第五十九章・アミューシャ砂漠の恐竜。
少々風邪気味です。調子を崩さずにスローペースで書きます。あ、たくさんの人にアクセスもらって嬉しいです!!
第五十九章・アミューシャ砂漠の恐竜。
馬車に揺られて二日目。
途中、大雨が降って、カル・デール王朝へ着くのが遅れるという話になった。
御者が「これ以上は道が泥沼状態になって、進めない」ということを告げられると、
道を迂回して行くことになった。
それには砂漠を横断しなければならない。
アミューシャの砂漠だ。
反対したのはコマドリだった。
砂漠は危険があるというのが理由であった。しかし、遠回りしなければ、確実に一日遅れる。これでは結婚式の前日に着くことが出来ない。
結局、雨と泥だらけの道を避けるために、砂漠に行くことにした。
もう、フラグは立ってる。
俺は警戒しながら砂漠に臨んだ。
アミューシャ砂漠は雨は降っていなかったが、逆にカンカン照りだった。まぁ、砂漠だしな。たぶんここは、砂漠というよりは、ただの砂の多い土地という印象だ。これでも馬車が通れるところとしては、ギリギリ許容範囲だった。
ところどころに朽ち果てたトーテムポールや宮殿の柱、彫刻物などが打ち捨てられていた。ここは以前、文明があったようだ。
「おい、ルルチェ」
「あなたの思っていることが分かるわ」
「ここは何だ?」
「元はアミューシャ王国があったところよ」
俺は歴史には詳しくないのだが。
「古代遺跡か」
「そうよ。かつて栄えた文明。戦争によって滅びた国よ。太古の昔だけどね」
「そんなに古い遺跡なのか?」
「500年くらい前の古代文明」
「歴史あるな」
「この先は砂漠というか、岩場になるわね。そこまでがアミューシャ砂漠」
「なるほどね」
「でも、ここは厄介な場所でもあるのよ。滅多に出現しないんだけど、恐竜の住処があるの」
「恐竜?この時代に恐竜とかいるのか‥‥‥」
「砂漠をよく見て」
俺は辺りを見回した。
ほう、人骨や動物の骨がたくさんあるな。
「これ、恐竜が食ったのか?」
「そう。肉食恐竜」
「砂漠に恐竜とか珍しいな」
どんな恐竜か知らんが。
「人も食うんだよな?」
「口に入るものなら何でもだね」
俺はちょっとワクワクしてきた。
「さすがに今日は出ないだろう?」
「ごくまれに出現するかもってところね」
「それもフラグだな」
「フラグって?」
「いや、忘れろ」
俺たちの馬車は、ずっと先を進む。日が落ちてきた。
岩場の付近までたどり着いた。
「日没ね。夕方から夜が一番危ないのよ」
と、ルルチェが言う。
「もうそろそろ、野営の準備が必要ね」
俺たちは馬車を止めて、野宿の準備をした。
イーゼルに小さな火炎魔法を出してもらって、キャンプの火を起こしてもらう。
「もう半分の道のりを越えたわ」
ルルチェが言った。
「じゃあ、砂漠もそろそろ終わりか?」
「そうね。もうすぐ抜けるわ」
馬車のホロで俺と御者が寝る。
大きなテントでは、女子全員が寝た。
翌日の朝、俺が最初に起きた。
俺はその辺をちょっと散歩してみた。
ああ、さすが砂漠だけあって、朝は寒いな。
その時、咆哮が聞こえた。恐竜の縄張りに入ったかと思った。
たぶん、恐竜は近くにいるだろう。みんなが起きたら、すぐに発てば問題あるまい。
俺はタカをくくっていた。俺はチートなのだから、もし恐竜と出くわしても一人で戦えるだろうと。
数十分ほど経つと、他のみんなも起きてきた。
ベアトリアースが俺のところに来た。
「おう、おはよう」
「おはようです、リューイチ」
「やっとみんな起きたようだな」
「お前は早起きですね」
「ちょっと寝つきが浅かったからな。ベアトリアースはぐっすり寝てたっぽいな」
「魔族は本当は夜は起きてるものですが、人間と暮らし始めてからは、昼と夜が逆転してしまいましたけどですね」
「それは規則正しい生活だな」
「魔族にとっては不規則ですよ」
「そっか。お前はそれでも人間社会に適応していると思っていたんだがな」
「まぁ、郷に入れば郷に従えってことですよ」
「そのことわざ、どこで聞いたんだ?俺のいた世界のことわざなんだよ?」
「お前のいた世界なんて知らないですよ、リューイチ」
その時、響くような足音が聞こえた。
「なぁ、ベアトリアース。恐竜ってのはモンスターなのか?」
「モンスターの定義はコインを落とすか否かってとこだけですよ」
「倒した時に?」
「そうです」
「で、恐竜は?」
「野生化したモンスターです」
「じゃあ、戦って倒しても問題は無いな」
そう、今目の前に立っているのは、肉食の恐竜だった。
映画観に行きたいです。暇がないですけど‥‥‥