第七十九章・いざ、シャーロット遺跡へ!
ちょっと更新が遅れました。読者の皆様、すみません。
第七十九章・いざ、シャーロット遺跡へ!
コウモリの大群が、一斉に俺たちに向かって飛んできた。
「数が多過ぎる、みんな逃げるんだ!」
コマドリが頭を低くしながら言った。俺たちも頭上に気をつけながら、しゃがむ。
コウモリたちは、バタバタと音を立てながら、洞窟のあちこちに舞った。
「こいつらは危険なのか?」俺はルルチェに訊いた。
「コウモリはそんなに危険じゃない!このまま頭を下げてて」
コウモリたちは出口を探して、次第に洞窟から外を目指して逃げていった。
「こえーな」
俺はイーゼルを抱きしめながら言った。
「リ、リューイチ。苦しいです」
イーゼルを離す俺。
「わ、悪い!」
「んもう、抱きしめないでください」
「そんなに怒るなよ。俺はただ‥‥‥」
「わ、分かってます。分かっているんですけれども‥‥‥」
「俺が守るって言っただろ?」
「それはそうですが。みんなが見ている前で‥‥‥」
あ、そういう問題?
「誰も冷やかしたりしないさ。なぁ?」
俺はルルチェとコマドリに言った。
「まぁ、リューイチがロリコンなのはもう分かってるけどな」
と、コマドリが言う。
「ロリコン言うな、この、くのゼロ」
「ヘタレのくせに、こういう時は男を見せるのだな、このスケベ野郎は」
「もう言うな。はい、おしまい!」
俺たちは気を取り直して、洞窟の先に向かって進んだ。
洞窟の出口らしき場所は、太陽の光が差し込んでいるので分かった。そこから出られるようだ。
出口は小さかったが、抜けられないほどではなかった。
洞窟を出ると、エルドアード山岳を見渡せる場所に出た。
「ここも絶景だな」
俺は景色に浸る。だが、俺の背中の方にはまだ崖があった。
「この上に、あるのよ」
ルルチェが言った。
「何が?」
「ちょっと忘れたの?わたしたちが探しているのは何?」
「遺跡だろ?何だっけ‥‥‥えっと、名前が出てこない」
「シャーロット遺跡よ。覚えておきなさい」
「ああ、そうだったな。忘れてたよ」
「ちゃんと覚えておいて!じゃあ、行くわよ」
「この上って、崖を登らなくちゃいけないのかよ」
「リューイチ、登って上からロープを垂らしてきてよ」
「俺がいくのかよ?ロッククライミングの経験はないぞ」
「いいから行って!」
「わかったよ。ロープを貸してくれ」
ルルチェは俺にロープを渡す。
「わたしたちが登れるようになったら、二回ロープを引っ張って合図して」
「ああ、分かった!それじゃあ、登るか」
俺も昔はよく崖には登ってたからな。ガキの頃の話だが、まだ感覚は残っているだろう。
俺は手をひっかけるところを探しながら、崖を登っていく。見たところ、崖の上までは十五メートルくらいの高さだ。
山男ではないが、俺は自分の感覚で登っていった。
意外と登れるもんだな。
何だかこういうの、懐かしい気がする。
もういい年になると、こういう冒険心というのは薄れていくと思っていたが、その感覚が戻ってきたような思いだ。
崖の上まで登ると、ロープをその辺の岩に結んで、ロープを二回引っ張った。
ルルチェ、イーゼル、コマドリの順に一人ずつロープをつかんで登っていく。
ようやく俺たちは、この山岳の一番高いところまで来たのだ。そこには、探していたシャーロット文明の遺跡があった。
ほとんどの建物や柱が崩壊していたが、まぎれもなくそこには、かつて文明があったと断言できる遺跡が存在したのだった。
「俺、こういう遺跡を生で見たの初めてだ」
俺は感極まった。こんなところにも歴史というものがあったのだな。これはロマンというか、不思議な感覚だ。ずっと見ていたい。そんな気持ちになる。
ルルチェは地図を出して、地形と高さ、それに緯度と経度を計算して、地図上にその場所にしるしを描き込んだ。
「これで任務完了ね!」
「遺跡には近づかないのか?」
「まだ、調査が入ってないから手付かずのままにしておきたいの」
「そうか?古代遺跡ってのはやっぱり目の中に残しておきたいだろ?」
「それはあと何十年かしたらね」
気の長い話だ。
まぁいい。シャーロット遺跡には無事に来れたんだ。もう少しだけ浸って、あとはもう帰るだけだ。
「みんな、気をつけろ」
コマドリがまた、気をめぐらして言った。
「ここにも何かいる!」
テレビを観ていたので、更新が遅れてしまいました。読者の皆さんには読んでいただいて大変感謝しています!!