第四百七十五章・全面戦争〈後編〉
連載を始めてから半年以上経った気がします。
第四百七十五章・全面戦争〈後編〉
俺と大魔王エリーは、お互い対峙した。
「チートってことは、レベル99ってことですか?」
俺は起き上がりながら、質問に答える。
「違う。レベル無限大ってことだ」
「何ですの?」
俺はポケットからステータスカードを出して、大魔王エリーの方へ投げた。
それを受け取る大魔王エリー。
エリーはカードを見る。
リューイチ 19歳 男
職業 勇者 レベル∞
HP999
MP999
攻撃力∞
防御力∞
素早さ∞
知力 ∞
体力 ∞
運 ∞
「何ですか、この『∞』ってマークは?」
「それが無限大っていう意味だよ」
「なるほど。大魔王にふさわしい相手ということですね?」
俺がその気になれば、ワンパンで大魔王を倒せる。
しかし、その隙を見せないエリー。
何とか会心の一撃を一発、撃ち込まなければ‥‥‥。
俺はキックボクシングの構えを取った。
最終局面だ。
エリーは俺のステータスカードを、雪原にポイッと捨てた。
「あなたが最強なら、わたしも最強です。今、見せてあげましょう」
エリーは呪文を唱えた。
「ファイヤウィル!!」
エリーが唱えたのはミサイルの呪文だった。
イーゼルの魔法と同じか?
いや、違う!
出てきたのは巡航ミサイルだった。しかも三本。
俺は素早くそれらを避けた。
まともに食らったらさすがにヤバかっただろう。
後ろに飛んでいった巡航ミサイルは、雪原のど真ん中に着弾して、大爆発を起こす。
「これが大魔王の力です」
エリーはニヤッとほほ笑んだ。
顔は可愛いけど、今の魔法は可愛げがねーよ。
「二度目は通用しないぞ!」
俺は再び構えた。
「何やら格闘技めいた格好をするようですが、そんなもの、わたしに当たらなければ、意味は無いのですよ?」
知ってりゃあ、このアマ!
「お前を倒すには、この拳一発で十分なんだよ。頼むから撃ち込ませてくれ」
「バカじゃないの?そんなのは冒険者だけにしておいてくださいよ」
「バカとはまた、ものすごい物言いだな。俺がホントは怖いんだろ?」
「いいえ、余裕です」
「なら、とどめを刺してみろ」
「またミサイルを食らいたいのですね?」
ミサイルしか撃てないのかよ?
その時、後ろから別のミサイルが飛んで来た。
イーゼルだ。
狂鬼病の症状が収まったのか?
エリーの周りにミサイルが着弾する。
エリーはひるんだ。
さらにエリーの後ろから、コマドリが抜刀術で斬りつけて来た。
「奥義、カササギ!」
「グッ!」
エリーはそれでも体勢を立て直し、足で踏ん張って耐えた。
すぐに巡航ミサイルを出して、俺たちの方へ飛ばす。
ルルチェが俺たちの回りにバリヤを張って、巡航ミサイルの爆発から守ってくれた。
俺は拳を振り上げて、エリーに殴りかかる。
エリーはそれを避けた。
しかし、俺の拳は見せかけだった。
下段ローと中断蹴り、さらにハイキックの三段蹴りをエリーに食らわせる。
エリーは雪原に倒れた。
「グフ‥‥‥。や、やるわ、ですね‥‥‥」
こいつ、ヤケクソで自爆でもするのか?
そんなマネをする前に、とどめを刺すか。
こいつに降伏の二文字は無さそうだ。
なら、こっちは勝利の二文字を掲げよう。
女の子だからって、相手は大魔王なのだ。
この拳に皆の想いを賭ける。
ここに集まってくれた皆のためにも。
いや、この世界の皆のためにも、だ。
立ち上がったエリーの腹に一発、グーパンを思いっ切り叩き込む。
ズドンという音がした。
エリーの腹に、俺の拳の型が付いた。
エリーはその場に膝をついて、倒れた。
勝った。
大魔王に勝ったぞ!!
その時、エリーは俺にしがみつくと、最後の抵抗を見せた。
俺はエリーの自爆とともに、バラバラになった。
ヤムチャ的に‥‥‥。
読者の皆さんには感謝申し上げます。




