第四百七十六章・俺の選択
平成最後の更新です。
第四百七十六章・俺の選択
俺は以前、来たことのある空間にいた。
「俺はまた死んだのか?」
「そうです」
目の前にいたのは、女神ルシフィーネだった。
ああ、また俺は死んだか。
今度は一年ちょっとの命だったな。
「龍一さん、またお会いできて光栄です」
女神ルシフィーネは、ニッコリ笑っているが、何が可笑しい!と、俺は石でもぶつけたい気持ちになった。
誰が光栄だよバカ野郎!
あ、野郎じゃなくて、アマか。
「大魔王を倒して自らも死んで、カッコいい死に方でしたね」
見てやがったのかよ?
てか、死に方にカッコいいもクソも無いだろ。
映画じゃねーんだ。
それにヤムチャ的にだぞ?
これは誇ってないという方が正しいよね?
「しかし、久しぶりだな、ルシフィーネ」
「ええ。また来られると思っていました」
何で?
俺が二度も死ぬの分かってたのかよ、こいつ!
「龍一さん、あちらの世界でも、たくさんお友達やお仲間が出来たというのに、また死んで、本当に悲しいですよね」
また死んでって、人間は普通、二度は死なないモンだよ?
俺の人生って二回死ぬ運命なの?
不条理だなコラ!!
「でも、あなたのおかげであの世界の魔王軍も大魔王も鎮圧させられたようなので、一応ご報告しておきますね。あの世界ではもう、平和が訪れました」
「どうでもいいけど、俺が死んだのって、またあんたのミスってことは無いんだろうな?」
ギクッ!
「ま、まぁ、百兆分の一の確率で、ミスは起きますが、まさかのあなたの命を奪ってしまいました。ごめんなさい」
こいつはもう、地獄に叩き落せ!
「要するに、俺はあの時、死ぬはずじゃなかったってわけか?」
「は、はい。自爆前に大魔王エリーは絶命するはずでした。でもあの自爆で亡くなったのは龍一さんだけでした。良かったですね」
良くねーよ!
「なら、俺はまた死んで、これからどうなるってんだ?」
「はい、あなたには二つ選択肢があります。あの世界に帰るか、人間世界に帰るかのどちらかです。天国へ行ってしまうと、わたし的にはミスがばれて、わたしが地獄に落とされますので、どうか、二つの選択肢のどちらかに行ってもらいたいのです」
こいつ、マジで保身しか頭に無いのか?
でも、俺が元々いた人間世界に行くか、あのファンタジー世界に行くかの二択かよ。
う~む。
「じっくり考えてもいいですよ。決まりましたら‥‥‥」
「待て。考えてるから」
魔王も大魔王もいない、ファンタジー世界か。
冒険はもう無いのかもな。
そして、俺の元いた世界、か。
あの世界か‥‥‥。
「決まったよ!」
「そうですか?ではどちらに?」
「普通の人間世界!」
「えっ?」
ルシフィーネは意外そうな顔をした。
俺の腹は決まったんだけどな。
次は令和元年に更新予定。




