第四百二十章・本当の激流へ!〈前編〉
新しい小説も、地味に始めました。それの更新はずっとあとになると思いますが、どうぞそちらもよろしくお願いいたします。
第四百二十章・本当の激流へ!〈前編〉
いかだは滝の下に落ちた。
ザバーンという音がして、滝つぼに着水する。
危ない。
もうちょっとでひっくり返るところだった。
しかし、流れの強い川は容赦なかった。
次はもっとすごい流れの場所で、いかだを右へ左へとジグザグに進ませる勢いだった。
岩場が迫っては、ぶつかると同時に逆の方の岩場にもいかだはぶつかる。
避ける術を持たなかった。
流れがそうさせている以上、いかだの自由は効かなかった。
「これはマズい!」
俺は竿で漕ぎながら、叫ぶ。
「次も中くらいの滝が迫ってるぞ!」
俺は川の先にあるデンジャラス・ゾーンを指さした。
「落ちる!」
イーゼルはいかだにかろうじて掴まっている状態だった。
「リューイチ、流れが速すぎます!振り落とされそう!」
まるで絶叫マシーンの如く、いかだは川の流れに沿って、スピードを上げ、進んでいた。
「次の滝よ!」
ルルチェが言う。
分かってるよ!
いかだが言うことを聞かないだけさ。
って、それがヤバいんだろうけど‥‥‥。
考える間もなく、いかだは滝に落ちた。
着水して、次の流れに乗るいかだ。
今度はさらに強い激流だった。
これが本当の激流!
もはや、いかだを制御できるところではなかった。
「すごいな。洗濯機の中に放り込まれたように、水の動きがカオスだ!」
俺はすごいスピードで、もはや漕ぐ力が追いつかないくらいに、激流の流れに身を任せている状態だった。
「リューイチ、その洗濯何とかは、何なのか分からないが、これで死んだら、そなたを恨むぞ!」
と、コマドリ。
「これはもう、死にます。お母さん、お父さん、さようなら!」
イーゼルも死を覚悟しているのか?
「死ぬ!もうダメ!次の滝で、完全に飲まれるわ。というか、この水しぶきでひっくり返るわ!ユニオンの神様、リューイチにギロチン刑を!何ならわたしが死なせます!私の手でとどめを刺せてェ!!」
こっちもまだ頑張ってるというのに、死に際を意識して、妙なことを口走るのはやめて頂きたいぞ、お姫さん!
やがて、大きな滝が迫ってきた。
ああ、あれにはいかだが耐えられんな‥‥‥。
たぶんだが‥‥‥。
それでもいかだは、滝に向かって猛スピードで流れて行く。
神様仏様、女神ルシフィーネ、ヤケクソだが、どうか俺たちを救え!
食あたりもだいぶおさまってきましたので、もう普通に動くことが出来ます。健康っていいな!!




