第四百三十章・狂鬼病の発症!
狂鬼病はパニック障がいを模して描いています。
第四百三十章・狂鬼病の発症!
その症状は突然来る。
東国での武器を手に入れるという目的を果たした俺たちは、波止場へ戻り、その日のうちに船に乗った。
そしてその途中、イーゼルはパニック発作に襲われた。
心臓が激しく脈を打ち、胸を押さえてもその鼓動は静まらず、イーゼルは苦しみに堪えられずに膝を折って座り込んだ。
もう死んでしまうのではという強迫観念に囚われ、うずくまる。
そして数分後、その症状は収まった。
しかし、手足が震え、イーゼルは予期不安に恐れをぬぐえない状態だった。
三十分が過ぎた。
また、発作が起きた。
イーゼルは苦しくなり、パニック状態になる。
その繰り返しだった。
これは街に行って、何とかしてもらわなけりゃいけないな。
治るのか?
俺たちは心配になった。
これが狂鬼病!
一日がかりで大陸に着くと、俺たちは近くの街へ行き、診療所へとイーゼルを連れて行った。
医者に診てもらうのが一番いい。
そのはずだ。
医者はイーゼルのパニック発作の原因たる狂鬼病のことを話した。
イーゼルは一度、体のすみずみまで調べてもらったが、体に異常は全く無いとのことだった。
やはり狂鬼病か。
パニック発作になるのは、狂鬼病のせいとしか言いようが無かった。
その狂鬼病には、治す薬は存在しないとのことだった。
ヤマトのクニの吉さんが言ってたことと同じだったな。
やはり、完全に治すための特効薬は無いのか。
一時的に症状を緩和する薬を、定期的に飲まなくてはならないらしい。
それでも症状は出る時もあるというのだ。
これからイーゼルはどうなるんだろう?
俺たちには何も出来なかった。
その後もイーゼルは、心の病と戦った。
しかし、処方された薬をもってしても、心因性の症状に勝つことは出来なかった。
「イーゼル、大丈夫か?」
「はい。今のところは‥‥‥」
「またパニックになったら、ちゃんと言えよ?」
「でも、リューイチたちの手を煩わせるわけにはいきません」
その気持ちは嬉しいけどな。
「でも、休んでないと、治せないぞ」
「どうせ治らないじゃないですか!!」
突然大声を出すイーゼル。
しまった。
イーゼルに、こういうセリフはNGだった。
休息の日は大切だろう。
俺はイーゼルのペースに合わせた。
こればっかりはしょうがない。
狂鬼病とはこんなにも恐ろしいものだったのだ。
一本角のザイアを、俺たちはナメてかかていたのだ。
それで今、イーゼルは苦しんでいる。
俺たちはそれぞれ、罪悪感に際悩まされていた。
今後の旅に、イーゼルがついて来られるか、分からなかった。
しかし、置いていくわけにもいくまい。
決断を迫られる俺たちだった。
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