第四百二十二章・山賊団の〝毒蛇”とは?
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第四百二十二章・山賊団の〝毒蛇”とは?
いかだはどんどん岩場を擦り、そのたびに蔓ひもがほどけていった。
「いかだが分解する!」
俺は三人に告げた。
「マジでか?もうそなたを殺す!」
コマドリはオール代わりの木の棒を、落とした。
もう川から拾うのは不可能だ。
「リューイチ、ここいらでもういいんじゃないですか?死神が見えますよ、もう」
イーゼル、気をしっかり持て!
死神なんていないから!
死んだら女神ルシフィーネのところへ行くだけだぞ?
「ギロチンよりも火刑がいいわね。今度、ポラリスに頼んで、リューイチを処刑してもらいましょう」
ルルチェはブレないな。
その時、大岩が迫ってきた。
「いかん、あの岩に飛び移れ!」
俺は三人に命令する。
俺は竿を水の底に突き刺して、いかだの動きを止めると、かろうじて岩場のすぐ横にいかだを着けさせた。
一人ずつ、岩に向かってジャンプする。
俺を最後に、四人とも飛び移ると、いかだは大岩に激突して、バラバラに壊れた。
「ヤバかったぜ。この先も激流が、まだ続いている。もうダメかと思ったぞ」
俺は竿を川に捨てた。
こんな中途半端なところだが、メインの激流は越えたようだ。
しばし安全になる。
「三人とも大丈夫か?」
俺は訊いた。
「大丈夫だ。そなたのおかげでな」
コマドリはテンション的に正気が戻ったようだ。
「イーゼル?」
「はい、大丈夫です。生きてます」
見りゃ分かる。
「ルルチェは?」
「平気よ。ズブ濡れだけど、助かったわ」
ルルチェは俺から目をそらした。
怒ってんのか?
でも助かったんだ。
「ここはどこだ?」
森の中にいるようだった。
アルカディア川が流れている、磁場の狂った土地のようだ。
「少し休んだら、森を抜けよう」
俺たちは岩場の上で、休息を取った。
ここは人の気配がする。
どういう場所なのだろう?
その時、大勢のDQNたちが、突然森から現れ、俺たちを囲む。
「逆らうなよ?ここを通りたかったら、俺たちに通行料を払え!いいな?」
リーダーのような男が、俺たちに言った。
「誰だ、お前らは?」
「あ?誰に口聞いてんだ、小僧?」
「いや、お前にだよ」
俺はリーダー格の男に言った。
「てめぇ、誰に口聞いてんだ?ああ?」
「いや、だから、お前にだよ。耳聞こえてる?」
「だから、誰に向かって〝お前”とか言ってんのかって訊いてんだよ?」
「いや、誰も何も、お前はお前だろ?ヤンキーか?」
「口の利き方に気をつけろよ、お前」
「だから、誰にそれ言ってんの、お前はよ?」
「口の利き方を知らんようだな。俺たちは山賊の毒蛇だぞ?」
「知らねーよ」
「なら、口の利き方を教えてやる。だが、これはお前が悪いんだからな、一応言っておくが」
「何が悪いんだそれ?」
「お前の口の利き方が悪いんだからな。そこんとこ分かれよ?」
「何を言ってるのか分からん」
「なら教えてやるよ!」
「ああ。ちゃんと教えてくれよ。説明くらい聞いて‥‥‥」
その時、男は俺に向かって拳を振り上げた。
パンチでも飛んで来るってのか?
教えてやるって言っておいて、なぜ拳が飛んで来るんだ?
まぁいいや。
それをヒョイと避けると、俺はグーで、相手の腹にパンチを打ち込む。
「ぐはっ!」
さらに連続でパンチ20回に蹴り20回を食らわせた。
ボッコボコだ。
ああ、心が痛む。
「き、貴様‥‥‥、ヘタレな顔して‥‥‥こ、こんな。もう殺せ!」
「いや、俺も倒したいのはやまやまなんだけど、お前、全然倒れないんじゃん」
「‥‥‥」
「まだやるのか?てか、教えるって何を教えるんだ、こんなことして」
「うるさい!俺の負けだ!殺りたいなら殺れ」
「いや、それでもいいけどさ、倒れろよ」
俺はだんだんメンド臭くなってきた。
「〝毒蛇″ってのは、誰だ?お前か?」
「違う。毒蛇は団長だ。毒蛇を操れるから、毒蛇と呼ばれている」
「なら、会わせろよ」
「分かった。ついて来い」
俺たちは山賊団とともに、山を登った。
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