第四百十五章・コマドリの新草履
体調は昨日よりだいぶ良いです。地道に治していきます。
第四百十五章・コマドリの新草履
翌日の朝、俺たちは出発の準備をした。
民家を出ると、村人たちが出迎えてくれる。
「冒険者の皆さん、オロチの件はありがとうございました」
「あなたたちは素晴らしいです」
「次の旅もご無事で!」
などなど。
「いや、別にそんなに尊敬されるようなことはしてないよ」
俺は照れて、かしこまってしまった。
村長が、俺たちの前に来た。
「遅れて済まない。草履のことを忘れていた」
え、忘れてたの?
こっちは楽しみにしていたのに‥‥‥。
「これがその、最強の草履だ」
村長は草履を俺に手渡してきた。
いや、これはコマドリが履くものだろ?
俺はその、ただの草履にしか見えないその物体を、コマドリに渡す。
ん?なんか若干重かったぞ?
ま、いいか。
「これがわたしの最強の草履か!」
コマドリのテンションが上がった。
自分の履いていたボロっちい草履を脱ぐと、新しい最強の草履を足に着けるコマドリ。
「なるほど。少し重みがあるが、これは本当に良い草履だ」
良い草履はともかく、どこが最強なのか説明できる奴はいないのか?
「これは草履の裏に、鉄板を入れてあるんだなぁ」
と、コマドリ。
ん?鉄板?
「鉄板というより、鋼だな」
「は、鋼?」
俺は驚愕した。
そんなものが張り付けてあるのか?
村長は追加して言った。
「ただの鋼というわけではない。それは玉鋼だ」
そんなの精製する技術があるのか?
玉鋼とは、独自の精製法で作られた鋼よりすごいものだ。
日本でしか作れないという話だ。
このムサシのクニで作られたものなのか。
「でも、それがあるのと無いのでは、どれだけ違うんだ?」
俺は首をかしげる。
「リューイチ、この草履を履いて蹴りを出せば、敵を撲殺できるんだぞ!本当に本当に最強だ!」
「‥‥‥」
コマドリの主張に誤りは無いようだ。
でもやっぱ、その草履は鈍器じゃねーか!
蹴りで撲殺できる草履で戦ったりしたら、相手が人間なら普通に殺しちまうだろ!
てか、俺はまた、おもり付きの草履で、修行になるから履くモンだと思っていたぞ。
物騒な草履に間違いは無かったようだ。
予想通りというか、ヒネリが無い。
「リューイチ、リューイチ、この草履を脱いで、手に持てば、そのままトンファーみたいな感じで使えるぞ!すごいなコレ」
どういう発想だよ?
草履一つでどんどん物騒な話になってくるな。
しかも玉鋼で出来ているから、モーニングスター級の威力だろう。
最強の草履というだけはある。
そんなヤバい物、どっかに捨てて行くか?
でもコマドリの草履だしなぁ。
「コマドリ、使う時は塩梅を付けるんだぞ?」
「分かってる。言ってみただけだ」
ようやくコマドリのテンションも、元に戻ってきたようだ。
俺たちは村民に見送られながら、村を出た。
山を越えるために、獣道を歩く。
しばらくして、コマドリが「最強の草履の重みで、足が鍛えられる」と言った。
やっぱりそういう機能付きかよ。
お約束を外さねーなと、俺は思った。
忍者の鍛え方にはこういうやり方もあるのだと思っておこう。
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