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第三十八章・盗賊の獣人族リルエ。

こんにちは、読者様。皆さんのおかげでこうして小説を書かせてもらってます。

第三十八章・盗賊の獣人族リルエ。



 もうちょっとでゴーレムを倒せるとこだったのに、邪魔が入った。

猫耳のこの子は誰だ?十三歳くらいに見えるが。人間ではなさそうだ。


「あたいはネコ科の獣人族のリルエ。職業は盗賊だよ」

「盗賊か‥‥‥」

 ゴーレムの上で話をするのも何なので、俺たちと、そのリルエは倒れたまま起き上がれないでいるゴーレムの横で、話をすることにした。この子は伏兵ではないらしい。

 俺たちと戦う気もないらしい。

 うん、大丈夫だ。


さて。


「あんたたちがここに来たのは何が目的だ?」

「俺たちは、ダ・ガール城から盗まれたモノを探しに来ただけだよ」

「そうか。盗んだものはたくさんあり過ぎて、それが何なのかは知らないが、ダ・ガール城から盗んだことは一度だけだがある。それを見つけに来ただけなのか?」

「ああ。そうだよ?」

「あたいたちを討伐に来たんじゃないんだろうな?」

「そこまでの下命はなかったな」

 俺はルルチェの方を見た。

 うなずくルルチェ。

「それで、俺たちは証印の型番を探してここまで来たんだが、君が持ってるのか?」

「たぶん‥‥‥」

 そう言うと、リルエは広間の奥の部屋から証印の型番を持ってきた。

「これだろ?盗んだことは覚えているよ。一度だけだったからね、ダ・ガール城に行ったのは」

「それじゃあ、返してくれ。それを売っぱらっちまられたら最悪、もう取り戻せなかったかもしれなかったな」

「これを欲してるってことは、あんたら王族の者か?」

「まぁ、ルルチェはそうだが」

「ルルチェ‥‥‥。確かダ・ガールの?」

「そう、彼女がそうだ」

 俺はルルチェを指さした。

「そうか。でもあたいも生きるために、盗賊の仕事はやめられなかったんだ。ダ・ガールは貧富の差が激しくて、あたいのような盗賊はたくさんいる。あたいは単独で盗るタイプの盗賊なのだけれど」

「そんなに貧富の差が激しいのか?」

「ああ、その通りだ。もう少しであたいも体売っているところだったよ。さもなけりゃ、結局犯罪で食うしかなかったってことだ。それでも悪いとは思っていたよ。でもなぁ・・・・・・」

「そうだったか」

 

 ルルチェがリルエのところへ来る。

「ごめんなさいね、わたしの国でそんなことになっていたなんて、全然知らなくて」

「あんたが姫なんだね?」

「そう。さっき聞いた通りよ。わたしはダ・ガール・フォー・ルルチェ」

「ダ・ガールか」

「ええ。でも賢者でもあるのだけれど」

「それでもダ・ガールの王族ってことだね?」

「そうよ。父が国の貧富の差を放っておいてたなんて、知らなかった」

「あたいはまだ良い方だよ。あたいの父さん母さんは‥‥‥」

「あなたのご両親?」

「ああ。ここから東へ行けば海に出る。その先のカルデッド島にあたいたちは住んでいたのだけれど、そこは突然リタ・エールの軍隊がやって来て、島ごと占領されてしまったんだ。そこで生まれたあたいは父さん母さんに島の外へ逃がしてもらって、今はここにいるんだけど、二人は、まだその島で占領軍の奴隷みたいな扱いをされて生きてるみたいなんだよ」

「リタ・エールか‥‥‥」

 またもや、リタ・エールの名前が出てきたようだ。

「おい、ルルチェ。まさかとは思うけど、行ったりしないよな、その島に?」

 

 少しの沈黙の後、ルルチェが「行きましょう!そしてリルエの両親を助けるために、その島を奪回するのよ」と、言い出した。


やっぱりな。


「これからってのはナシな。相手は軍隊だぞ?ダ・ガールの軍隊に任せた方がいい。俺たちは管轄外だ。そうだろ?」

「リューイチ、あなたはリタ・エール軍が攻めてきた時、あんなに相手を圧倒してたじゃない。その力があれば敵が軍隊だろうと、どうってことはないでしょう?」

「それは‥‥‥」

「わたしはあなたをバカにしてたけど、本当は頼れる男の人だって、あの時思ったのよ。あなたはすごい。だから‥‥‥」


しかし人間同士の戦いはもうけっこうウンザリしている。血なまぐさい殺し合いはもうたくさんだった。人間同士での戦争はもう避けたい。


そんな冒険はやらない。やりたくないのだ。

ヘタレと呼ばれようが、俺は嫌だった。


 だが、俺たちで救わなければ、誰がそのカルデッドとかいう島を平和にできる?

俺たちでその島を救うことが出来るのか?


「よし、分かった!俺とイーゼルとで島を見てこよう。それでダメそうなら諦める。それでいいか?」

「最初からダメとかは言わないでよ?」

「分かってるよ。俺も人の子だ。今は違うかもしれないが、俺も行動したい。逃げに走ったら、また引きこもるようになるかもしれないしな!」


 そう。引きこもるのは逃げだ。逃げてもいい。隠れてもいい。それが正解な時もある。だが、今の俺は違う。チートだ。力がある。誰かに頼られるほどの力を持っている。

 そんな俺が逃げに走るのは、違うと思う。


今の俺は引きこもりから脱出するチャンスなのだ。

だから命を懸けてみる。チートなめんな!


「よし、じゃあ偵察だ!行こう、イーゼル」

「は、はい!」

「お前が頼りだ。俺と同行してくれるよな?」

「え、ええ。そんな念を押されなくても大丈夫です」


と、突然壁に入ったヒビが音を立てて大きくなり、さらにそのせいで、天井のブロックが壊れた。


な、何だ?崩れる?!


マズい!ゴーレムとの戦闘でやっちまったんだ!!


 部屋が本当に崩れていく。


「ヤバいぞ、逃げろ!」

 俺は叫んだが、もう遅かった。ガラガラと音を立てながら、広間は崩れていった。

 

  その時、イーゼルが魔導書を開いて呪文を唱える。

 

 

 何をする気だ、イーゼル?!



一日のアクセス数をたくさんいただいて、とても嬉しいです。これからも書き続けます。

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