第七十二章・イーゼルの誕生日
病院三つも掛け持ちしているので、なかなか書く時間がないですね。でも、一日のノルマは達成しようと思います。
第七十二章・イーゼルの誕生日
ルシフィーネ教は壊滅した。教祖のカンダタは、ダン・ルーエ王朝に引き渡して、それで終わりにした。これ以上は俺たちの管轄ではない。それにしても、ルシフィーネの奴は俺以外にも転生をかなりさせていたんだな。そうしないと、間違って死なせてしまったのだから、地獄行きは避けたいのだろう。それがあんな邪教の教祖という、人間をモンスターに変えることになるとは。
いや、この場合、俺も危うくそうなるところだったのだから、そう思えるのだ。
イーゼルには何か、お礼をしなければな。
俺たちは一度、カル・デール王朝に行き、ルシフィーネ教の壊滅を報告すると、ダ・ガール城に戻った。ただの結婚式の参列だけが、とんだ冒険をしたもんだ。
俺たちが帰ると、また歓迎を受けた。これは本当に良い気持ちだ。
「リューイチ、あの、今日なんですけど」
「ん?何がだ、イーゼル?」
「実はわたし、今日が誕生日で、十五歳になるんです」
誕生日。そうか、この世界の暦は知らないが、どこの世界でも誕生日というものはあるもんだな。
「じゃあ、誕生会をしよう!」
俺はそう提案した。イーゼルのために、何かしてやらないととは思っていたところだ。
いい機会だし、みんなでお祝いをしようと思った。
「ルルチェ、イーゼルの誕生日の祝宴を上げてやらないか?」
「そうね。ダ・ガールでお祝いしましょう」
コマドリも賛成した。
「イーゼルは十五になるのか。確か、魔女は十五歳で独り立ちしなくちゃいけなかったんだっけな?」と、コマドリ。
「そうです。わたしは早生まれなので、今日で十五になるんですが」
「戦いが続いたし、今日はめでたい日にしよう」
「賛成!」と、ルルチェが締めた。
* * *
夜になると、イーゼルの誕生会を行った。
イーゼルはドレスを貸してもらい、着飾った。こんな機会はめったにないだろう。
恥ずかしそうに、皆の前に出るイーゼル。
「おおっ!これはキレイだ!!」
思わず、俺は声を上げた。
「リューイチ、声に出てるって」
コマドリはツッコんだ。
「いいえ、女の子は言葉で言ってもらうのが一番嬉しいものなのよ」
と、ルルチェは言った。
「わたしもまだ、女の子で通っている歳なのだけれど」
コマドリは複雑な思いで言う。
「あなた方はよく誕生会など開くものなのですか?」
ベアトリアースは、不思議そうに訊いてきた。
「ああ。そうだが?」
俺はきっぱりと言った。
「人間っていうのは、わたくしたち魔族とは違って、短命だからですかね?」
「短命とか言うな。人間には人間の時間ってもんがあるんだ」
「魔族はこれでものんびりと生きてますからね。それに引き換え、人間は生き急いでるようにも見えますよ」
「そりゃ、精いっぱい生きてる証拠だろ」
「まぁ、魔族と寿命の張り合いしてもナンセンスなだけでしょうけど」
「それでこういう誕生日というものを開けるのは、人間の特権だとは思うけどな」
「それはそれで、人間にとっては大変名誉なことかもしれませんね」
「誕生日を高尚に語るのか‥‥‥」
「だってそうでしょ?生きてるからこそ、こうして誕生日が迎えられるのだから。生きてさえいれば、誕生日を無事に迎えられる。これこそ大変な名誉だと思いますよ」
「そういう考えもあるということか」
そうこうしているうちに、誕生日のパーティーは始まった。
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