第四百五十八章・軽くデートでもどうかな?〈中編〉
今日は選挙に行ってきます。
第四百五十八章・軽くデートでもどうかな?〈中編〉
俺とイーゼルは食事を済ませると、また街の喧騒に身を投じた。
街中はイーゼルにとっては人酔いしそうな雰囲気だった。
あまり騒がしくないような場所へ行こうということになったので、近くの喫茶店に入った。
まぁ、どうせコーヒーは置いてないだろう。
悪魔や魔族が飲むものだろうから‥‥‥。
そこでバッタリ、コマドリに出会った。
「あれ、コマドリ」
「リューイチとイーゼルか」
「一人で何してるんだ?」
「わたしはここで静かにお茶しているだけだぞ。二人はアレか?テートってヤツか、もしかして?」
「ま、まぁ、そうだな」
俺は照れながら言った。
「うらやましい限りだな」
コマドリは不機嫌そうに、俺に言う。
ん、何だ?
ヤキモチでも焼いてるのか?
だって俺はイーゼルが‥‥‥。
いや、詮索するのはやめよう。
コマドリもとやかく聞かないし、それでいいと俺は思った。
俺とイーゼルは、コマドリから離れている席へ行った。
「ここなら落ち着けそうだな」
「はい」
俺は適当な紅茶を注文した。
イーゼルもジャスミンティーを注文する。
「敵はあと一体。アトマスフィアはいつ出現するんだろうな?」
俺はボーッと店内を見回しながら言った。
「そうですね、クレアスフィアはあと一つで全部集まりますし」
「ロードラの塔の最上階に、集めたクレアスフィアを置けば、最上階にいるという伝説の魔法使いと会えるんだよな?」
「そうです。わたしも会えるのは楽しみですよ」
「でも、50年前の勇者の仲間か。そういや勇者は失踪してるんだっけ?」
「そのようですね」
「どこに行ったんだろうな?」
「さぁ、分かりません」
「案外、俺たちを待ってたりしてな」
「それはどうでしょう‥‥‥」
「言ってみただけさ」
そんな話をしながら、お茶が出てくるのを待つ俺とイーゼル。
イーゼルの安心したような顔を見れるだけで、俺は満足だ。
狂鬼病のことは助けてやれないが、こうして穏やかな時間を作ってあげることは、俺にも出来る。
こんな日が続けばいいのにな。
俺自身も、冒険するよりのんびりと過ごす方が、合ってるのかもしれない。
何せ、ここではイジメが無いのだ。
こんな平穏な日々をまったりと過ごすなんて、生前では考えられなかった。
俺は俺の時間を生きているのだ。
俺の生前のことは、忘れたくても忘れられない、記憶に刻まれた呪いのようなもんだったが、この世界に来てからは、俺は充実しているのだ。
俺が女の子とデートする未来など、俺はまったく考えられなかったことだったのだが、今はこうして現実になっているではないか。
死んで良かったなどとほざくわけでは無いが、俺の人生は変わったのだ。
女神ルシフィーネにも感謝だな。
そう思いながらも、デートは続いた。
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