第四百十四章・第一回、オロチとの共存記念祭り
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第四百十四章・第一回、オロチとの共存記念祭り
イーゼルも戻ってきたことだし、俺たちはムサシのクニで一泊することにした。
その夜、村人たちはオロチの問題が解決したことに喜び、どんちゃん騒ぎの祭りを行った。
その名も「第一回、オロチとの共存記念祭り」。
おいおい、何か現金な奴らだな。
オロチに怯えて、自分たちで解決した問題でもないというのに。
しかもそのネーミングはどうなんだ?
ま、別にいいけどね。
祭りに乗じて俺たちも酒をあおった。
独特の蒸留酒だ。
旨味がある味とフレバーな匂いに、満足する俺とコマドリとルルチェ。
イーゼルは果実を絞ったフルーツ汁百パーセントのジュースを少しずつ飲んでいた。
「イーゼル、良かったな。ちゃんと戻って来ることが出来て」
俺はイーゼルの横に来て、座る。
どっこいしょ、と。
彼女はまた、服が魔女の格好に戻っていた。村に預けていたのを返してもらったのだ。
村民の服は臭くて汚れていて、シミだらけでボロボロだったので、後で風呂に入れてもらって、魔女の服を再び纏ったのだ。
「イーゼル、一度ヤマタノオロチに連れて行かれた時、怖くなかったか?」
「怖かったに決まってます」
イーゼルは、心中察せよと言わんばかりに、頬を膨らませながら答えた。
「すまん」
「謝ってもらおうなんて思ってません」
「じゃあ、サンキュな!」
「囮になったことをですか?」
「ああ。酷なことをやらせたかもって今更ながらに思ってな」
「わたしはもう、レベル‥‥‥、いくつでしたっけ?」
そういえば、ステータスカードは長らく見ていなかったような気がする。
「いくつでもいい。それより、俺はお前を信じたんだ。これは本当だよ」
「分かってます。わたしも事情を知ったのは、連れて行かれた後でしたし。それにヤマタノオロチさんは良い人でしたから」
「人じゃないと思うが‥‥‥」
まぁいいや。
「今日は祭りだ。飲んで食って歌えよ?」
「そんなバカ騒ぎは出来ないです」
酒が入ったら、からんで来るだろ?
「それよりも、コマドリは最強の草履とかいう怪しげな物はもらったんでしょうか?」
「あ、そういや忘れてた」
怪しげって‥‥‥。
「何ですかね、最強の草履って?」
「知らん!」
俺は酒を飲み干した。
「コマドリと村長のところに行かなくちゃな」
「行ってきていいですよ。でも、明日の方が良いと思います」
「ああ、そうだな」
俺は酒のおかわりをもらうために、イーゼルの元から腰を上げて、酒を注ぎに行った。
どんちゃん騒ぎは楽しくていい。
何もかも嫌なことは忘れてしまいそうだからだ。
俺たちはまだ若いんだ。
これからだよ、これから!
酒は美味い。
明日にはここも出発だ。
オロチの山を越えて、隣のクニへ向かう予定だ。
そのためにも、とっとと最強の草履とやらを、もらわねばな。
どんな鈍器だろうが、いや、そんな固そうな草履は期待しちゃいないが、コマドリだけ犬のフン事件の時、新しい履物を買えなかったんだ。
コマドリの分の草履はここで手に入れてやるよ。
そう思いながらも、俺はどんどん酒をあおっていった。
読者の皆様に幸あれ!!




