第三百八十二章・キャロライン・リパーの悪事
夕方からポツポツと雨が降ってきました。犬の散歩があるのに‥‥‥。
第三百八十二章・キャロライン・リパーの悪事
俺たちは次の町にやって来た。ここはまるで、いかがわしい町にみえた。
「この町は?」
俺はルルチェに訊いた。
「知らない町よ。でも地図には載っている。ここはラムダールの町ね」
「町全体が暗くないか?」
「そうね。こんな町は初めてだわ」
ルルチェは町民に聞き込みを行った。
一人の老婆がいたので、声をかけてみる。
「こんにちは。わたしたち旅の者なんですが‥‥‥」
老婆はくすんだ顔をした。
「あんたたち、旅をしているのかい?こんなとこには来るんじゃないよ」
老婆は俺たちを追い返そうとする。
「ここでは若い女が狙われるんじゃ」
「狙われる?」
ルルチェが訊いた。
「何がどうして狙われるんです?」
老婆は少し黙ったあと、口を開いた。
「ここでは旅の女を誘拐しているのじゃ。それで人身売買の商品にされておる。この町の女から、今ではここに旅で来る女を物色してるんじゃ」
「なんてことを!」
ルルチェは驚いた。
人身売買とか、俺のいた世界でも、どこかの国では普通に行われている犯罪だぞ?
俺は、怒りを感じた。
ルルチェもだろう。
ここで放っておくルルチェではないのだ。
俺もそうだからな。
老婆は俺たちにいろいろ教えてくれた。
「この世界のあちこちから、旅をする女子を捕まえて、ポンカでクスリ漬けにしてから、売春を行っているのが現状じゃ。この町の娘もたくさん連れて行かれた」
そりゃ、穏やかではないな。
しかもポンカがらみかよ。
まったく、どこまでもどこまでも、この世界は‥‥‥。
「よし、その組織を潰そう!」
「そうね」
俺とルルチェの意見が一致。
息もピッタリだった。
「コマドリ、イーゼル、お前たちも手伝ってくれ!」
俺は二人にも同意を求める。
「分かった。それで連中はどこのどいつだ?」
「え?知らん」
老婆が言った。
「キャロライン・リパーという女が仕切っているのじゃ。本人はキャロルと名乗っておるそうじゃが」
「キャロル?」
「犯罪組織の長じゃ。町の娼館がアジトなのじゃが、誰も手出し出来ないのじゃ」
「ど、どうして?」
「カピーナ・テュルユークという、女犯三羽烏の一人が後ろ盾に付いておるからじゃ」
カピーナ・テュルユークだと?
「その女なら、俺たちが失脚させたぞ」
「え?な、何じゃと?」
あの女、人身売買にも手を出してやがったのか。
同情できないな、まったく。
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