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第三百八十六章・この世に娼館は必要?

犬の散歩に行ってきます。更新時間がズレて申し訳ありません。

第三百八十六章・この世に娼館は必要?



 俺はかつて、自分の友人たちが、年齢を偽って風俗に行ったという話を聞いたことがある。俺は行ったことねぇけどな。

風俗はそんなに大切なのか?


 確かに男には吐き出さなければならない生き物だ。

女子は分かってくれるのに時間が掛かろうが、俺でさえ、夜中にモソモソしているのが現状だ。

俺の、娼館への理屈は、ただの屁理屈なのかもしれない。

まぁ、ドーテイの理屈かもしれないが。

悪かったな、こんな俺でもドーテイであるんだから、悔しくないぞ!


「で、あんたは娼館を続けるのか?」

「ああ」

 キャロルは平然と言った。

「これで儲けなきゃ、わたしも終わりだ」

「そうなのか?」

「不幸自慢をするわけじゃないが、わたしもカツカツでな」

「その代償を、拉致した娘たちを使って、補っているのか?」

「それはそうかもな。でも、どこの娼館でも、同じことをしているぞ。わたしが娼婦だった時にも同じようなことはあった。何を隠そう、このわたしも、以前は連れてこられたんだ」


 以前は娼婦だと言ってたからな。


「じゃあ、自分の今の行いが間違っているということも、実はちゃんと分かってるんじゃないのか?」

「そうだな。それでもわたしは、ここを守らねばならない。これがわたしの戦いであり、生き方なのだ」

「そうか。じゃあ、ますますここを続けることには反対だな」

「娼館を失くせば、性犯罪は確実に増える。それでもか?」

「誘拐した娘だけでも解放すれば、それで手を打とう」

「分かった。お前の勝ちだ」

 キャロルはため息をついて、言った。

「これで売り上げは落ちるな」


 気にしてるのは、そこかよ?


 娼館の存在理由なんて、考えたことなかったな、そういえば。


 俺はすぐに悪いことは否定で始まっていたような気がする。

もちろん、悪いことは絶対にダメだ。

清く正しく生きることが、俺のモットーだったかもしれない。

でも、ズルく汚く生きている人間を、どう悪く言える?

それを俺は思った。


 俺はプロの売春婦たちには目もくれず、それ以外の無理矢理に連れてこられた娘たちだけを連れて、『サキュパス』を出た。


 大きな街で保護してもらおう。


 これが世間に知れたら、『サキュパス』は終わりだな。

そう思った。

人身売買をしていたんだ。

何らかの罰は覚悟の上だろう。

キャロルにだって、それは分かってるだろう。


 それにしても、キャロルのような人生を歩むような人は、今後は出ないで欲しいものだが、それはただの理想だろう。

俺も甘いな。

苦労を知らないから、俺はダメなんだ。

他人の苦労と折り合いがつければ、それでいいのだが、そうも言ってられないのが、自分のダメなところなのだ。


 俺は仲間たちと合流した。

「どうでした、リューイチ?」

 イーゼルが訊いてくる。

「いや、話は付いたよ。まぁ、いろいろ話したけどな」

「リューイチのヘタレぶりが、功を奏したのでしょう?」

「そんな綺麗なもんじゃないよ」

「そうなんですか?リューイチのようなヘタレが、時に良い方へ行くこともあると思うんです」

「だといいけどな」

 イーゼルはフッと笑った。


 この笑顔に、俺は救われるな。


 イーゼルやルルチェ、コマドリはいい娘だ。

皆、いつかは幸せになれ。

俺がその土台になってやるから。



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