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第六十三章・カル・デール王朝へようこそ!

今日はよく寝たので、疲れが少し取れました。皆様も無理はしないでくださいね。そう思うこの頃。

第六十三章・カル・デール王朝へようこそ!



 ベアトリアースの説得で、エミリディアは一緒にカル・デールまで連れて行くことになった。残りのエミリディアの部下たちも、集落から退くように命令を出される。

「こいつらはこれからどう生きていけばいいというのだ?」

 部下のその後を心配するエミリディア。


「お前が望むのなら、カル・デールに紹介してもいいですよ」

 と、ベアトリアースが言った。

「魔族のこれからは、人間が面倒を見てくれるはずです。これは支配ではなく配慮です」

「そ、そうなのか?」

「人間は恐ろしい種族だと思っているんでしょう。でも、いい人間もいるのです」

「人間も魔王により、約1000年以上も支配されてきた屈辱の歴史があります。何度も魔王討伐を試みたのですが、ほとんどは失敗に終わり、50年前の勇者とその仲間による討伐でようやく人間の世界は平和になったのです」

「なるほど。人間の言い分も分かる気がする」

「もう魔族の時代ではないんですよ。確かにリューイチたちは時代遅れの冒険者ですが、あなたたちも魔族としては時代遅れなことをしてたんですよ」

「ベアトリアース、あんたはどうしてるんだ?」

「わたくしですか?今はダ・ガールの傘下で働いています」

「では、わたしは?いえ、わたしたちは?」

「カル・デールの傘下で働けば良いでしょう。だからその口利きのために、一緒にあなたを連れて行くのです。ご不満?」

「いや、そうしてくれるのなら有り難い。これで生きていける」

「わたくしたちはお互い魔族ですから、互いに助け合いましょう」

「そういうものか?」

「そうですよ」

 

 エミリディアは俺たちの馬車に乗り込んだ。

「わたしの部下は?」

「俺たちがカル・デールに到着したら、カル・デール軍が保護しに来るように手配してやるよ」

 ちょっと情けをかけ過ぎかな?


 まあいい。聞いたところによると、魔族がこの集落を支配していたのは2年ほどだったらしい。それまでどこで何してたのかは気になるが、訊かないでおこう。


普通に戦っていても、俺たちはこのエミリディアには勝っていたはずだ。ちょっと戦ってみたかった。

 そんな俺の心中を読んでいたのか、ルルチェが俺に、「ここでは戦う機会がなかったけど、きっとカル・デールに着いたら戦いが、待っているかもね」と、言った。


「何でだ?」

「行けば分かるわよ」

「また戦争に巻き込まれるのはゴメンだぞ?」

「それは心配しなくても大丈夫よ。ただ、ポラリスは物好きだからね。冒険者って聞いただけで心がワクワクするんじゃないかしら」

「おいおい、何でそういうフラグ立てるんだ?」

「フラグって何?」

「いや、忘れろ。独り言だ」

「ふ~ん。リューイチはたまに、よく分からないっていうか、わたしたちの知らない単語を言うのね」

「そうか?まぁ、俺はこの世界にいろいろあって来たのだからな」

「それはどういうこと?」

「言っても信じられないと思うけどな」

「そうね。分からないでしょうね。リューイチはこの世界の理を超越した存在だと思うしね」

「まぁな。それはお前が正しい」

「わたしも大賢者様の元で、5年間も修行していたから、半分世捨て人みたいなモンですけどね!」

「大賢者って、50年前に魔王を倒した勇者の仲間だった人だろ?」

「ええ。今はもう、お年寄りのおばあさんだけどね。わたしたちの旅がどこかで終わってしまったら、また挨拶に行きたいけどね」

「そうか」

「うん。わたしが立派になったら、それを見せに行きたいの」

「大賢者様って、どこに住んでるんだ?」

「ええと、ダ・ガールから北東の砦跡にある、洞窟に住んでいるわ。今も、これからも」

「もう80歳越えているんじゃないか、その人?」

「今年でちょうど81歳よ」

「ほう。高齢だな」

「わたしもそれくらい生きたい」

「なら、お前も大賢者と呼ばれるようにならないとな。たくさん旅を経験することで、経験値を上げて、レベルアップしていけばいい」

「それは分かっているわ!」

「ま、今回はダ・ガールの姫として、いとこさんの結婚式に行くんだろうけどな」

「それはそうね。今回は姫として、だね、リューイチ」


 この先は道なりに行けば、カル・デールに着く。まぁ、少し回り道はしたけどな。

でも、ギリギリでたどり着くだろう。

 エミリディアも一緒に来ることになったことだしな。


*        *        *


 翌日の朝になって、ようやくカル・デールに着いた。城壁で囲まれた、要塞都市になっている。この王都を攻略するのは、困難だろうな。

衛兵が門を守っている。

「止まれ!お前たちは?」

 ルルチェが馬車を降りて、話す。

「わたしはダ・ガールの王族にして、ダ・ガールの王の一人娘、ダ・ガール・フォー・ルルチェです」

 衛兵の態度が変わった。

「これは失礼しました!ようこそ、カル・デール王朝へ!」



読者様には読んでくださって本当にお礼を申し上げます!!

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