第三百七十七章・アビゲイルの所存はダ・ガールへ
アビゲイルはお気に入りのキャラで、書いてて楽しかったんですが、ここで出番は一応終わりです。名残り惜しい‥‥‥。
第三百七十七章・アビゲイルの所存はダ・ガールへ
アビゲイルは宿でおとなしく待っていた。
「それで、どうなったのだ?」
アビゲイルはベッドの上で座っていた。
「カピーナ・テュルユークも失脚させてきたぞ」
「そうなのか?なら、リューイチたちはこれで女犯三羽烏を全員、倒したことになるのだ」
「そうだ。かなり変則的だったがな。でも、それが俺の流儀だ」
「それで、アビーはこれからどうなる?」
「お前、ダ・ガールに来るか?」
「え?」
「お前と姉妹みたいな魔族の、女の子や魔女になりたての子とかが、政治に関わってるんだぞ。お前も来いよ」
「なんですかその、魔族とか魔女とか。からかってるのか?」
「いや、マジでだよ」
ベアトリアースやリエットのことなんだが。
「分かりました。あなた方はこれからも冒険があるでしょうから、わたし一人で行きます。通行証と推薦状を書いていただければ、アビーは一人でダ・ガールに行くのだ」
「やれやれだな。なら、女犯三羽烏は全員やっつけたことを手紙に書くから、それをダ・ガールに届けてくれよ」
「人使い荒いわね」
「お前はもう、ダ・ガールの政治家の一人だよ」
「し、仕方がない。パシリくらいはしてあげるよ」
パシリとかいう言葉、あるんだなぁ。
「じゃあ、頼むよ。アビゲイル」
俺はルルチェに頼んで、手紙を書いてもらうと、推薦状や通行手形の発行もしてくれた。
「これでアビゲイルは無事にダ・ガールの直属の政治家だな」
ルルチェが手紙を渡しながら、ため息をついた。
「バカね。これだけでダ・ガールの政治家にはなれないわよ。リエットもベアトリアースも直接政治に関わってるワケじゃないし、アビゲイルの所存もそれと同じに扱われるわ」
「そうなのか?」
俺は複雑な顔になる。
「ええ」
「でも、ダ・ガールで保護してもらうには、うってつけの肩書ではあるけどね」
ルルチェは笑みを見せて、さらにウィンクをした。
何そのアピール?
誰得?
「アビーはもう、州知事のことは忘れるわ」
「ああ、裏切られたんだから、仕方ないよな。心中察するよ」
「アビーは悔しいのだ!あんなに尽くしたっていうのに!」
「怒るな怒るな。だったらダ・ガールでは至れり尽くせりさせてもらえよ」
ルルチェがムッという顔をした。
「ちょっと、ダ・ガールはそんなに甘い国じゃないわよ」
「あー、でも王様、ちょろいじゃん!」
「ひっど!お父様に言いつけるわよ?」
「それやめて!一応、俺はダ・ガールの直属の冒険者ってことになってるからな」
「至れり尽くせりしてもらってるもんね」
「あー、はいはい」
俺だって甘えてるよな。
まぁいいかぁ。
* * *
翌日、俺は金を持たせて、アビゲイルの乗った馬車を見送った。
「盗賊に襲われるなよ~、アビゲイル!」
「うるさいよ、リューイチ!」
馬車が遠くなるにつれて、アビゲイルの声は小さくなっていく。
「ロリっ子~。甘えん坊!似非政治家―!」
「き、聞こえてるのだ!コラ、リューイチィー!!お前はくたばるのだぁ!!」
だんだんと声は遠ざかっていった。
バイバイ!
道中気をつけてな!
ご感想やレビューも待っています!!