第四十三章・チートの俺以外が頼りだ!
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第四十三章・チートの俺以外が頼りだ!
夜、カルデッド島の使われていない、さびれたドックに気球でたどり着いた俺たちは、島の裏道を知っているリルエを先頭に、宮殿へと急いだ。
丘の上にあるのは、大きな宮殿だ。あそこにベアトリアース・フェルベとリタ・エール・ド・ドーゴンがいる。
そこへ俺たちは進んで行った。
途中で出くわしたリタ・エール軍の兵隊を、コマドリが倒してくれた。こういう時、忍者刀は役に立つものだと感心してしまった。それにしても人が死ぬのはやっぱり嫌だなぁ。
だが、何かがおかしい。昨日来た時は、それなりに独裁国家のように兵隊たちがたくさんいたが、これは何だろう?
ひょっとして俺たちは誘導されてる?
丘の上の宮殿近くにまで行ったら、そこで少し様子を見ることにした。
門の前を大きなトロールがふさいでいた。
マズいな。呪いの結界の前にいやがる。これでは呪いの結界を壊せない。結界に触れれば、呪いを受けてしまう。
確か、呪いには二種類あって、苦痛を与えながら殺す呪いと、すぐに死ぬ呪いだったか?
ルルチェでないと結界は破れない。
さ~て、どうするか。
「トロールはわたしに任せろ、リューイチ!」と、コマドリが言う。
チートの俺でも、こんな化け物のようなやつ相手に戦えば、時間がかかる。これはもう、コマドリに任せよう!
「行ってくれるか、コマドリ?」
「ああ。わたしがちゃんと相手する。ルルチェ、呪いの結界とやらを早く壊してくれ!」
俺とイーゼルとリルエとルルチェは言うとおりに半円を描くように、左に沿って走り込み、トロールの後ろへ行った。それと同時にコマドリが、トロールの巨体に忍者刀で斬りこむ。
結界の前に立つルルチェは、イーゼルと手をつないで、魔導書の、呪術結界解除の魔法のページを開き、スペルを唱えた。
「クリフィード・ランドア・アール・ケルカルトル・バーセフ!」
宮殿を覆っていた結界は、音を立てて崩れ落ちた。
コマドリはまだ、トロールと交戦中だ。
「コマドリ!」俺は叫ぶ。
「先に行け!ここはわたしが引き受ける!!」
どこかで聞いたようなセリフだな。
まぁ、いいや。
俺たちは宮殿の中へと進んだ。玄関の大きなドアを壊すと、中に入る俺たち。
そこにいたのは、女の呪術師だった。オバサンのように見える。あ、オバサンは女性に失礼か。
「呪術師のカルマと申します。ベアトリアース・フェルベ様の部下です。ここは通しませんよ。呪いであなたたちを死なせてあげます」
物騒なこと言ってんじゃねーよ。
でも、呪術師とは厄介だな。呪いを武器にしているところが怖い。物理攻撃よりも危険かもしれない。
どうする?さすがにチートの俺でも、こういうのには本当に呪い殺されてしまう‥‥‥。
「ここは先に行って。わたしが戦う!」と、ルルチェ。
「これはわたしの領域よ」
さすがの賢者だな。ではお言葉に甘えて。
カルマの前に立つルルチェ。
俺とイーゼルとリルエはカルマを避けて、先に行った。
大きな階段が見えてきた。ここは宮殿の中央だな。
さて、この上にベアトリアース・フェルベという魔族と、そいつを雇っているリタ・エール・ド・ドーゴンがいるはずだ。
おっと、階段には魔法使いの魔族がいる。小学生くらいの年齢に見える女の子だ。ツインテールのゴスロリファッションの子。だが、見た目に騙されるな。相手は魔法のプロだ。
「ここは通しませんよ。わらわは魔法使いのゼッドです。わらわの相手は誰じゃ?」
そうか、それぞれがちゃんと待ち構えていたのか。納得!
「じゃあ、相手は‥‥‥」俺は、イーゼルの方を見る。
「わたしが相手します」と、イーゼル。
そうか。
「みんな、死ぬなよ?いいな?」
俺とリルエは階段の端を登り、その場をあとにした。
みんな時間稼ぎのために戦うだけでいい。一対一で戦って勝てとは言わない。ちょっとの間だけ、時間を稼いでくれ。あとは俺に任せろ!
ベアトリアース・フェルベとリタ・エール・ド・ドーゴンめ、今行くから覚悟しろ!
ちょっとだけ出てきたキャラも、そのあとの展開で再登場させたいですね。好きなキャラもたくさんいますから。