第四百章・悪魔のような公園
今回で四百章。よく続いたなと自分でも感心しました。
第四百章・悪魔のような公園
俺たちはサーカスの団員と別れてから、公園内を出ようとした。
そこへルルチェの悲鳴がこだました。
何だ、どうした?
ルルチェは犬のフンを踏んでしまっていたようだ。
脅かすなよ。
「何でこんなところに犬の○○があるのよ!」
そこはフンな!
「あ~あ、えんがちょだな、王族の姫君」
「えんがちょ言わないで!それと、こんな場合に王族とかって言うの、リューイチ?」
「だってなぁ‥‥‥」
俺はルルチェから離れた。
イーゼルもコマドリも、匂いに反応して、ルルチェから距離を取る。
「ちょっと、皆どこ行くのよ?」
ルルチェは慌てる。
「だってなぁ‥‥‥」
と、コマドリ。
「そうですねぇ」
イーゼルも自分のトラウマがよみがえったかのように、後ずさった。
ルルチェは地団駄を踏んだ。
「誰よ、こんなところに○○させて!見つけたらギロチン刑よ!」
犬のフンでギロチン刑かよ?
えげつねぇな‥‥‥。
てか、姫のセリフに「フン」はNGなのかよ。
○○扱いなのかよ。
「ギロチン刑はともかく、靴屋に行くぞ」
俺はルルチェの靴を新品に変えてやった。
まったく、ちゃんと飼い犬のフンの始末はしておけよな、飼い主よ。
俺たちは宿へと戻った。
コマドリが俺に、「自分も草履を新調したい」と言ってきた。
「草履って売ってるのか?」
「さぁ?わたしの故郷の山では、皆、草履だったからな」
昔の日本だな、そりゃ。
和洋折衷な世界だ、ここは。
「でも、犬のフンを踏んだワケじゃないだろ、お前?」
「犬のフンを踏んだら、新しい草履を買ってくれるのか?」
「いや、あれは事故だから」
「事故ならいいのか?」
「故意の事故ならダメだからな」
「そういうことはしない」
「じゃあ、諦めろ、コマドリ」
「つれないな、リューイチ」
「俺はいつもこうだぞ?」
「そうか。まぁ、そうかもな」
コマドリは部屋へと戻っていった。
翌日、宿を出た俺たちは、公園を通ることはなかった。
悪魔のような公園だ。
サーカス団も、昨日のうちに引き上げていた。
犬のフンくらいで大騒ぎできるということは、街が平和な証拠だ。
人が死んだわけじゃない。
俺は歌でも歌いたくなるくらいのすがすがしい気分で、街を出た。
まぁ、コマドリは犬のフン事故は無く、逆にへこんでいたが。
草履くらいでなぜそこまでへこむ?
仕方ない。
次の機会には草履ぐらい手に入れてやろう。
そのくらいはしてやってもいいからな。
てことで、出発!
もうちょっとでこの作品も終わるかもしれないです。最終章へ突入していくことになります。ご感想やレビューも待っています!!