第三百七十二章・男一人に女三人の対決!〈後編〉
今日は暑いですね。3月とは思えません。夕方には涼しくなるのでしょうか?
第三百七十二章・男一人に女三人の対決!〈後編〉
騎士にして、用心棒のスライは、素手でコマドリに向かって来た。
スライの武道は、まるでボクシングスタイルだ。
コマドリも拳法で応戦する。
スライの方が押してるようだ。
「このイケメン、素手も強いぞ!」
コマドリは叫んだ。
「えい、やあ、とう、くっ!」
コマドリの防御を崩し、スライのパンチがコマドリの顔をかすめた。
まるでカンフー映画のようだ。
お互いに?み合った動きが気になるが、コマドリは押されている。
その時、イーゼルのミサイル魔法が再び飛んで来た。
スライの体に爆発が起こる。
「くだらん!俺に魔法は効かないと、言ったは‥‥‥」
その時、爆発の煙に紛れて、コマドリが一撃、掌底がスライの顎に打ち込まれる。
「ぐわ!」
スライはそれを食らって下がった。
「あの魔女め!」
スライはイーゼルの方を見た。
「よそ見するな」
コマドリが、スライの体に数発のパンチを浴びせる。
コマドリの方に向き直るスライ。
「効かぬわ、その程度の当て身は!」
スライは右ストレートで、コマドリを吹っ飛ばした。
「フン!」
勝ち誇ったような表情になるスライ。
ルルチェがスライの方に指を突き付けた。
「あ~、女の子を殴るとか、サイッテー!!」
「な、何だと?」
ルルチェの一声に、慌てるスライ。
「い、いや、これはだって、戦いだし‥‥‥」
「イケメンだからって、女の子を殴るとか、男として最低よ!このクズ」
ボッコ言われてるなぁ‥‥‥。
イケメン君が女子に、こんな目に遭わされるとか、見たことないぞ?
次の瞬間、またイーゼルのミサイル魔法が炸裂した。
隙あらば、ミサイルを撃ち込むのか、イーゼルよ。
「魔法は効かないと言ってるのに、まだ魔法を俺に撃ち込むとは、どういう了見だ?痛くもかゆくも無いが、なんかイライラするぞ」
怒ってる怒ってる。
イーゼルの魔法がスライを苛立たせてる。
イーゼルの魔法も陰湿な効果をもたらしてるなぁ。
「俺は負けん!女なんかに負けてたまるか」
スライは気を高めた。
「俺が付き合った女はな、レストランに勤めていたんだが、部下がエプロンを忘れると、従業員全員に、『もうエプロン忘れるなよ』と、その部下に言えと命令して、その部下はレストランの従業員全員に『もうエプロン忘れるなってよ』と、言われたんだってよ。そんなイジメなんかをする女、ひどい。もし俺がその部下だったらと思うと、怖くて怖くて‥‥‥。優しく接するしかなかったんだ。でも、いきなり一人になりたいとか言われて、ダラダラ付き合いたくないから別れましょ、だってよ。マジで傷付いたよ、あのアマァ!!」
胃腸に来る話だな。
アイタタタタ‥‥‥。
でも、じゃあ、とっとと別れちゃえば良かったんじゃないか?
あ、別れたらひどい目に遭わされたんだっけ?
それでも愛していたのか、その女を?
一筋過ぎるぜ、スライよ!
「俺はこんなにイケメンなのに、モテるのに、その女に出会ってしまってからは、女に対して恨みしか残らなかった!」
スライの叫び。
「恨んじゃダメだ。憎んじゃダメだ。呪っちゃダメだ」
俺はスライをなだめようとしたが、奴は聞いてない。
「くたばれ、女ども!」
スライは、立ち上がるコマドリの元に向かって、ジャブを繰り出してきた。
すぐさま、イーゼルとルルチェがスライの背中に物理で攻撃した。
女三人の物理攻撃と、スライの戦い。
いつの間にか、スライは劣勢になり、女子全員にリンチされる。
もうダメ押し状態だった。
「お、おい、もうその辺で‥‥‥」
俺は格闘技大会の審判員のように、「ストップストップ!」と言って、リンチをやめさせた。
イーゼルたちの勝ち!
俺の心の中で、スライの負けの鐘が、連続して鳴った。
ああ、痛々しい‥‥‥。
読者の皆様に幸あれ!!