第四百三十七章・イーゼルの容態
今日は朝から寒いですね。雨が降ったからでしょうか?もう4月だというのに。
第四百三十七章・イーゼルの容態
飛行船の墜落現場では、多くの兵と、王族の人たちが、壊れた飛行船から脱出していた。
俺と新エトカニア騎士団の皆で、現場まで行き、ルイ・イークの王。ドルティスを探して、見つけると、捕まえた。
他の兵や王族の人たちは、新エトカニア騎士団によって、捕虜にされていく。
「ドルティス王、あんたが指揮をしていたのか?」
無礼な俺は、ドルティス王に向かって言う。
「貴様、時代遅れの冒険者か!こんなところで再び会うとは‥‥‥」
「俺だって心外だよ。どうだ、バカにしていた冒険者に堕とされる気分は?」
「これで終わりだと思うな!」
「もう終わりさ。王を取ったんだ。これぞ、チェックメイトってモンだ」
「チェックメイト?ショーギで使う『王手』のようなものか?」
そういえば、ショーギってあったな。
「まぁ、そういうことだ。カル・デールでは、戦争犯罪人は火刑って決まってるんだ」
そんなことは決まっていないが、カル・デールの伝統処刑法、火刑を口にしてみた。
真っ青になるドルティス王。
「王族には当然、容赦はしない。お家断絶にしてやるぜベイビー!」
俺の今の気分はノリノリだった。
「よし、連れてけ!」
新エトカニア騎士団の団長は、ドルティス王を王都の城まで連れて行くよう指示した。
「リューイチ殿、あなたのおかげで戦いに勝った。礼を言う」
「いや、なに‥‥‥」
俺は照れ笑いをした。
どうせこれは、リリー・プラド・ハモレミストからの依頼みたいなものだったのだ。
クレアスフィアを得るためにやったことだしな。
こちらも礼を言わないとな。
* * *
戦争には勝った。
ルイ・イーク軍もリタ・エール軍も、撤退したようだ。
王を取られては、仕方あるまい。
俺はイーゼルが気になったので、王都へと足を運んだ。
王都では、そんなに被害は無かったらしい。
ルルチェと合流した俺は、コマドリとイーゼルが、城の部屋で休んでいるという報告を聞いた。
「そっか、イーゼルのミサイル魔法のおかげか」
俺はルルチェに礼を言う。
「イーゼルのそばにいてくれて、ありがとな」
「いいのよ。狂鬼病はわたしのヒーリング魔法でも治せない。それでも頑張ってくれたイーゼルには感謝よ」
「そうだな」
* * *
イーゼルの部屋を訪れると、イーゼルは薬が効いてるらしく、落ち着いて寝ていた。
意識はあるようだ。
目を開けて、天井をジッと見ている。
「イーゼル」
俺は声をかけた。
「リューイチですか?」
「ああ。気分はどうだ?」
少しの沈黙の後、イーゼルは上半身を起こした。
「戦いはどうなりました?」
「勝ったよ。飛行船が現れて、ちょっとビックリしたけどな」
「そういえば、前に飛行船の話をしましたね」
「ああ、そうだな」
「ルイ・イークの王族しか乗れない決まりでしたから、一度乗ってみたかったです」
「そうか、そうだな。もう飛行船は墜落してしまったけどな」
「墜落ですか。わたしの魔法で‥‥‥」
「そうだ。見事だったぞ。俺は信じていた。お前をな」
「そんな。わたしもちゃんと、戦いには参加したかったです」
「参加してただろ?飛行船を撃ち落としたのは誰だ?お前だろ?」
「そうですが‥‥‥」
「気に病む必要はないよ。それより、ゆっくり休んでいてくれよ」
「わたし、足手まといにはなりたくないです」
「そんなに気を揉むな。お前の出来る範囲内でいいんだ。無理はするな。誰も足手まとい何て思っていないさ」
「はい‥‥‥」
俺はイーゼルの部屋を出た。
これからも、イーゼルには役割を与えよう。
イーゼルのやれる範囲内で。
俺はそう思った。
もうすぐ平成から令和に変わります。歴史の移り変わりですね!!




