第三百七十九章・クラットゥアセールの街
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第三百七十九章・クラットゥアセールの街
俺たち一行は、一番近いクラットゥアセールの街へと、足を運んだ。
ここでは春先の季節変わりのイベントが今、盛んになっていた。
もうじき冬が明ける。
そういう季節の変わり目には、どこの場所でも何らかのイベントが行われていたりするものだ。
「ここでルルチェの誕生日会を開いてもいいな」
俺はそう呟いた。
「アラ、そういうのは何か、恐縮よ」
と、ルルチェ。
「一国の姫が、自分の誕生日会に恐縮とか、何だかな~って感じだぜ」
「わたしは5年くらい大賢者様のところで修行していたんだから、誕生日なんて全然祝ってもらえなかったし、それを寂しいと思ったことはないわ」
そう言うが、たぶんやせ我慢だろう。
寂しいはずがない。
無理して言ってるに決まっている。
「それじゃあ、俺たちで大きな宿を借りて、そこで宴会するか!」
俺は声を張り上げて言う。
「ちょっとちょっと、それは本当に恐縮よ!」
ルルチェが俺に言った。
「なぁに、俺に任せろって。忘れられない誕生会にしてやるからよ」
「こういう時だけヘタレ返上みたいなマネはやめて!」
ヘタレ返上って何だ?
誕生日を命日にしてやろうかコラ?
「ま、そんなに大げさなことはしないよ。ケーキとシャンパンでお祝いって感じさ」
「そ、それぐらいならいいけど‥‥‥」
「お前は気張り過ぎなんだよ。ギロチン刑とか言ってる方のお前が、俺は好きだなぁ」
「なにその〝好き”って。告白?」
「いや、違うよ。お前の勘違い」
「普通に言われても、釈然としないけどね」
「俺は皆のことが大好きなんだ。皆、俺の大事な仲間さ」
「気取っちゃって、もう!」
「俺は本来、こういう性格なんだよ」
「ヘタレ顔も、ここまで開き直られると、滑稽だわ」
「滑稽とか言うな!」
「フフッ。でも、ありがと!」
素直にお礼を言うルルチェを見ると、姫じゃなく、普通の女子に見えるな。
へっ、ちゃんと可愛いじゃないか!
普通の女の子のように、真面目でわがままで、優しくも寂しがり屋の顔を、ちゃんと俺に見せてくれよ。
* * *
さて、俺たちは、この街で一番豪華そうな宿にチェックインした。
今回は奮発だ!
イベント開始といこう。
ルルチェのバースデーだしな。
俺自身は誕生日はよく分からんがな。
ま、そこはいいや。
俺は何かしてもらうよりも、何かをする方がいいのだ。
それが俺って奴さ。
当然、この宿の力も借りたいところだ。
それじゃあ、このクラットゥアセールの街の宿の、本気を見せてもらおうじゃないか!
テンション上がって来たぜぇー!!
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