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第六章・あなた、賢者なの?マジで?

たった5年かそこらで賢者になれるのかは謎ですが。ファンタジーに疎くてすみません。

第六章・あなた、賢者なの?マジで?



 三日後、ようやく牢から出された俺たちは、俺だけだが、きちんと話を聞いてもらえることになった。イーゼルとコマドリは別室で待機。

 さて、取り調べの汚い部屋には男の役人が二人いた。事情聴取を行う人間と、それを記録する係の人。女性はこの部屋にはいなかった。これって、警察でよくされる尋問なんじゃないのか?

「まずはどこから来たのかね、リューイチ」

 俺の名はすでに告げてある。

「とある場所からってとこですかね?」

「なるほど。答える気ナシってことだな」

「いやいや、マジですって!」

「出身地はどこだね?」

「福岡です」

「それどこ?」

「日本列島があって、その南の方に位置する島で……」

 役人はため息をついたみたいだ。俺の話、通じている?

「それでは訊くが、なぜ魔王もいないのに冒険に出た?今頃旅に出ても意味ないだろう?」

「話せば長くなるんですが、まず俺は矢島龍一という日本人でして、一度死んだんですが、あの世で、女神ルシフィーネというやつからチート能力をもらってこの世界に転生したのですよ」

……………。


いや、その反応、分かってはいたけどね。

ああ、その憐れむような眼はやめていただきたい……。悲しくなるから。


「それでですね、ルシフィーネってやつはどうしようもないドジなやつでして、俺をこの魔王のいない世界へ転生させたんですよ。悪いのはその女神なんです。ここですでに魔王が倒されていたなんて、初耳でして、ギルドのエルフからは変な目で見られるし、冒険しようにも魔王はいない。だからあてもなく旅だけしてですね。ここに来るまでモンスターの一匹すら会わないし、どうすんだこれってことで、もう無理に冒険するのやめようと仲間とも話してたくらいで。いや、もう冒険は忘れました。地道に職を探して働いて生きていきます」

役人は殺風景な天井を見上げた。そして俺の方に目を戻すと、こう言った。

「この城に、もう一人冒険者志望の人がいるのだが、会ってみるか?」

「えっ?」


冒険者志望だと?誰だよいったい。


 俺は取調室から出た。そして、城の上の方に連れて行かれる。

いったい何が始まるんだ?


 着いたのは玉座の前だった。こんなところに俺一人でいいのか?

そして、別のドアから出てきたのは高貴な王族の娘のような女の子だった。ブロンドヘアーの長くウェーブのかかった髪に、服の上からローブをまいた体。何となく気品がある、美少女だった。


誰?


「あなたが自称冒険者?」

 話しかけられた俺は、「はい」と答える。

「わたしの名前はルルチェ。正式にはダ・ガール・フォー・ルルチェよ。よろしくね!」

 気の良い子だ。だけど、名前が引っかかる。なんか異常に長い名前だ。いちいち覚えてられるか。

もう、ルルチェでいいか。

「え~と、ルルチェ?」

「貴様っ、姫君のことを呼び捨てとは何だ!」

 役人は怒鳴ったが、その姫というお方が手で合図をしてたしなめた。

「いいよ、ルルチェで!わたしもあなたのことを……。名前何だっけ?」


先に訊けよ。って、姫?!

まぁ、いいけど………。


「俺はリューイチ。覚えておいてくれ」

「うん、分かった。それでリューイチ。あなた本物の冒険者ね?カード持ってるでしょ」


ああ、あのステータスカードか?あれは没収されたんだけどな。

役人に持ってかれちまったんだけどなチクショウ!!

 役人はルルチェの一声で、カードを懐から出して姫に見せた。

それは俺のカードだぞ!中途半端に貯めたポイントカードとか高い買い物した時にくれるメンバーズカードじゃないんだ!返せよコラ!


 ルルチェはそのカードを見る。

「すごい、本当にレベルが無限大だー!これなら、あなたについていっても良さそう」


ついてくるって何だ?俺のパーティーに姫連れてくのか?マジそれやめて。

「わたしは元王室の姫だけど、今は賢者なの。レベル7よ」


なんだと?この子が賢者?いったいどうなってるんだ?


「11歳の時に親から結婚させられそうになったの。だから家出して、王室から飛び出したのね。そして、かつて魔王を倒したパーティーの一人の大賢者のところで5年間修行して、賢者になってここの王室に戻ったばかりなの。ねぇ、わたしとパーティー組まない?」


マジか?

でも、確かに賢者ならヒーリングに困らないだろう。誰かが怪我したりした時の薬箱として、連れて行くのも悪くない。

だが……。


「姫、いやルルチェ!冒険はつらいことも多いですよ」

 今のところ、つらいと思ったことはないが……。ってか冒険者なのに冒険してないし。

「それに危険がいっぱいです!」

 今のところ危険とか無いな。モンスターいるのか分からんし。

「それに温かいベッドなど用意されてはいませんよ!」

 これは本当。ってか、この世界に来てから宿屋にすら泊ったことはない。

「そして目的がない!これ一番重要です」

 そう、倒すべき魔王がいない。ラスボス不在で冒険は成り立たないのだ!つまり、冒険はしない!それでいいのだ。わざわざパーティーに組することはないじゃないか。


「あら、でもわたしの情報が正しければ、北の大地にはまだドラゴンが居座っているって話よ」

「えっ?」

「みんなで倒しに行きましょう。ドラゴンを!」


そんな、邪魔だからどけよ的なノリでドラゴン退治するんかい、賢者様が?


「いや、そんな。ルルチェ。いくら何でもドラゴンは……」

「いうこと聞かないと、この国の法によってギロチン刑が待ってるわよ。三人ともね」

 ギロチン刑って、つまり死刑か……。なんて姫だ。恐ろしい。

 ってか、冒険しないと死んじゃう病にでもかかってるのか?


「分かった。冒険しないのをやめる。でも一度だけだよ?みんな俺より全然レベル低いんだから」

「あら、どんなに頑張ったって、あなたのレベルに追いつくことはできないでしょ?だってレベル無限大なんだから」

「まぁ、それは確かにそうなのだが」


じゃあ、俺が皆の子守り役かよ………。無理だ。何てこと押し付けてくるんだ、こいつ本当に賢者か?お前が悪魔だよ!


「ちなみにわたしのカードはこれよ」

 そう言うと、ルルチェは自分のステータスカードを俺に見せてくる。

 まぁ、パーティー組むならこういった個人情報も共有するもんだとは、確かに思っていたのだが。



ダ・ガール・フォー・ルルチェ  16歳 女

職業 賢者   レベル7

HP43

MP55

攻撃力19

防御力17

素早さ20

知力 31

体力 17

魔力 42

運   8


これは、まずまずの戦力だな。パーティーの中では、俺の次にマシなレベルだ。

相手がドラゴン一匹なら、まぁ、何とかなるっしょ!たぶん……。

だが、不安しかないのは俺だけか?

だってこいつ、運だけえらく低いんだけど……。



パーティーようやく揃いました。と、思ってます。これ以上は捌き切れませんので(笑)

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