第五十一章・物理しか効かないじゃん!!
「ガールズ&パンツァー 総集編」の4DXを観に行ってきたんですが、4DXは初めてで、楽しかったです!!
第五十一章・物理しか効かないじゃん!!
イーゼルが魔導書を開いて、魔法の呪文を読み上げる。
「ファイヤウィル!」
ミサイルが、敵を追いかけた。
すごい!熱追尾システムが追加されたのか?ミサイルは、敵が避けても、ずっと追いかけるように飛んでいく。
イーゼルのレベルアップの賜物だな。
ジャングルに爆発が起きた。敵に当たったのか?
当たったようだったが、対象はそれでも動き回った。
アレ?あんなの食らって平気でいられるはずがないんだけど‥‥‥。
俺はベアトリアースの話を思い出した。
確か、人型モンスターのラブフには、魔法の類がまったく効かないとか言っていたな。
ってことは、イーゼルとルルチェはマズいぞ!
「イーゼル、ルルチェ、離れてろ!俺とコマドリで戦う!」
「えっ?」と、イーゼルたち。
「こいつは魔法は効かない。物理で攻撃できる、俺とコマドリに任せろ!!」
俺はコマドリと目を合わせた。
うなずくコマドリ。
剣で対抗してやる!
俺は気配を感じるように耳を澄ませた。
音無き音が、耳に聞こえる。そして肌に感じる空気が吹かぬ風のにおいを感じる。
コマドリも気をとがらせた。忍者刀を握る右手に汗が落ちた。
右か左か、それとも‥‥‥。
木の上から飛び降りる敵。上だ!
よくある手だ。
俺には効かない。
獣の骨で作られた、ノコギリのような武器が上から降ってくる。
それを俺は、ギリギリで避けた。
素早く、木にまた登る敵。
それを追いかけたのは、コマドリだった。そうか、地の利を生かしているんだな!
よくよく考えてみれば、コマドリは忍者だ。くのゼロなんだ。
忍者としての訓練はちゃんと受けてる。たぶん、忍者の山ではこういう木から木へという動きも訓練してるのだろう。
コマドリの剣が、相手を追う。
あちこちの木を、飛び回る敵とコマドリ。
俺は待ち伏せた。
たぶん、コマドリも気づいてるだろう。
コマドリは手裏剣を投げた。それをかわす敵。
その瞬間、敵はひるみ、その隙を突いて、コマドリの剣が、敵の体に振り下ろされる。
互いの武器がぶつかり合った。
力は互角だった。敵もコマドリも、お互い離れる。
敵がまた、移動しようとした際、足元の枝が折れた。さっきコマドリが投げた手裏剣が、その枝の一番太いところに刺さり、敵の体重移動の際にかかる踏み込みの時にそこが折れたのだった。
足場を失くした敵は、地面に落ちる。
そこを、俺が狙って攻撃する。いや、しようとしたその時だった。
可愛い女の子が敵だと分かって、俺は剣を下ろすのをやめてしまった。
その子は、髪はボサボサの銀髪だったが、目つきが悪い以外は普通の女の子に見えた。原始的な装束に身を包んだ、人型モンスターだった。まるで縄文人だ。こいつがラブフ?
こ、これは殺せない‥‥‥。
「おい、とどめを刺せ!殺られるぞ!!」
コマドリが俺に叫んだ。
その瞬間、敵は手に持った武器で、俺に攻撃を仕掛けてきた。
ああ、殺せないと思う瞬間に、殺されるのはこういうことなのか。
今やっと、分かった気がする。
俺は剣で防御しようとしたが、その剣をはじかれてしまい、ダ・ガールの剣が宙を舞った。
しまった。
次の攻撃をしてくるラブフは、一瞬、笑みを見せた。
しかし、チートの俺は、別にそれが気にならなかった。
武器が無いなら、殴ればいい。女の子に暴力は良くないが、これは生き死にをかけた戦闘なのだ。情けは一度で十分。
俺はアッパーカットでラブフの顎に一発入れる。途端にラブフはジャングルを上に抜けて、空へ舞う。そして、意識を失ったのか、そのままズドンと、地面に体が叩きつけられた。
やりました。アッパーってあれで良かったんだっけな?ボクシングは少しは分かるが。
何せ、俺は元キックボクシング部員だったのだからな。
地面に倒れていたラブフは、まだ息があったらしい。
「さて、こいつをどうする?」
イーゼルやルルチェ、コマドリもそこへ集まってくる。
「今のうちに完全にやっつけましょう!」と、イーゼルは言う。
ルルチェもコマドリも同意した。
でも、待てよ?
これは‥‥‥。
俺は思うことがあって、反論した。
「ダメだ!みんな下がれ!」
映画を観ることが、息抜きにもやる気にもなります。読者の皆様に、幸あれ!!