第六十六章・そんなに分かり合えないものなのか?
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第六十六章・そんなに分かり合えないものなのか?
エトカニア騎士軍団の団長以外の全員を片付けるのに、15分はかからなかったと思う。最強の騎士たちを見事にほぼ全部、俺とイーゼル、それにコマドリで倒した。
団長は、とても恐ろしいものを見たという顔をした。
それでも団長は、剣を俺に向けた。
「ワタシは下がらない。ワタシは君たちをこの場で倒す!」
おい、手が震えているぞ。
「ワタシはエトカニア騎士軍団の団長、ゾダーラー・ファイケン。この場は絶対に引き下がらない!」
手は震えていたが、目は光っている。さすが、騎士軍団の団長。
俺は手加減はしない。真っ向勝負だ!
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
ゾダーラーは、剣を渾身の一撃で振り下ろす。
俺は両手持ちにしたダ・ガールの剣で、答える。
「勝負!!!!」
剣と剣がぶつかり合う。ゾダーラーの剣が折れる。
俺の勝ちだ!
「勝負あり!」
ポラリスが大きな声で言った。
「冒険者様の勝ちです!エトカニア騎士軍団の全員は火刑にします」
オイオイ、待てよ。本気か?
「わたしの結婚式の余興で本気でお互い戦って、全滅するとは何と情けない。命を持ってわたしに償いなさい」
「ちょっと待て!火刑はやり過ぎだ」
「お客人は黙って!」
「余興をぶち壊したのは俺たちの方だ。それでも彼らに火刑を強いるのか?」
「無礼な!ルルチェの友人でも許さぬぞ!」
「ホントにぶち壊してるのは、あんたが一番だよ、ポラリス姫」
「何?よく言ったな。あなたも火刑にしますよ?」
「いいのか?ダ・ガールの直属の冒険者を勝手に火刑に?ないだろ、普通」
「よく分かりました。あなたたちはご退席を!」
「俺たちを?」
「この場にいるのも腹立たしい。下がりなさい!」
そのやりとりの途中で、ルルチェが立ちはだかった。
「もうやめて、ポラリス!」
「ルルチェ‥‥‥」
「あなたはいとこだけど、この人たちもわたしの大切な仲間なの。リューイチは最強の冒険者よ。それをこの場で証明したでしょ?ただ、リューイチが強かったってだけでしょ。当然、イーゼルも、コマドリも。どれだけ戦闘を繰り返したと思っているの?」
「ルルチェの仲間がこんなに強かったというのは分かったけど、わたしの騎士団も強さを誇っていたわ。それを皆の前で、こんなにボロボロにしてしまうなんて、卑怯でしょ?」
「卑怯とは逆恨みも甚だしいわ。余興と称してわたしの仲間を客人の皆の前で倒してしまおうとしたのは、あなたの方でしょ、違う?」
「そ、それは‥‥‥。だって、こんなに強いなんて」
「そうよ。わたしの仲間は強いの!北の大地のドラゴン、ヴァーラントとも戦ったほどの強さです!」
「そ、そんな‥‥‥、あのヴァーラントを?まさか。そんな‥‥‥」
ちょっと待て。なんか話、盛ってるぞ。戦ったのは確かだけど、いや、戦う前に逃げたじゃないか。ドラゴンとか倒してないから。全然戦ったりしてないから。
ヴァーラントはさすがに盛り過ぎだろ!ドラゴンまだ生きてるから。
「まいったわね。確かにあのヴァーラントと戦ったのなら、リューイチが本当に最強かもしれない。すごいレベルの冒険者なのね」
「ま、そういうことだから」
「分かったわ。これまでのわたしの言動は全部取り消します。さぁ、余興はこれで終わり。皆さん、式は続行します。披露宴を続けましょう。わたしのせいでお騒がせして、大変申し訳ありませんでした」
何とかなったらしい。俺たちも、騎士軍団も許されたみたいだ。
どうにかなるものなのだな。どうにかならなくなっても、なるようになるということだ。
心配して損した。
俺は剣を納めると、食事に戻った。
「リューイチ、あの‥‥‥」
ルルチェが来た。
「なんだ?」
「いや、その‥‥‥ごめんね。それにイーゼルもコマドリも」
「俺は気にしちゃいないぜ」
まぁ、そう言えるのは勝ったからだけど。
「わたしも大丈夫ですよ」と、イーゼルが言った。コマドリも「わたしも平気だ。むしろ感謝する」と、言って片付ける。
* * *
席の端っこで、ベアトリアースとエミリディアが、「どうです?面白いでしょ、人間って」
「そうだな。人間は面白い」と、魔族の視点で会話していた。
「魔族より、よっぽど複雑ですよ、人間ってやつは」
「その通りだな。むしろ、興味を引かれる存在だね」
それぞれが、結婚式の披露宴で、会話をしていた。
小説を書いていると、肩が痛くなってきます。一時間経ったら体を動かすことにしています。健康が大事ですね。皆様も無理なさらないでくださいね。