第四百三十二章・イーゼルの決断
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第四百三十二章・イーゼルの決断
さて、リリー・プラド・ハモレミストからの頼みを聞いてやる前に、イーゼルの容態が心配だった。
宿で休んでいるイーゼルの元へ、俺たちは集まった。
「イーゼル、もし無理なら、ここで待っててもいいんだぞ?」
イーゼルは黙っていた。
答えを出すのが苦しいほどに辛いのだろう。
でも、俺以外はその症状が、分からないだろう。
「イーゼル‥‥‥」
俺はイーゼルの頭を撫でた。
ハッとするイーゼル。
「ごめんな、辛い思いをさせて」
「いいえ。わたしがあの時、油断したのが悪いんです」
「そんなことないよ。俺は知ってる」
「わたしの何が分かるんですか?」
イーゼルは気が立っていた。
大声を出すのも、いつものように感じた。
悪いのは狂鬼病だ。
それを俺は知っている。
「イーゼル、俺もそうなったことがあるんだ。話してはいなかったけどな」
「リ、リューイチも?」
「ああ。当然克服する前に、俺は一度死んでしまったけど、今はここにいる。イーゼル、お前の症状は、俺が知っている。だから、わがまま言ってもいいんだぞ?」
「で、でも‥‥‥」
「旅が終わったら、俺がそばにいてやるよ。約束する」
「わたしはリューイチに甘えてしまいますよ?」
「それでも、わたしは‥‥‥」
「迷惑かけたっていいじゃないか。俺たちは仲間だろ?」
「リューイチ‥‥‥」
「お前の好きにしていいんだぞ」
「わた、わたしは‥‥‥」
「うん、言ってみ!」
「皆と旅がしたいです。ここにはいたくない」
「それでいいなら、いいよ。一緒に行こう!」
「はい!」
その時、イーゼルはまた、パニック発作に襲われた。
心臓がバクバクし始めた。
「く、苦しい‥‥‥」
「薬を飲め。処方された薬があるだろ?」
「実はもう、無くなりました」
「じゃあ、もう一度医者の所へ行って、精神安定剤をもらってこよう」
俺たちで、イーゼルを診療所へ連れて行った。
こういうことが何度も続くだろう。
でも、仕方ないのだ。
仲間が苦しんでいるのなら、俺は助けるだけさ。
薬を半月分もらって、すぐに安定剤を飲むイーゼル。
三十分くらいして、ようやく気持ちが安定してきたようだった。
苦しいだろうな。
イーゼルが落ち着いた頃に、俺たちは街を出た。
「南へ下るぞ。ルイ・イーク軍を潰す!」
俺はイーゼルの分まで働こうと、張り切った。
「戦いは避けたいが、ルイ・イークとは、以前やり合ったことがある。魔法科学の力で俺たちを攻撃してくるだろう。その時は容赦するな。こっちの手駒の力を見せてやろう」
ルルチェたちは心配した。
「リューイチ、戦争なんだから、くれぐれも注意してね」
「ああ、俺はチートスキルの持ち主だ。俺が奴らをぶっ潰してやるよ!」
「その意気込みは買うけど‥‥‥」
「心配するな。戦いには皆、慣れているだろ?」
「それはそうだけど‥‥‥」
ルイ・イークは俺がボコボコにしてやる。
戦艦ガンドレアのような、近代兵器を持ってきても、俺が必ずぶっ潰す!
俺はそう誓った。
読者の皆様に幸あれ!!




