第七十一章・対決!イジメっ子対いじめられっ子
更新が遅れて申し訳ありません。読んでいただける読者様には感謝です!!
第七十一章・対決!イジメっ子対いじめられっ子
俺はダ・ガールの剣を腰から外すと、床に置いた。
今回は相手に合わせてやる。素手と素手の勝負だ。これは一種のケンカだと認識してやる。
「来い、リューイチ!」
「行くぜ、カンダタ!」
カンダタの構えはまるで空手だ。一方的に殴るつもりなのが分かった。
俺はキックボクシングの構えを取る。
タイマン、行くぜ!
俺はカンダタの攻撃をブロックすることなどせず、一気に相手を叩いた。
空手がなんぼのもんじゃ!
俺のチートの拳を受けてみろ、このイジメっ子!!
俺は相手をブッ倒した。しかし、まだ起き上がってくる。こいつはタフな野郎だ。
俺はまた、攻撃した。カンダタは俺に一発も食らわせずに、また倒れる。
そしてまた、起き上がる。
しぶとい野郎だ。
俺のへっぽこローキックや、へっぽこストレートでもチートスキルの前では強力な威力になる。最強な体術とか言っていたが、防御がまるでなってないのは致命的だろう。
それに俺の能力はすべてが無限大なのだ。最強がナンボのものだ?無限大に敵うとでも思っているのか?
俺はさらに追い打ちをかけた。
「くたばれ!タケシ」
「タケシ言うなって言ってんだろ、このイジメられっ子がぁー!!」
奴も怒ったようだ。自分の思っていた展開にならないことに、内心はイライラしているはずだ。だが、俺も手は抜けない。
こいつは憎むべき相手なのだ。
ボッコボコにしてやる。今までの仕返しだ!いじめられっ子の憎悪をナメんな!
俺は連続パンチをお見舞いしてやった。
その時、俺の拳に全力で掴み、止める者がいた。
「イーゼル?」
そう、俺を止めたのはイーゼルだった。
「どうして?」
イーゼルは俺のことを見つめた。
「リューイチ、よく見てください」
イーゼルの言葉で、俺はカンダタの方を見た。
もう、とても戦える状況ではない様子だった。というより体じゅうがボロボロになっているのが分かった。
俺は一方的にやっちまったのか?
「リューイチ、あなたの強さは知ってますが、そんなに憎悪で人間を殴ってはいけませんよ」
「イーゼル‥‥‥」
「殺してはいけません」
「し、死んでもいい奴は、この世界にはたくさんいる‥‥‥」
「あなたが殺してはいけません。自分を見直してください」
「でも、俺は‥‥‥、イジメられたんだ。そういう過去があったんだ。それを思い出していた」
「優しいあなたが、わたしは好きです。あなたは本当は優しい。だから‥‥‥」
「イーゼル‥‥‥」
「わたしが大好きなリューイチでいてください」
好き?俺を?
「俺は引きこもりのダメな奴だったんだ。だから、今は逃げないで戦わないと‥‥‥」
「でも、人を殺せるあなたではないでしょう?」
「俺は、心を壊された。心を殺されたんだ。その恨みが消えない。消えてくれないんだ」
「でも、それでもあなたは優しい。自分の優しさまで自分で殺さないでください。もう十分苦しんだでしょう?わたしはあなたがもう、これ以上苦しむのを見たくない。憎悪で苦しむあなたを幸せにしたい。それがわたしの、わたしにとってのリューイチだから」
俺が間違っていたのか?俺は苦しむことで、自分を正当化していたのか。
あやうく、一人の人間を殺めるところだったのか。俺が、俺自身が。
イーゼル‥‥‥。
俺は動けなくなっていたカンダタを見た。
俺がやったのか?半殺しに遭わせたのか?俺は復讐しようとしてしまったんだ。
俺が受けた苦しみは、こんなことで消えるはずも無かった。でも、それも間違いだったと
イーゼルが俺に教えてくれたんだ。
「リューイチ、あなたはわたしの大切な人です。それを忘れないで!」
俺は、拳を下ろした。俺はイーゼルに救われたのだ。
今日はあと一回更新予定です。読んでいただけると嬉しいです!!