第八十六章・海賊の話はすごいなぁ‥‥‥。
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第八十六章・海賊の話はすごいなぁ‥‥‥。
太陽がまぶしかった。日の光が俺の目に差し込む。俺たちはダン・ルーエ王朝にある港へと来ていた。ここまで来るまでに、かなりの時間がかかった。海賊退治の依頼はここから出ていたようだ。管轄外だろうとも思ったが、頼まれては仕方がない。
ダン・ルーエ王朝からは、船の手配をしている海軍将校の若き船乗り、トゥエルという女性が派遣されていて、港で待っていた。金髪の凛々しい女性という話だったので、すぐに見つけることが出来た。
相手の方から挨拶をしてくる。
「初めまして。わたしはダン・ルーエ王朝海軍のトゥエルと申します。お見知りおきを」
丁寧な挨拶をありがとう。
俺たちも挨拶する。丁寧さが移ったように、頭を下げた。
港にはナオ船が十五隻も並んでいた。これほどまでの艦隊を見るのは初めてだ。
まぁ、こういう船を見るのも初めてなのだけれど。
これで海賊討伐に行くのか。これだけの船揃えてるんだから、俺たち必要なくね?とも思ったのだが、軍艦十五隻だけでも足りないらしい。
「これは、相手の戦力も知りたいですね」
俺はトゥエルに訊いた。
「敵の海賊艦隊は、これの倍の戦力を誇っている。三十二隻の船を持っているんですよ」
「三十隻以上?」
「そうです」
「まさか、そんな規模が?」
「海賊としてはそれでも普通ぐらいですよ。最も多い海賊では四十隻以上の艦隊を持っているんです。こちらの戦力も火力も追いつかなくて、困ってるくらいですよ」
「海賊ってそんな規模だったんだ」
俺の海賊に関してのイメージが、ガラリと変わった。
「それで、俺たちはどうするんです?」
「うむ、海賊と交渉してくれると有難いのですけど」
「交渉?」
また、海賊とは遠そうな単語が出てきたぞ。
「討伐に行くんですよね?」
「ああ。だが、出来れば生け捕りが望ましい。海賊裁判にかけて、縛り首が他の海賊にとっても見せしめになるからな」
「見せしめですか‥‥‥」
「今回は大物の海賊、リリー・プラド・ハモレミストの壊滅と、プラドを生け捕りにすることが最大の目的ですから」
「リリー・プラド・ハモレミスト?」
「そうです。我々の軍艦を何隻も沈めた、最強の一人に数えられる海賊だ」
「そんなに恐ろしい海賊なのですか?」
「ええ。海賊と言っても、我がダン・ルーエ王朝の軍艦ばかりを狙うと言うのが、奴らの主な仕事のようなのだが」
「どうしてそんなにダン・ルーエの軍艦を狙うんです?」
「それが分からないんだ。間者を何度も送り込んだんだが、結局帰ってこない者たちばかりでな」
「それで、艦隊を出して、海賊を捕らえるんですね?」
「そうだ。それであなた方の力も貸して欲しいのだ。あなた方の武勇伝は聞いているのでな」
いや、そんなこと言われてもな‥‥‥。
「海賊退治の経験は俺たちは無いんですよ?」
「でも、あなた方の力さえあれば、こちらの戦力にも加算されて、より強く戦うことが出来る」
「で、それで俺たちは、そのリリー・プラド・ハモレミストって海賊の頭領に会えばいいんですね?」
「そうしてくれると有難いのは分かっている。海軍は連中にとっても敵対する相手とみなされるんだからな」
「そうですか。それでも、ちょっと俺自身には問題がありまして」
俺は正直者なのだ。これだけは言っておこう。
「あの、俺は海が怖いんですよ。水がダメで、泳げないですし」
少しの間があって、それから沈黙を破る様に、フッと笑うと、トゥエルは言った。
「実はわたしも泳げなくてな」
ええ~?海軍のくせに?
でも、そんな話もあるにはあるなと、俺は思った。
夜は早く寝ます。だいたい11時半くらい。翌日に影響しないためにもです。コンディションを維持するのはとても大事なので。