第三百九十四章・アルヴァーニャ・オルテガの決断
小説のネタも尽きてきました‥‥‥。まだ終わりませんが、終わりは何となく近づいているような‥‥‥。
第三百九十四章・アルヴァーニャ・オルテガの決断
「ば、化け物か、お前?」
アルヴァーニャ・オルテガは俺にそう訊いてきた。
ロシアンルーレットで、弾丸を跳ね返した俺にビビった相手だ。
無理はないだろう。
「ただの冒険者だよ。悪かったな、時代遅れの流行遅れのヘタレのコスプレ野郎で」
「そこまでは言ってない」
そこは否定するアルヴァーニャ・オルテガ。
「だが、銃弾をモロに受けても死んでないなんて、これはもう、わたしの負けなんじゃないか?」
理解が早くてとてもよろしい。
でも銃はもう、机にしまいな。
「じゃあ、このカジノ畑は、これからどうする?」
「うむ、ちゃんとした申請を提出してから営業をするよ。こちらの負けだからな」
俺はルルチェの方を見た。
「申請されたカジノは合法なんだろ、ルルチェ?」
「え?ええ。でもそうしたら、カジノの規模は間違いなく小さくなるでしょうね」
俺の銃弾を受けて、死んでない俺に、ちょっと引き気味のルルチェは、声を震わせて言った。
そんなにビビッているのか。
今後は控えよう。
俺のチートは銃弾をも通さないのだ。
「さて、それじゃあ、俺たちはこれからどうする?」
俺は皆に言った。
しかもすまし顔で。
スライは俺に向き直った。
「あなたと戦わないでよかった。そんな銃弾を跳ね返すような男と戦ってたら、負けたと、兄弟。いや、冒険者さん」
なんか、急にかしこまられてしまった。
「いや、兄弟でいいよ。そんなに小さくならないでくれよ、スライ」
「ああ、分かった。兄弟‥‥‥さん」
さん付けするんだ、それでも。
俺はヤクザか?
「どうせダ・ガールに行くつもりなんだろ、兄弟」
「そ、そうだな」
「ここにはダ・ガールの姫もいる。紹介状を書いてもらったらどうだ?」
俺はルルチェの方を見た。
「そうね。わたしのサインで紹介状を書いてもいいわ」
スライもマーガレット・ミシェルも、ルルチェの方を見て、目を輝かせた。
「本当にいいのか?」
「わたしは構わないわ。でも、あなたたちもアルヴァーニャ・オルテガとの別離をきちんとしてね?」
「はい、ダ・ガールの姫君!」
態度変えたぞ。
やはり王族というのは気品があって、偉いものなのか?
まぁ、ルルチェは賢者であると同時に姫でもあるし。
いや、姫であると同時に賢者の間違いだっけ?
ルルチェ、お前は結局どっちだ?
まぁいい。
「だ、そうだが、アルヴァーニャ・オルテガ、これはどうするんだ?」
「わたしはマーガレットのことを親のように育ててきたのだ。確かに暗殺者のノウハウは教えた。しかしそれは、わたしの身の回りの警護のためだ。だから失いたくはない」
「アルヴァーニャ様‥‥‥」
マーガレットは身をすくめた。
「マーガレット、お前はもう、ここにいたくはないのか?」
「そんなことは無いです。でも、わたしは新しい世界に生きてみたいのです」
キッパリと言うマーガレット・ミシェル。
「そうか。お前も自分の生き方を選ぶか‥‥‥」
「申し訳ございません。恩は忘れません。だから‥‥‥」
「その騎士崩れと一緒になりたいのか」
「はい。どうか許してください!」
スライもマーガレットの横に立ち、アルヴァーニャ・オルテガに言う。
「俺からもお願いします。俺たちはこれから二人で一緒に、生きていこうと思ってるんです」
アルヴァーニャ・オルテガは腕を組み、考えた。
しばらくして、頭を掻きむしり、さっと腕を自由にさせて、言った。
「分かった!お前がここを出たいのであれば、好きにするがいい!お前の人生だ。それをお前に返す」
スライとマーガレット・ミシェルはそれを聞いて、手と手をパンと合わせた。
良かったな、二人とも!
読んでくれる人たちに楽しんでいただけたらと思って書いています。