第四百七十二章・大魔王エリー
とうとう出てきました、大魔王!!
第四百七十二章・大魔王エリー
俺たちは雪山を下りると、ふもとの雪原を前に来た。
俺は大声で、
「大魔王エリー、出てこい!!ブッ倒してやるよオラ!!」
と、叫ぶ。
目の前の雪原の向こうに、何やら大軍団が現れ、立っているのが、ここからでも見ることが出来た。
「あれは?」
俺はルルチェに訊いた。
「あれが魔王軍よ」
冷静だが、声を震わせて言うルルチェ。
数はざっと、十万といったところか。
一番前に、黒髪の髪を後ろで結んだ少女がいた。
あれが大魔王エリーか?
「大魔王!お前はこの世界のラスボスなのか?」
大声で俺は言った。
「ラスボスとか知らないけど、初にお目にかかる、わたしは大魔王のエリーです。この名で呼べば、どこにでも現れますわ」
お嬢様口調だな。
「お前を倒せば、この世は真の平和が訪れるのか?」
「いいえ、争いごとは人間の所業。わたしたち魔王軍と大魔王は、そんな人間に鉄槌を打つさだめ。ご理解出来て?」
「裁定者か?」
「わたしたちは国を治めるだけです。ダ・ガール、リタ・エール、カル・デール、ダン・ルーエ、ルイ・イーク、シア・ラース、フイ・ティーク、ア・レーア、クラ・ナーア、クル・リーフ、ヴァ・ローオ、ジ・フォード。これらの国々をすべて統一させて頂きます」
この世界の国すべてか‥‥‥。
「なるほどな。それじゃあ、ただの侵略者か」
「わたしが始皇帝になれば、分かることですよ。わたしが英雄になるということが」
秦の始皇帝じゃあるまいし。
まぁ、この世界は中世なのだが‥‥‥。
「そんなことは俺が許さない!動乱の時代は終わったんだ。魔王が討伐されてからな。冒険をやめた人たちで溢れているのが、その証拠だ」
「冒険をやめたなどというのは、わたしたちのせいではありません。皆、人間の都合でしょう?」
「再び戦を始めるのは悪だ!」
「わたしは大魔王です。悪で当然です」
「大魔王エリー、俺がお前を倒す!そして戦を止めて見せる!」
「フフッ、これでもわたしは100年生きているのです。あなたなど、たかだか十数年生きたぐらいでしょう。ひよっこ相手に大魔王に対して何が出来るというのですか?」
「戦ってみれば分かるさ」
「わたしが一声かけるだけで、あちこちに散らばっている魔族が人間に対して攻撃を仕掛けます。それを全部止められますか?」
「いや、『ショーギ』でも同じだが、大将を仕留めれば、こちらの勝ちなんだ。つまり、お前を討てば、すべてが終わる」
「なるほど。それは確かに言えてますね。『ショーギ』ってのはちょっと分からないですが。でも、わたしには十万の魔王軍が後ろにいます。守りが固いとは、こういうことなのです」
大魔王エリーは、指をバチンと鳴らした。
魔王軍の中から、デカいモンスターが現れた。
何だこいつは?
「こちらはリヴァイアサンです。ドラゴンのヴァーラント級に強いモンスターです。これを相手になさい」
リヴァイアサンが、俺たちの方に向かって来た。
大魔王エリーのお気に入りのモンスターか?
ヴァーラントくらい強いということか‥‥‥。
こいつはヤバいぜ!!
この物語も終盤です。




