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第八章・北の大地にドラゴンが……!

いきなりドラゴン出しちゃったけど、まぁ、いいか。

第八章・北の大地にドラゴンが……!



 普段、疲れるほど歩いてなかったせいか、道を歩いていて、足がおかしくなりそうなぐらいキツい。体力は∞なのに、基礎体力がそのままだったようだ。

あのポンコツ女神め、また俺は脳内でルシフィーネを殴っていた。

休んでは歩き、休んでは歩きの繰り返しで、もう一週間ほど経った。

ルルチェが戻らないことを心配して、たぶん捜索隊が出動してるだろうな。

俺のせいじゃないぞ!彼女が言うことを聞かないアホな賢者だからだ。

オイ待てよ?賢者がこんなんでいいのか?

こいつのステータスカード間違ってんじゃないのか?

俺は愚者だってのに……。

そう思っていたところに、木々の間から大きな山が見えてきた。火山のようだ。

「あの山は?」

コマドリが、「あれがドラゴンの巣なんだ。休火山だが、火を噴くドラゴンが住んでいるそうだ」と、言った。

「お前、よく知ってるな」

「ドラゴンの伝説くらい忍者の山にも伝わっているからな。まぁ、倒しに行こうという者はいなかったけどな」

「俺たちは違うのか……。あえてドラゴンのところに行こうとしているバカなのか?」

「ドラゴンにも良いドラゴンと悪いドラゴンがいるの。ヴァーラントはどっちかな?」

と、ルルチェが言った。

「知らんのか?」

こいつ、賢者のフリした本物のバカだろ?!こんなんで賢者やってるなんてマジで詐欺だろ!

「本当に討伐していいのか?俺、たぶん勝てるけど、弱い者イジメだけはマジで嫌だよ?」

「リューイチは本当にヘタレですね。自分以外を傷つけることを嫌っていて、愚者が務まるのですか?」と、言うイーゼル。


ああ、そうだよ。って愚者は余計だ!それに誰だって悪でもないやつを好き好んでブッ叩きたいなんてやついないだろ?それができるってやつはイジメる輩だけだ。

何もしてないのに傷つけられるやつの気持ちが分からないのか?


そうこうしてるうちに、ルルチェが声をかけてきた。

「リューイチ、もうここは北の大地だよ」

一週間も歩けばそりゃ、たどり着けるってもんだ。もう足が棒のようだよ。


「さーて、山に入ったらいきなりドラゴンにやられないようにな。言っとくが、レベル無限大の俺とは違ってお前らはレベル一桁なんだからな。戦えると思った時以外、攻撃するんじゃないぞ。相手は眠っているとはいえ、ドラゴンなのだからな」

勇者っぽいセリフを言えた。ちょっとカッコいいと、自分でも思った。

カッコいいだろ?

「愚者に命令されるのは、ちょっとムカつきますね」と、イーゼルが不機嫌になった。


いーだろ、別に!ちょっと言ってみたかったんだよ。こんな、クラスの女子とも話せなかった俺が、この世界で女の子たちを仲間にできたんだから、ちょっとぐらい言わせろや!


*        *        *


やっとこさ、山を登って火口に着いた俺たち一行。

ここにドラゴンがいるのか……。

火口では、本当に竜が横になって眠っていた。雑魚寝みたいな寝方だな~とか思った。

でも考えてたよりずっとデカいじゃないか。

翼もあるが、これはほとんど火口が埋まるくらいにデカかった。

聞いてねぇぞ、こんな大型のドラゴンは。

たぶんこのウロコを切るのに俺の剣では無理かもしれない。

俺がチートだからって、武器までがチートなわけではない。

これはもう、このドラゴンを寝ていようが寝てまいが、やっつけるには俺たちは不十分だろう。

レベル一桁には無理だ。俺も準備不足だったと思うし。

「な、なぁ、やっぱり気が進まないんだけど」

 俺は力なしに言う。

「いいえ、戦いましょう!」

 と、ルルチェ。

いやいやいや、お前レベル7だし。

しかも相手こんなにデカいドラゴンだし。

起こしてはいけない。

「さ、帰るか」

 俺がくるりと背を向けて戻ろうとした時、イーゼルとルルチェとコマドリの三人が火口へと飛び降りて、眠っているドラゴンの前に立った。

いや、ホントに死ぬから!

でももう遅い。

イーゼルが魔導書を開いてミサイルの呪文を読み上げる。

「おい、イーゼル!」

 遅かった。本当に遅かった。イーゼルが呪文を読み上げ終わるより先に、ドラゴンがその声に反応して目を覚ます。

「何だ、貴様ら?」

 張りのある声で、ドラゴンは言った。

「我の目を覚まさせるとは、神に背くような行為に等しいんだぞ?それを分かったうえでここまで来たのか、貴様ら!」

 俺以外の三人がその場で凍り付いたように動けなくなった。

要するにビビったのである。

言わんこっちゃない。

だが、どうする?

もう戦うしか道は無いのか?

なら、仕方ない。俺も剣を抜くか。

「総員、戦闘配置!」

 一度言ってみたかったんだ、このセリフ。



次回をお楽しみに!

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