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第四百二十三章・毒蛇

4月に入ると、いろいろ忙しくなりますね。

第四百二十三章・毒蛇



 俺たちは山奥の盗賊団の村に連れて行かれた。

まぁ、俺がそれを望んだんだしな。

ズブ濡れなとこ悪いが、一旦服を乾かせてくれよと言いたいところだが、今回は我慢しよう。

自然乾燥で、どのぐらい乾くかだな。


 俺たちは、神殿の中に案内される。

ここに毒蛇という奴がいるのか。

マジになる俺。

中には祭壇らしきものがあり、ロウソクがたくさん周りを囲み、火が灯されていた。


「ここが、毒蛇のアジトか?」

 俺は三人の仲間とともに、奥にいた老婆のところへ来る。


「いらっしゃい。初めまして」

 老婆の前には一つの大きな壺が置いてあった。


「どうも。俺たちはダ・ガールの直属の冒険者、リューイチとその他だ」

「誰がその他よ!」

 ルルチェがツッコんできた。

「ああ、こいつはダ・ガールの姫、ルルチェだ」

「それはどうも」

「それから魔女のイーゼルに忍者のコマドリだ」

「わたしゃ目が見えなくてな。スマンがその辺に適当に座っておくれ」


 俺たちは老婆を囲むように、それぞれ座った。


「わたしゃ、毒蛇と呼ばれている老婆じゃ。ここで占いを行っている。リューイチさん、でしたかな?あなたには闇を産む暗い過去があるようじゃな」

「闇?」

「そうじゃ。呪われていると言っても過言ではあるまい。あなたは心の中が怒りに満ちている。そうじゃな、過去を思い出すにはまだ、人生が若過ぎる。たとえ過去に縛られ、呪われているとしても、今を生きる意志だけは失わないようにな」

「今を生きる意志‥‥‥」


 そうだ。俺はイジメられてきたんだ。そして引きこもりになり、死んだ。今は新しい人生を生きているんだ。それだけは変えられない事実。


「なぜ、俺にそういうことを教えるんだ?」

「新たな戦いが始まった時、あなたが生きてないと、多くの人を救えないからじゃよ。それに、男たるもの、一度は人からバカにされて、けなされて、侮蔑されることだ。自分の失った誇りを取り戻すきっかけになるか、ならないかは自分次第だしな。わたしが言えるのはそれだけだ。新たな戦いに備えよ、冒険者の男よ」

「そんな日が来るのか?」

「クレアスフィアが集まった時に、その答えが分かろう」

「クレアスフィアが集まった時?」

「そうだ」


 今、集めているクレアスフィアは、現在四つ。残りの四つは超級モンスターが持ってるはずだ。それを手に入れることが最優先になるようだ。


「でも、何でそんなことが分かるんだ?まじないか?」

「わたしゃ、毒蛇。この壺の中には毒蛇が入っておる。いつもこいつに訊くのじゃ。さすれば教えてくれる」


 そう言うと、老婆は壺の上に手を置いた。

 途端に、キングコブラがニョロっと出て来た。


 本当に本物の毒蛇かよ?

 怖っ!


「こいつで先の未来を見ることが出来るのじゃ」

「分かった!分かったから、しまってくれ。ホラ、イーゼルたちも気味悪がってるじゃないか!」

 老婆はヘビを壺の中に戻した。


 なるほどな。

 これで毒蛇と言われる意味が分かった。


 とにかく、ヘビは出すな!

 トラウマになるだろ?


 俺たちはその後、盗賊団の村を出た。

「ここも、クニの一つだったのかもな。それか、ムサシのクニやヤマトのクニからも追放された民族か‥‥‥」

「そう?」

 ルルチェが俺に訊いた。

「ああ。と、言うのも、それは毒蛇のいる村だからさ。大方、ムサシのクニからもヤマトのクニからも追い立てられてしまったような、気の毒な村なのさ」


 アメリカが先住民を追い出したとか、オーストラリアがアボリジニを虐殺したとかは、よく言うが、日本だって琉球やアイヌに同じことをしたのはあまり表沙汰にしようとしないのは、やっぱりそれが、後ろめたいからだと思う。


 あいつらも本当に気の毒な連中だよ、マジで。



読者の皆様に幸あれ!!

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