥‥‥。
トゥエルがやって来て、今の状況を説明した。このままではあと数十分で沈没するということだった。
マジかよ。俺、泳げないんだぞ!
ってか、どうせこんな海の上では、海に落ちたら、全員助かりっこないのは確かだ。
大波が船にぶつかるのを感じた。船が大きく揺れる。
「この辺は人魚の縄張りだ。沈んだら食われるぞ」
と、トゥエルが言った。
何だと?それはマズいんじゃないか?
泳げようが泳げまいが人魚のエサになる運命ということか?
冗談キツイぜ!
USSインディアナポリスの事件じゃあるまいし。
ちなみにその事件は、太平洋戦争中、日本に原子爆弾を落とすために、その原爆を運んだインディアナポリス号が、帰りの途中で日本の潜水艦の魚雷攻撃を受けて、沈んだ船で、その時に助かったクルーに待ち構えていたのは、サメの大群だったことだ。たくさんのクルーがサメのエサになったのだ。この話は実話である。
それと似ているな。
船の浸水が激しくなり、大嵐で上下左右に揺れていた。
まっすぐに進んでいるのかも怪しい状態で、この船の命がもう無いことを物語っているようだ。不思議と恐ろしさは感じなかった。
それよりもまず、イーゼルやコマドリ、ルルチェの心配をする俺。
こいつらには死んでほしくない。俺の今の気持ちだ。
今はそれ以外には頭にはない。
俺は信心深い性格ではないが、この時だけは神に祈りたくなった。
まぁ、神と言っても思いつくのは女神ルシフィーネくらいだが。
オイ、ルシフィーネ!俺のことを見ているのなら、皆を助けてくれよ!!
やがて、船は大きく傾き、まるで沈没の準備に入ったようだった。船体が二つに割れて、船首の方は海に消えていく。
さらに残った船体も、海水が入り込み、俺たちは海に投げ出された。大きな渦が出来て、ぐるぐると船体の残りを沈めていく。
それは恐ろしいほどに強力な渦だった。
これはもうダメだ。
船は沈み、俺たちは渦に飲まれていった。
それでも残酷に、大嵐は海に荒風を叩きつけていた。
艦隊の半分が、大嵐によって海に沈んだ。
映画「宣戦布告」を観ながら書いてます。邦画です。