第四百二十九章・オーガーのザイア。そして狂鬼病。
また更新時間過ぎちゃいました。すみません。
第四百二十九章・オーガーのザイア。そして狂鬼病。
俺たちは奥に進むと、もう一匹のオーガーがいた。
今度は体格のいいマッチョなオーガーだった。
あれが一本角のザイアだな。
手にこん棒を持っているが、間違いない。
「お前がザイアか?」
「そうだ。俺様はオーガーのザイア。狂鬼病のザイアだ」
「狂鬼病?」
「ああ。俺の目を見ろ」
ザイアは目をカッと開いた。
赤い目がこちらを向く。
「ダメよ!あの目は見ちゃダメ!」
ルルチェが俺たちに向かって叫んだ。
ザイアの目は、イーゼルに向かっていた。
まともに目の力を全身に浴びるイーゼル。
え?
イーゼルは何ともなかった。
「どういうことだよ。あの目は何だったんだ?」
俺はルルチェに訊いた。
「狂鬼の目よ!あの目を見ると、狂鬼病にかかる」
「狂鬼病って一体何なんだ?」
「一種の病よ。病気になる」
「何だって?」
俺はイーゼルを見た。
「どうかあるか、イーゼル?」
「わかりません。体には何とも‥‥‥」
「ハッタリじゃないのか?」
「病気の兆候はありませんし」
なら、とっととザイアを倒そうじゃないか。
俺とコマドリで、二人がかりで攻撃する。
コマドリの玉鋼の剣が、ザイアの動きを止める。
その隙を突いて、俺が聖なる剣で、角めがけて剣を振った。
「くたばれ!」
ザイアの角は飛んでいった。
一本しか角が無かったのが、幸いだったようだ。
一気にザイアは、俺たちに倒された。
「ぐはっ!」
ザイアは苦しんだ。
そこへ、イーゼルの爆破魔法が炸裂し、ザイアの体はコナゴナになった。
「大したことは無かったな。まぁ、俺たちは最強だ」
俺はホッとする。
それにしても、狂鬼病とは一体何なのだろうか?
「イーゼル、本当に何ともないのか?」
「はい。全然」
「ただの脅しかよ」
俺は剣を納める。
これでオーガーは二匹とも仕留めたぞ。
「金銀財宝は無いのか?」
俺は辺りを見回す。
どこにもそんなのは無さそうだ。
鬼ヶ島と言っても、おとぎ話とは違うのだ。
アトランティス王国が良い例だ。
あそこもプラトンの記述とは違ったのだ。
俺たちは、浜辺に戻り、吉さんの小舟で鬼ヶ島をあとにした。
「あなたたちは本当に強いですね。オーガーたちを、いとも簡単に撃破するなんて」
吉さんの話はもっともだ。
俺たちはパワーアップしている。
「まぁ、俺はレベル無限大ですから」
俺の得意げな顔が、皆にはウザいようだった。
ルルチェたちが、呆れている。
「特に、狂鬼病には誰もかかってはいませんよね?」
吉さんが妙なことを言う。
「狂鬼病って、結局何なんだよ?」
「狂鬼病にかかったら、体の中のマナが狂ってしまい、パニック発作を引き起こしてしまうのです。ヤマトのクニでも、数人が狂鬼病にかかって、今も苦しんでいるのです。治す方法はありませんから」
え、ちょっと待てよ?
「イーゼル、本当に体は大丈夫なのか?」
「え?今のところ、何もないですが‥‥‥」
「オーガーのザイアの目を見たら、あとで発症しますよ。この世に特効薬は存在しないんです」
と、吉さん。
なんてこった!
俺はその言葉に驚きを隠せなかった。
「じゃあ狂鬼病ってのは‥‥‥」
「はい。精神をやられる病気です。突然発作が起きるので、注意を!」
心の病なのか?
俺は心底、青ざめた。
なぜなら、俺も生前、いじめを受けて、適応障害を患ったクチだからだ。
こういう病気になったことのない人は分からんだろうが、その症状は計り知れないくらいに重いものなのだ。
まさか、イーゼルが?
昨日は朝の4時まで眠れなかったです。ちょっと辛い‥‥‥。




