第四百十二章・それぞれの想い
昨日から激しい腹痛に襲われた病気が、ウィルス性の腸炎のようでした。治るまで3~5日かかるそうです。皆様には大変ご迷惑をおかけすると思いますので、本当に申し訳ございません。
第四百十二章・それぞれの想い
ヤマタノオロチの答えより先に、イーゼルが話し始めた。
「リューイチ、わたしは数日くらいなら構いませんよ?」
「え?」
「その間に、オロチのことを村の人たちに説明してください。そうすれば分かってもらえますよ」
「ムサシ村の人に、その女戀を任せるのか?」
「そうです。オロチが危険な存在だと思われていたら、話は進みません。一度戻って、きちんと説明してもらえれば、危険ではないと分かってもらえると思います」
「そうは言ってもなぁ」
「リューイチたちが無事に戻れば、説明にもなります」
「なるほどな」
「だから、お願いします、リューイチ」
イーゼルはオロチの巣から出なかった。
本気なのだろう。
イーゼルの考えで、万事良しになれば、万歳なのだけれどな。
「分かった。そうするよ」
俺は引き返すことにした。
コマドリとルルチェも同意した。
とりあえず、それで手を打つか。
「オロチよ、そうするけど、いいか?」
ヤマタノオロチは、俺の言葉に反応した。
「ここが君たちにバレたんだ。討伐しに来るわけではないだろうな?」
「するなら、もうやってる。俺はレベル無限大なんだぞ?」
「無限大だと?」
「ああ。ヘタレに見えるとか言うなよ?」
「そう言おうと思っていたよ」
「やっぱり討伐して、証明してやろうか?このヘビ野郎!」
「討伐が趣味なら、隣の山に毒蛇と呼ばれる山賊団がいるぞ」
「山賊団?そんなのがいるのか?」
「それだけじゃない。その山のさらに隣にある、ヤマト村には、二匹のオーガーたちが支配をしているのだ。強敵だぞ?」
「何でそんなに情報を教えてくれるんだ?」
「討伐が好きなのだろうと思ってな」
どう思われてるんだ、俺たちは?
そんなに戦闘狂に見えるのかよ。
討伐好きじゃねーよ!
もっと別のやり方で解決したいよ。
「別に討伐マニアじゃないよ?てか、そんなマニアっているのか?討伐の資格取得でもあるのかよ?」
「ならいい。村人に説明に行ってくれ。その間、この娘はここにいてもらうからな」
「イーゼルが安全ならそれでいいよ」
俺はイーゼルに向かって『安心して待ってろ』という合図を送って、理解してもらった。
さすがはイーゼル。
意思疎通は完璧だ!
そして山を下りる俺たち。
「リューイチ、この島には危険がいっぱいのようだぞ」
コマドリが言った。
「少なくとも、オロチの奴は大丈夫だよ。あとの奴らは知らんが‥‥‥」
「それら全部に関わるのか?」
「冒険になればな。食いつくだろ?」
「冒険ねぇ‥‥‥」
コマドリはフッと笑みを見せた。
「ルルチェはどうだ?」
「わたし?わたしは国が良くなればいいと思ってるわ」
「冒険者というより、姫だな」
「そうね」
「いや、いずれはダ・ガールのキングになる予定だろ?」
「それもそうね。クイーンじゃなくてキングね!」
クイーンと聞けば、フレディ・マー〇ュリーを思い出すなぁ。
キングは日本語では『王様』だ。
『王様』って昔、日本語訳で洋楽を歌ってたらしいシンガーで、そう言う人がいたらしいな。
あ、このネタ分かる人、ガチで中年だからな。
俺は以前、ネットで知ったんだが。
「賢者でキングさんよ。ムサシのクニのまつりごとはどう見る?」
「ヤマタノオロチに生け贄を差し出したのは、政治的な判断よ。それが間違っていてもね」
「ほう」
「あれは村の人の総意で決めたことだから」
民主主義的な判断ということか。
ホントにルルチェはこの世界で、国民国家を目指しているんだな。
しかも、この中世のファンタジー異世界でとは‥‥‥。
何だかんだで、イーゼルもコマドリも、ルルチェも自立した女性たちなんだ。
俺はもう、この三人にはホントに恐れ入ったよ。
俺の方が、まだまだ考え無しってことかな?
うん、そう思うことにした。
俺は甘ちゃんだ。
俺も成長せねば!
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