第四百十九章・アルカディア川
レニー・ハーリン監督の映画「ザ・ヘラクレス」DVDで観ました。これ、お金かけているんだろうか?
第四百十九章・アルカディア川
俺は川にいかだを浮かべた。
思ったよりいかだは、しっかりしてるようだ。
これでもDIYは得意なのかもしれない。
さて、乗るか。
俺が竿でいかだを支えている間に、イーゼル、コマドリ、ルルチェの順に乗ってきた。
「リューイチ、信じてますよ?」
イーゼルは杖をいかだに置いて、四つん這いで揺れるいかだに腰を下ろした。
コマドリも俺と一緒にオールになりそうな木を持ってきて、川底に刺した。
ルルチェはバランスを取りながら、いかだの揺れに慣れようとしていた。
「本当にこれで急流を渡り切れるんですか?」
イーゼルはマジでビビっているようだった。
彼女は本来、こういうのは苦手な性格だ。
つまり、遊園地のジェットコースターには乗れないタイプなのだろう。
そこは俺も同じだが、ここは賭けだ。
「では出発します。振り落とされないようにしっかり乗ってくださいね。窓から足や尻を出さないよう、ご注意ください」
俺の適当なアナウンス。
「その言い方に悪意を感じるぞ、リューイチ」
コマドリが木のオールを川底から抜いて、言った。
「出発の前に言うことか?」
「まぁ、緊張すんなってことだよ」
俺は竿を漕いで言う。
「リューイチ、遺書は書いたから、思う存分漕ぎなさい」
ルルチェは書簡とサインの書かれた紙をポケットに入れた。
マジで俺、ルルチェに何かあったらギロチン刑決定なの?
ダ・ガールに戻れないじゃん。
てか、そんなに信用無いの、俺?
「しっかり掴まってろよ。これから川の流れに沿って漕ぐからな!」
俺は竿を動かした。
いかだはスイスイと、流れに乗って、進んで行く。
「アルカディア川攻略作戦だ!」
川のあちこちにある岩場にぶつかりながらも、いかだはどんどんスピードを上げて流れて行く。
「今はそんなに流れが急じゃありませんね」
イーゼルは不安ながらも、今の状況を把握する。
確かにこの急流は、まだ穏やかな方だろう。
「ここから先が問題なのだろう?」
コマドリが木を岩場に押し付けて、ぶつかるのを出来るだけ阻止していた。
コマドリの予想は的中した。
流れが変わる。
複数の川が合流しているようだ。
これでは当然、流れは速くなる。
それだけ負荷がかかるからだ。
次第にいかだは流れに従って、バウンドし始めた。
それも二回や三回じゃない。
何度もだ。
そのたびに流れる勢いが強くなっていく。
漕ぐ力が間に合わないようだった。
「掴まれ!先が段差になってる!」
コマドリが叫ぶ。
いかだはストンと、下がってるところに落ちた。
絶叫マシーンも真っ青なくらいの衝撃が伝わった。
これはマズい。
流れが急になった。
さらに、その先にあるのは、小さな滝だった。
また落ちる!
いかだは流れに逆らうことも出来ずに、滝に向かってどんどん進んで行った。
体調もだんだん元通りになってきているので、明日には元気になっていそうです。ご心配おかけしました。




