第四十五章・決着はティータイムのあとで。
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第四十五章・決着はティータイムのあとで。
部屋では、呑気にお茶を飲んでいるやつが座っていた。
「僕のティータイムを邪魔するやつがいるとはね」
こいつか?
「俺は冒険者のリューイチ。あんたがリタ・エール・ド・ドーゴンか?」
「そうだよ。僕がそのリタ・エールの書斎家のドーゴンだ。君もお茶をどうだね?」
「いらん」
俺は剣を構えた。
「できれば殺しはナシでいきたいんだ。あんたこの島から出ていってくれないか?」
「ああ、僕はリタ・エールの王子でね。ここを任されている身なんだ。ご要望には応えられない。それに僕は弟と違って戦える性分でもない。だから戦えない。分かってくれるかな?」
「言ってもダメなら、俺はあんたを倒す!」
「では、今日招いた僕の弟の、最強の戦士であるリタ・エール・ド・エルデと戦ってくれないか?」
その時、横の扉が開いて、エルデが出てくる。甲冑に兜を装備した男だった。
「兄さん、そいつを倒すためにわざわざ僕を呼んだのかい?」
「そうだよ、エルデ」
え?
エルデって、ひょっとしないでも、まさかあいつか?
コロシアムでの事を、俺は思い出していた。
「誰かな?僕の剣のサビになりたい愚か者はいったい‥‥‥」
俺の姿を見たエルデは、青ざめる。
「こ、この男‥‥‥」
「よう、あん時はどうも!」
俺は軽く手を挙げた。
「また会えて嬉しいよ。今日はギャラリーもいなくて静かだけどな」
「き、君が相手だったのか?」
「ああ。愚か者で悪かったな。でも、もう愚者は卒業したんだ。スマンね」
「そうか‥‥‥。じゃあ僕は、今日は下がるよ」
そそくさと逃げようとするエルデ。
「まぁ、待てって。もっかい決着付けようぜ。俺があんたを倒せばこの島はリタ・エールから解放する。戦わないのなら、あんたの兄を倒してこの島を救う。どっちでもいいんだぜ」
俺は剣を構えた。
「に、兄さん。僕ちょっと腹が痛くなっちゃって‥‥‥」
「何?」
「ふ、不戦勝ってことで、この島返してやってよ。じゃあ、僕はちょっと失礼するね!」
そう言うと、エルデはそそくさとまた扉の向こうに消えていった。
うん、それがいいよ、それが。けっこうけっこう!
「さて、あんたはどうするかな、ドーゴンさんよ」
「まぁ、待て。このお茶を飲み終えたら考えるよ。それまで‥‥‥」
俺はダ・ガールの剣を振り下ろすと、ティーカップを切った。
床に落ちて割れるティーカップ。お茶がこぼれた。
「外したわけじゃないぞ!次はどうなるか、分かってるよね?」
「くっ‥‥‥」
「さぁ、俺はダ・ガールの最強冒険者、リューイチだ。ダ・ガール名物、ギロチン刑に処されたくなければ、降参しろ!」
「わ、分かった!」
「ティータイムは終わりだ」
俺はリタ・エール・ド・ドーゴンを確保した。
時間稼ぎをしてくれたリルエやイーゼル、ルルチェやコマドリも、敵と決着はつかないまでも全員無事だったようだ。四人とも強敵相手に頑張って持ちこたえてくれた。
感謝だ!
軍事政権は終わった。
俺たちの勝利だ!!
* * *
数日後、カルデッド島には、ダ・ガールの軍隊が押し寄せていた。
ルルチェが呼んだのだ。
占領軍は皆、逮捕された。魔族たちも一度、ダ・ガール城の地下牢へ運ばれることになったのだ。
リタ・エール・ド・ドーゴンも一緒に連行されていく。
これからはドーゴンの身柄もダ・ガール預かりになる。
これをもとに、ダ・ガールはまた、和平交渉に尽力するそうだ。
ルルチェは、参謀長官に証印の型番を預けた。
リルエから取り戻したことは伏せていた。事情は分かっているからだ。
リルエは解放された島民の中から両親を見つけたらしく、両親と友達のゴーレムとともに、島へ戻っていった。
俺たちに礼を言ってから。
俺たち一行は、一度ダ・ガール城に戻ることにした。
さて、冒険は終わった。
そして、次は?
ダ・ガールでは、何かのセレモニーがあるような雰囲気だった。
何があるのか、城下の人に訊いてみると、「ああ、冒険者と魔女の結婚があるとかなんとか。これから盛大にやる予定だそうだ」と、言われた。
え、何だって?それ、俺の結婚?
何だそれ?
小説のネタを考えるのに苦労してますが、夜に散歩すると、考えが整理されて気持ちがいいです。