第四百十章・再びオロチの山へ!
この辺のエピソードは、昔描いた漫画を参考に書いてます。
第四百十章・再びオロチの山へ!
翌日、イーゼルの安全を確認するために、俺たちはオロチの山に登ることにした。
巨大な獣道が道しるべとなって、山の奥へと続いている。
「さぁ、登るか」
俺はコマドリとルルチェを連れて、山を登り始める。
「リューイチ、完全武装のわたしたちが来たら、オロチも警戒するんじゃないの?」
ルルチェが、正論に近いことを言った。
「まぁ、そうだな」
でも、武器を置いていくわけにはいかない。
と、言っても武器を持ってるのはコマドリくらいのものだが。
「戦闘にはならないように努めるだけさ」
「そういう楽観的な気持ちはどこから来るの?バカなの?」
それは言い過ぎ!
「ヤマタノオロチがそんなに邪悪な存在には見えなかったからさ」
「どうして?」
ルルチェは訊いてくる。
「村を襲うと本当に言われたわけじゃないんだと、俺は思ったんだ」
「ただ、娘を要求してきただけってこと?」
「その通り」
「なら、どうしてイーゼルは、いえ、娘は連れて行かれたの?」
「それは分からんが、食う気ならその場で食うだろう?」
「いいえ、持ち帰ってから、火であぶって、炒めて、塩をかけて、美味しくしてから食べる気だったのかもよ?」
いきなりグロいこと言うなぁ、ルルチェ‥‥‥。
人間の料理の仕方を、懇切丁寧に語ってるんじゃねーよ。
絶対に想像したくないことナンバーワンみたいなのを、普通に言いやがって!
注文の多い料理店かよ?
「オロチは九本も首がある奴だぞ?」
「ハ本ね」
冷静に訂正するルルチェ。
「ああ、そうだったか。それでも巨体だ。娘をさらうのには、何か別の理由があるはずだ」
「それは何?」
「分からんが‥‥‥」
「曖昧ね」
「俺たちの想像を超えた理由があると思うんだ」
「それは期待できるわね。その理由を考えろってことね」
「いや、考えなくてもいい。とにかく山奥へ行くことだな。そこに答えはある」
と、言っても、山の上までは、けっこう距離があった。
最強の草履の入手のために、俺たちがこんなに労力を使うのは、何でか割に合わない気がした。
大体、最強の草履って何だ?
どんな草履だよ?
その草履で殴ったら、魔王でも殺せるというのか?
単純に武器になるな、その草履。
そんな鈍器なら、ホームセンターにでも行って、トンカチ買ってきた方がマシだ。
いや、トンカチは武器じゃないけどな。
映画『イコ〇イザー』じゃないんだからな。
それはそうと、俺たちはどんどん山の奥へと足を踏み入れて行った。
イーゼルは今頃、何をしているのかなぁ?
ま、どうせすぐに分かるだろう。
オロチと一緒ならな。
読者の皆様に幸あれ!!




