第六十章・素手でも俺は強い!
昨日のアクセス数が230以上ありました!!本当に本当に皆様、ありがとうございます!!
第六十章・素手でも俺は強い!
二頭のデカい恐竜が、俺とベアトリアースの前に立っていた。
「こいつは双子の恐竜ですね」
素で言うベアトリアース。
「名前はツノティラノ。角のあるティラノサウルスですね」
そういえば、俺は今、丸腰だった。
剣を馬車に置いてきた。
「こいつら、強いか?」
「お前よりは全然弱いですよ」
「なら拳で戦っても大丈夫だな」
「相手は二頭ですよ?」
「平気さ」
「わたくしにも一頭、任せて頂きたいです」
「お前も戦いたいのか?」
「たまにはですね。わたくしは魔族ですし」
「魔族は好戦的なのか?」
「好戦的というのは違いますね。わたくしたちは本来、おとなしい部分を秘めてます。ただ、戦うことによって、黒くなり過ぎた闇のマナを吐き出すことも大事なのです」
「なるほど。ストレス発散ってことか」
「まぁ、そのようにとらえていただいてもよろしいかと」
「じゃあ、行くぜ!」
俺は物理攻撃で拳をツノティラノの一頭に当てた。途端に勢いで飛んでいくツノティラノ。
二頭目はベアトリアースが、指先からマシンガンのように、銃弾を飛ばし、ハチの巣にして倒した。ツノティラノはコインと化す。
しまった。俺ははるか彼方に恐竜を飛ばしちゃったから、コインが手に入らなかった。
「お前のそのチートスキル、噂通りでしたね、リューイチ」
「俺もお前の実力、ちゃんと目にしたのは、これが初めてかもな」
「わたくしの法術は魔族特有のもの。それをアレンジしたものですよ」
「でも、さすがの魔族だな」
「お前もダ・ガール最強の冒険者と言うのに疑い無しの実力ですよ」
「あんがと!褒めてくれるとはな」
「わたくしだってたまには褒めるものですよ」
そう言うと、ベアトリアースはコインを拾う。
「さて、キャンプに戻りましょうか?」
「ああ」
* * *
キャンプで朝食を済ませた後、俺たち一行はまた、砂漠を進んだ。すぐに砂漠は抜けることが出来た。
「あと一日半くらいで到着ですよ」と、御者が言った。
「州境はもう越えたのか?」
俺はルルチェに訊いた。
「もう過ぎたわよ。予定より早く着きそうね」
「予定より早く?」
また、こいつはフラグ立てやがったな。
そう言うと、決まって悪いことが起きるもんだ。
砂漠の次は、山道に来た。
「山はう回路を行きましょうか?」と、御者。
「そうね。早く着く方がいいかしら」
「御意!」
山のふもとには深い森があった。森の中の抜け道を行く。
コマドリが、「何かおかしい。空気が違う」と、第六感が働いたように言う。
「何が?」
俺はコマドリに訊いた。
「人の気配がする。それもたくさん‥‥‥」
やっぱりな。
馬車の進む道に、大きな木が倒れていて、進路をふさいでいるのが見えた。
これは‥‥‥。
「盗賊だ!」
そう言うと、立ち上がるコマドリ。
馬車は止まった。
その途端、森の木々の中から現れた盗賊たちが、四十人ほどの数で、俺たちをぐるりと囲んだ。
まったく、厄介だな。モンスターよりタチが悪い。
俺たちは全員、戦闘準備に入った。
一日に二回の更新で、たくさんのアクセス本当に感謝でいっぱいです!!