第四十章・魔族って誇り高いんじゃないのか?
将来の夢はデザイナーとか漫画家とか言ってたのが、今はこうして小説を書いている自分が不思議です。読者様のおかげかもしれないです。感謝!!
第四十章・魔族って誇り高いんじゃないのか?
気球はカルデッド島の原っぱに下りていった。さて、これはもう戻れなくなる可能性もあるな。脱出する方法までは考えていなかった。
イーゼルが島のあたりを見回す。
「リューイチ、この島の結界は分厚いですよ」
マジか?
「お前、そういうことも分かるんだっけか?」
「そうですね。レベルが上がったからでしょう」
「ではまず、どこへ行く?」
俺はリルエに訊いた。
「普通にしてれば大丈夫。この島には元々人間と獣人族が共存していたのよ」
「でも俺たちは見るからに怪しいだろ?」
「そうだね」
しばらく島内を歩いた。けっこう大きな島なのだな。俺は最初、沖縄ぐらいあるのかと思った。でも沖縄よりは全然大きくない。小島とは言わないが。
ここの連中に沖縄と言っても通じないだろうが‥‥‥。
島には町があるが、獣人族たちやここに住む人間たちとともに、武器を持った甲冑の兵隊たちがウロウロしていた。それに魔族と思われる危険な目をした奴らもいた。
「あのまがまがしい連中が魔族だな?」
「そうだよ。危険そうだろ?」
「ああ。もっと奥にも行ってみるか」
さらに奥に行くと、田園地帯に出た。
ほう、意外とここはのどかだな。畑もあるし、牧場もある。牧歌的な風景だ。
「この辺は?」
「ここらへんであたいは育ったんだ」
「ああ。何だか分かる気がする」
「牛が主食だったんだ。よく牛の肉を食べてた。町の人たちはあんまり食べないが獣人族は本来、肉食だからな」
牛を主食に食べるとは贅沢な奴だ。いつも食事はステーキか?この土地ではそれが普通なんだな。
「丘の上のアレは何だ?」
俺はリルエに訊いた。
「ああ、宮殿だ」
「宮殿?」
丘の上にあったのは、大理石のような素材で出来た大きな宮殿だった。
「あそこに魔族のベアトリアース・フェルベという名の魔族の大将がいて、さらに元締めのリタ・エール・ド・ドーゴンというリタ・エール・ド・エルデの兄が牛耳っているんだ」
「リタ・エール・ド・エルデってやつは、俺がダ・ガールのコロシアムで戦った、というか、一方的に俺がぶっ飛ばした、あのヘタレな騎士のことか」
「リタ・エール・ド・エルデをあんたが倒したのか?あの最強の戦士と謳われたあの男を?」
「まあな。全然話にならなかったよ。一撃で倒してやった」
「リューイチって実はすごい奴なのか?見た目はへぼな冒険者って感じにしか見えないが‥‥‥」
‥‥‥‥‥。見た目はほっとけ。
「まぁ、それはよく言われるよ。でも、君の友達のゴーレムを倒したのは誰だっけ?」
「あ……、そうだね。でもゴーレムはあたいの大事な友達だ。元魔王の側近だったこともあるやつなんだ」
「そうなのか?あのゴーレムが‥‥‥」
「あいつは優しすぎて、つい人間を助けたことがあったんだ。それで罪に問われて、魔王から追放されたんだよ」
「そんな過去があったのか」
「ああ。だから、根はいい奴なんだ。あんたたちがあたいのアジトに来たのをあいつが攻撃したのも、全部あたいのことを守ってくれようとしてくれただけなんだよ」
「あー、それはそうだろうな。あの時の状況を思い出したら、そうだと思うよ」
「この島で人間の独裁に手を貸してるベアトリアースも、実は元魔王の幹部クラスだと聞いた。小さくて、あたいより子供みたいな奴らしいんだけど、黒魔術の術者らしいんだ。ヤバい相手だよ。そんな奴が人間の傘下にいるなんて、時代は変わったものね」
「そいつを討伐するのか‥‥‥。それは骨が折れそうだな」
「でも、ベアトリアースを倒さないと、この島に平和は訪れない」
「分かったよ。じゃあ、宮殿に行ってみるか。もし本当にヤバそうだったらマズいけどな」
「ああ。行くよ。宮殿へ!」
俺とイーゼルとリルエは、宮殿に近づくために丘の方へ向かった。
アクセス数よりも大事なものは、この小説を読んでくれる皆様のおかげです!!読者様に幸あれ!!