第五十四章・剣法って奥が深いんだなぁ。
武道を少々たしなんでおりますので、剣のことも語れます。読者の皆様にも知ってほしいという願いも込めて。読者様にお届けしたいと思います!!
第五十四章・剣法って奥が深いんだなぁ。
剣の道は険しい。俺はそう思った。
でも、これを機会にもっとチートスキルを上げることが出来る。
十数日間、俺は足の運びの練習ばかりしていた。
まだ剣は持たせてくれない。
「リューイチ、そなたにも剣の扱い方が出来るように、そろそろ剣法を教えようとするか」
コマドリが、ダ・ガール城の中庭に来て、そう言った。
俺たちは今、ダ・ガール城に居候していた。ルルチェのおかげだ。
「俺の動きはどうだ?」
「ああ。良くなってきている。次は剣の振り方だ」
やっと剣術の類を教えてもらえるな。
「でも、足捌きの練習はこれからも続けるように」
「はーい」
「じゃあ、剣を持ってこい!」
俺は、ダ・ガールの剣を持ってきた。
「早くこいつを使ってみたいんだ!」
「そなたはヘタレで、あまり剣で相手を斬ることなどないくせに」
「まぁ、な‥‥‥。でも、もっとスキルを上げたいんだ」
「その心がけはいいが」
「何だよ?」
「そなたのそのヘタレっぷりは直らないのか?」
「はは‥‥‥。それはそれでってことで!」
「まったく‥‥‥」
コマドリは忍者刀を正眼に構える。
「剣には技というものがある。すべては体を中心にした動きになるのだ」
コマドリは剣を袈裟斬りに振った。
ヒュンという、空気を斬るような音が鳴った。
「すごい剣閃だ!」
「これは腰で振った剣の技だ。できるだけ半円を描くように切っ先を斜めに振るのがコツだ」
「なるほど。腰で振れば、自然と体のこなしがついて来て、半身を維持したまま相手を斬ることが出来るってワケか!」
「リューイチ、そなたは飲み込みが早いな。それなら、すぐに強くなれるぞ!」
「そうか?」
「ああ。そなたもやってみろ」
俺は剣を構えて、同じように腰を使って剣を振り下ろす。
ヒョンという、情けない音がした。
‥‥‥アレ?鋭くない。
「いや、今のは単に、剣の重みで切っ先が落ちただけだ。振る時に手の内を締めて、固定するようにしろ。それで手首を締めれば、剣は必要以上に落ちなくなる」
アドバイスありがとう。
「よし、気を取り直して、もう一回、いくぜ!」
今度は手首を締めるようにして、剣を下ろした。
ヒュンという風を切るように、剣閃が鋭くなった。
「今のでいいのか?」
「今のでいい。やはり飲み込みが早い」
「やったぜ!」
「だけど、剣にはまだ技の数々がある。一通り教えるから、ちゃんと一つひとつモノにしておけ」
「はいよ、先生!」
「わたしに〝先生″はやめてくれ。仲間だろ?」
「そうだな。それ以上にダチだ」
「ダチって何だ?」
「友達ということさ!」
「そうか。ダチねぇ」
「なんだよ?」
「いや、わたしは忍者の山では、バカにされてばかりだったからな。こんなに心置きなく何でも言い合える輩は一人もいなかった。それだけに、嬉しい‥‥‥」
「俺たちは出会ったその日から、ダチだぜ?」
「そうか?」
「ああ」
コマドリは遠くを見た。たぶん、あの目の先に、忍者の山があるのだろう。
俺はお前を裏切れない。大切な仲間なんだからな!
こんなに俺に剣術を教えてくれる奴なんて、今の今までいなかったしな。感謝してるぜ、コマドリ!!
そう思うと、俺は剣の稽古に戻った。
まだまだ冒険は続きますので、お付き合いくださると嬉しいです!!読んでくれる皆様には感謝です!!